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[ サスペンス ] 自分を殺した男 |
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ジュリアン・シモンズ | 出版月: 2006年07月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
論創社 2006年07月 |
No.1 | 7点 | mini | 2012/06/19 09:58 |
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* 1912年生まれ、つまり今年が生誕100周年に当たる作家は意外と多い、今年の私的テーマ”生誕100周年作家を漁る”の第6弾、ジュリアン・シモンズの2冊目
論創社はジュリアン・シモンズ作品を2冊出しているが、どちらか1冊だけ読むとしたら読むべきなのはこの「自分を殺した男」である 理由は簡単、もう1冊「非実体主義殺人事件」は初期のまだ作者の本領が発揮される以前の作だからだ 「自分を殺した男」は作者中後期の作で、キーティング選「海外ミステリーベスト100」にも選ばれている いやぁこんな名作が隠れていたとは知らなかった、シモンズは評論家としてだけではなく、やはり作家としても優れている 既読作の中では代表作は英国作家ながらMWA賞の受賞作「犯罪の進行」だと思っていたが両者甲乙付け難い 正直言うと、どちらが作者の持ち味が良く出ているかと言うと、私は「犯罪の進行」の方だと思うし個人的好みも同じだ しかし他人に薦めるとなると話は別、「犯罪の進行」は正直言って話のポイントが分かり難く万人向きじゃない、多分合わない人はとことん合わないし、読者を選ぶ作だ その点「自分を殺した男」は作者比で比較的サスペンスにも富み、話の展開は明快で読者を選ばないし安心してお薦め出来る 他のネット書評では、”前半が面白くて後半失速”みたいに書評している方が居られたが、私は賛成できないな そういう意見が出るのはこの作品を”倒叙もの”という誤った解釈に基づいているからだろう、断言するがこの作はいわゆる”倒叙”ではない 後半は捜査側による崩しが描かれるのではなく、主人公の自分探しの旅とでも言うべきもので、ジャンル的には”犯罪心理小説”あたりが適切な分類だろう そしてこの後半こそがこの作の持ち味であり面白いところなのだ 作者の特徴が発揮されていながら、話の展開は分かり易く万人向きで、しかも名作であるという、シモンズ入門に適した代表作と呼べる作である |