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[ 警察小説 ] 死者の舞踏場 リープホーン警部補 |
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トニイ・ヒラーマン | 出版月: 1975年01月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1975年01月 |
The Mysterious Press 1995年07月 |
No.2 | 6点 | 雪 | 2019/08/09 21:42 |
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ナヴァホ族のインディアン警官ジョゼフ・リープホーン警部補は、ズーニ族の保留地で起きた二少年の行方不明事件に協力することとなった。十四歳になるナヴァホの一少年ジョージ・ボウレッグスを発見するのが、彼の任務だった。もうひとりの少年エルネスト・カータは十二歳のズーニで、彼の自転車が置き捨てられていた地面に"大変な"量の血液がしみこんでいたと言う。カータは来たる神聖なシャラコの祭りで、《小さな火の神》シュラウィツィの役柄を務めることになっていた。
FBI、麻薬捜査官、州警察、ズーニ警察。複数の捜査陣が入り乱れる中、リープホーンはないがしろに扱われながらも黙々と捜査を続ける。弟のセシルの話では、エルネストの自転車を返しに行ったジョージは精霊〈カチナ〉が来るのを見て逃げ出したらしい。翌朝登校し同級生エルネストの不在を確認すると、そのままどこかに消えてしまったのだ。 二人が石器を盗んだことを聞き込んだリープホーンは、古代フォルサム人の調査を行っている人類学者・レイノルズ博士とその助手テッド・アイザックスのキャンプに赴くが、彼らはそれを否定する。そのあと訪れたヒッピーのコミューン〈ジェイスンズ・フリース〉にもボウレックスの姿は無かった。もう十二月に入り、寒波が来れば凍死者の出る時期だ。いったい、ボウレックスはどこに姿を消したのか? そしてガレスティナ渓谷のオーソ岩棚から、半ば埋められたエルネストの死体が発見される。リープホーンはなんとしてもボウレックスを見つけようと再びジョージの家に向かうが、既にそこでは彼の父親ショーティーが撲殺されていたのだった・・・ 1974年度MWA長編賞受賞作。P・D・ジェイムズ「女には向かない職業」を抑えての栄冠で、リープホーンシリーズとしては処女作「祟り」に続く2作目。インディアン部族ごとの力関係とかわかりませんが、どうやら文化的・精神的格付けはズーニ>ナヴァホなようで、主人公リープホーンも行方不明のボウレックス少年も、ズーニ族には白人に対する以上に悶々とする感情を抱いています。ピーター・ディキンスンだと異文化へのアプローチは学術的興味のみになりますが、ヒラーマンの場合はもっと身近で自然な感じ。インディアン的思考がプロットにストレートな形で組み込まれています。 迷信とは距離を置き〈自然の調和〉を重んじて事件にパターンを見出そうとするリープホーンもどちらかと言えば鈍重な存在。ズーニ神話をなぞった要素や、彼の前に再三現れる〈カチナ〉こと〈サラモビア〉の仮面を被った男の存在などもケレンには繋がらず、ひたすら地味に進行します。 土壇場まで「どうなるねん」といった五里霧中の展開なんですが、これがラスト10P程で一気呵成に解決。以前にあった「あの事件」を思わせる真相。鮮やかというよりごく自然な疑問点から解明に至るのは好ポイント。ただし敷居は高めで、誰でもウェルカムな作風ではありません。 |
No.1 | 7点 | mini | 2008/12/29 11:28 |
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早川のミステリアスプレス文庫は今では過去の企画となってしまったが、そもそもこんな中途半端な文庫シリーズ出すくらいなら普通にHM文庫で出しとけばよかったんだよな
復刊するにしても装丁がそのままという訳にもいかず、今にして思えば失敗企画だよな早川書房さん 中にはエルキンズなどのようにHM文庫に変えて復刊されたものもあるが、そういう恵まれた作家は一部だけで、何作か埋もれているのが惜しい作家・作品がある マーガレット・マロン、キャロリン・G・ハート、ディブディン、ウェストレイクとか何とかならんもんかな 特に復刊して欲しいのが、今秋に惜しくも亡くなったトニイ・ヒラーマンなのである ヒラーマンは白人ながら幼少時代にインディアンの学校に通った事があるせいかインディアンについて詳しく、ナヴァホ族の血を引くリープホーン警部補とチー巡査のシリーズは人気シリーズとなった 残念ながら日本ではインディアン文化が身近ではなく、地味な作風とも相まってあまり人気にならなかったが評価は高かった 「死者の舞踏場」はMWA賞を受賞した初期の代表作で、アメリカ社会でのマイノリティー問題や部族間の文化の違いなども上手く織り込まれ、謎解き部分もなかなか良く、ぜひ復刊して欲しいものだ |