皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ クライム/倒叙 ] 殺人処方箋 刑事コロンボ |
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リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク | 出版月: 1974年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 4件 |
1974年01月 |
竹書房 2006年11月 |
No.4 | 6点 | tider-tiger | 2020/08/09 16:27 |
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~精神分析医レイ・フレミングは目障りになってきた年上の女房をやっつける決心をした。レイの妻が殺害された時、レイは愛人を利用してのアリバイ工作によればアカプルコにいたはずだったが、冴えない刑事がしつこく食い下がってくる。刑事コロンボ初登場作品~
先週ようやく未読コロンボを一冊やっつけました。 犯人はコロンボを見下し、危険視し、やがて、コロンボとの対決を愉しみはじめます。いくつかの趣向が凝らされてなかなか愉しい。ですが、コロンボは直接対決で雌雄を決す(この表現はそのうち使用できなくなるのでしょうか)のではなく相手の弱点を衝きます。そこへかなり苛烈な攻撃を仕掛けます。ドラマ版ではここまで無慈悲ではなかったような気がします。すみません、記憶が定かでありません。 ドラマを最後に観たのはかなり昔なのでこういうことを申し上げるのは不安もありますが、これはもしかするとノベライズ版をより高評価する方がいらっしゃるかもしれないと思いました。 最初の作品だからコロンボのキャラがまだ固まっていないと思いましたが、そうではなくて、ノベライズした人が原作を壊さないギリギリのラインで独自解釈をしたのかもしれません。 というのも自分はコロンボのノベライズについては大きな誤解をしておりました。アメリカ版のノベライズがあって、それを翻訳しているのだと思い込んでいたのです。 ところが、(wikiによると)コロンボのノベライズ作品は英語版を翻訳したのではなくて、訳者と記載されている人がドラマから書き起こした日本独自のものらしいのです。 そうなってくるといわゆる訳者によって内容が大きく左右されることになりそうです。 本作のノベライズは石上三登志氏が担当しています。この人は『構想の死角』のノベライズも担当していました。驚きました。正直なところ『構想の死角』に関しては小説として読むには耐えられるギリギリの文章だと感じていました。本作ではそこまで文章は気になりませんでした。 以下、あくまで自分の解釈ですが、かなり内容に踏み込みます。 このノベライズ版はメグレ警視について言及あります。犯人はコロンボがメグレ警部を気取っているなどと思うのです。 ※ドラマ版はこの点記憶にありません。 ですが、コロンボを見てメグレを連想したりするものでしょうか。メグレが浮浪者に間違われるなどありえないのでは。正直なところ「なぜメグレ?」と思いました。 それが、この犯人が母親と妻、二人の女に苛まれていたと述懐したところで得心できました。 二人の女に苛まれている男ときて『メグレ罠を張る』みたいだなと思いました。訳者ももしかしたらそう感じたのかもしれません。 ただ、本作ではコロンボは動機にほとんど触れておりません。 表面上は若い女ができて、煩わしくなった古女房を片付けたという単純な話です。ところが、その裏に精神分析学的な動機が隠されていたようなのです。作中でそれを解き明かしていくのはコロンボではなくて、犯人自身です。 女に苛まれ、女を始末しますが、そんな時でも女に助けを求めてしまう。そして、そこから計画は綻んでいくのです。なんとも皮肉な話であります。本作に関してはコロンボではなくて犯人が主役だという言説もなんとなく頷けます。 |
No.3 | 7点 | 青い車 | 2019/09/14 22:46 |
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記念すべき第一作にして、コロンボvs犯人の名対決というパターンを生み出した秀作。本作ではとりわけ犯人フレミング医師の造形が魅力で、冷酷さとそれを上回るスマートさを嫌味なく示しているのが印象的です。椅子に腰掛けながらコロンボの前で自ら犯人像を分析して見せるシーンなども実に洒落た演出でした。あくどい犯人を魅力的に描くという繊細な表現は旧コロンボならではで、ドラマ版でのフレミングの煙草を吸うシーンで締めるエンディングなど、新シリーズでは見られない芸当でしょう。 |
No.2 | 6点 | 斎藤警部 | 2015/10/22 12:34 |
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これはTVで観るよりノベライズが先だった。中学の頃読んだ。周りに好きな奴も多かった(土曜のドリフを負かしたのはひょうきん族よりコロンボが先)。借りても読んだがこれは自分で買った。よく言われるように”異色の処女作”。だが土屋隆夫の「天狗の面」ほど極端じゃあない。その後のコロンボと違う、とされるラスト近くからのストレートな言葉攻めシーンはTVよりむしろ小説のほうが激烈でヒリヒリ来る。ミステリの骨格だけ取ったらどうって事も無い話なんだけど、やっぱり、達人コロンボ警部が魅力の底なし沼なんだよね、最初のほうのおとなしいシーンも、最後の荒々しい見せ場も。ここが永遠の始まりだ。 |
No.1 | 5点 | 江守森江 | 2011/01/01 07:02 |
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あけおめ!
新年一発目は今年AXNミステリーがデジタル・リマスター版の放送を開始する(NHKーBSの払い下げか?)刑事コロンボのノベライズから! 記念すべきシリーズのスタート作品で私の書評も新年をスタートする。 図書館で前もって借りた(古く書庫に埋もれていた)が、ドラマ自体は以前に観て内容は知っているので復習を兼ねて先に読んだ。 シリーズ全編がほぼ倒叙作品なので犯人に触れてもネタバレにはならないだろうが、初回から共犯設定なのは御愛嬌なのだろうか? 些細な気付きと犯人を罠にかけて落とす手口は初回から確立していたのだと少し驚いた。 ただし、罠に関しては今では定番なので犯人は引っ掛からないだろう(私なら直接確認するまで下手な会話はしない) 往年のゲスト・スターの豪華さはノベライズでは全く伝わらないのが残念ではある。 ※私的な余談 今夜は「相棒」元日スペシャルと「刑事コロンボ」更にNHK教育テレビで二晩連続一括再放送な「ハーバード白熱教室」とテレビ視聴で嬉しい悲鳴をあげそうだ! 24の一気視聴は早くもあきらめた(+_+)←再放送と二回は観てるからね。 |