皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 小麦で殺人 銀行副頭取パトナム・サッチャー |
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エマ・レイサン | 出版月: 1970年09月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1970年09月 |
No.2 | 6点 | mini | 2013/05/17 09:56 |
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アベノミクスで世の中浮かれ気分のようだが、世界の中で突出して急激に通貨安が進んだ日本に対していつまで世界に許容してもらえるかねえ
経済状況の実体も円安で為替相場上の目先の収支改善に助けられている一部輸出企業に支えられている上っ面な好況感も無きにしも非ず 長らく株価低迷で売らずに株を持ち越していた投資家が好況感を世の中に煽って売り抜けを画策していると疑っているのは私がヘソ曲りなせいかな さて経済ミステリーを代表する作家と言えば真先に名前が挙がるのがエマ・レイサンである もちろんもっと古くには夫婦揃って経済学者兼ミステリー作家のコール夫妻なんてのも居るが、コール夫妻の「百万長者の死」などはたしかに本職が経済学者らしい描写も有るには有るが正面きって”経済ミステリー”か?というと微妙だ やはり”経済ミステリー”という分野を意図的にはっきり打ち出した専門家と言えばエマ・レイサンだろう レイサンは珍しい女性同士の共同ペンネームである 上記で名前が出たコール夫妻もそうだが夫婦などの男女合作というのは割とよくあるパターンなのだが、女性同士の合作は珍しくロジャー・スカーレットなどごく一部の作家しかいない 「小麦で殺人」はCWA賞受賞した銀行副頭取サッチャーシリーズの代表作の1つで、書かれた時代的に背景に米ソの冷戦時代末期の国際政治状況があり、その中での小麦取引という経済問題を扱っている ただし誤解してはいけないのはいわゆる政治ミステリーでは全然ない、米ソの確執はあくまでも背景だけであってミステリー的には個人的な動機の普通の本格派作品である 私は本格派に普遍的な要素を求めてはおらず絶対的な評価基準を置いていない、10人の本格派作家が居れば10の作風が有っていいと思っていて、絶対的な1つの本格派のスタイルなどは存在しないと思っているわけだ そもそもレイサンという作家をを選んで読むという事は、経済的な薀蓄を除いたパズル的要素だけを期待しても意味が無いので、政治経済色の強さは作家の個性が濃厚に表れているという事で良い方に解釈したい レイサンはアメリカ作家なのにCWA賞を受賞したのはそういう要素が評価されたのではないかなぁ |
No.1 | 5点 | nukkam | 2012/01/17 19:04 |
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(ネタバレなしです) 1967年発表のジョン・サッチャーシリーズ第6作で、CWA(米国推理作家協会)のゴールド・ダガー賞を獲得したことから代表作のように紹介されていますが、個人的には微妙な作品でした。一応は本格派推理小説としての謎解きもありますが、政治色が濃厚なのは評価が分かれそうです。米ソ間の「雪どけ」時代に発表されたからでしょうか、ソ連人が登場していますが結構気配りしたような描写になっていますね(笑)。 |