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[ 本格 ]
邪魔な役者は消えていく
俳優探偵チャールズ・パリス
サイモン・ブレット 出版月: 1981年02月 平均: 5.00点 書評数: 4件

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角川書店
1981年02月

No.4 5点 斎藤警部 2020/08/21 17:14
コロナ禍を少し連想させる’70年代”オイルショック”下の英国で繰り広げられる、演劇興行界大物の死を巡る物語。。。憎めないけど、もう一つピリっとしない作品、まるで主人公(探偵役)のように。それでいい。
売れない俳優兼脚本家の主人公が過去に演じた○○という劇への××誌による批評「□□□□・・・!」みたいなのがここぞという所でチョイチョイ引用されるのは面白い。俳優だけにメイクや衣装や声色で変装(時には警察に!)して容疑者や関係者と渡り合うのも面白い。んーまあ、生前贈与と遺産相続のメカニズムを押さえたナニも興味無くはないけど、、軽いユ-モア頼みでいつの間にかサラッと終わっちゃう。こういう本はそれぞれの同時代の人が読んでくれりゃ用は足りるてな風情。(あるいはその時代の風俗に興味ある奇特な後世の人が読みゃあいい的な) だけどこの、直接心理描写バッサリ斬ったラストシークエンスはなかなかいいなあ、沁みますよ。
miniさんおっしゃる通り、オネエっぽい演劇研究家の二人(同居!)のプレゼンスがやたら高いですね。ちょっとしか出て来ないのに、キャラコスパ高。(だがそういうアンバランスはB級っぽさの一因かも)

No.3 5点 ボナンザ 2016/10/01 21:20
俳優探偵ということで某引退俳優を思い浮かべるが、どちらかというとだらしない主人公でそこは好き好き。
話としてもミステリとしても及第点か。

No.2 5点 nukkam 2016/08/02 05:57
(ネタバレなしです) 英国のサイモン・ブレット(1945年生まれ)はラジオやテレビのプロデューサーや舞台劇の脚本家を経験した、演劇界に造詣の深い作家です。犯罪小説なども書いていますが創作の中心は軽妙な文章による本格派推理小説で、俳優チャールズ・パリスシリーズとミセス・パージェターシリーズが有名です。本書が1975年発表のミステリーデビュー作です。各章が「シンデレラ」、「妖精」、「舞踏会」、「王子さま」など童話ネタにちなんだタイトルになっていますが作品内容の方はロマンチックでもファンタジックでもありません。主人公(チャールズ・パリス)は第1章で演技を批判され、酒場をはしごした挙句に妻でもない女性とベッドインと何ともしまらない登場です。さらにページをめくると今度は年の差カップルの関係修復話みたいになってきてまるで風俗小説です。風俗小説が悪いというのではないのですがミステリーらしさがありません。第7章あたりからようやくミステリーらしくなりますが王道的に犯人探しの本格派推理小説とは異なった展開を見せていきます。前例はありますが動機が印象的な謎解きです。チャールズは充実した生活をおくっているとは言い難そうですが飄々と描かれていてあまり陰鬱な雰囲気は感じられません。この辺が軽妙な作風と評価される所以でしょうか。

No.1 5点 mini 2009/04/21 10:36
ビル・プロンジーニ、W・L・デアンドリア、そしてこのサイモン・ブレット
これらの作家の共通点にお気付きになられたでしょうか?
それは”他に作者のメインとなるようなシリーズものが多数あるのに、そっちのシリーズは全然読まれてなくて、少数の非シリーズ作品の中でも特定の1冊だけが読まれている作家達”である
しかも読まれている非シリーズ作品はどれも一発ネタ式・仕掛け型・サプライズ型といった類で、日本の読者はこういうの好きなんだなあ、とあらためて感じさせる
逆に海外ものでキャラ優先なのは全く人気が無い

ブレットの場合は該当の非シリーズ作品とは「死のようにロマンティック」だが、メインシリーズの俳優探偵チャールズ・パリスものも、どっちにしても絶版だから見付ける方が大変だが
「邪魔な役者は消えていく」は版元がすぐに絶版にしてしまう事で悪名高い角川文庫だったので、私も古本屋探し巡ってやっと見付けた
ブレットは経歴的にも演劇業界には詳しく、作者の最も得意とする分野なので張り切って書いてるなあ、な雰囲気は伝わってくる
特に面白い役どころで登場する演劇研究家のコンビが良い味出していて、おすぎとピーコ風な会話文の翻訳が笑える


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