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[ 本格 ]
手荷物にご用心
パージェター夫人
サイモン・ブレット 出版月: 1991年12月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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早川書房
1991年12月

No.2 5点 nukkam 2021/08/10 22:53
(ネタバレなしです) 1990年発表のパージェター夫人シリーズ第3作の本格派推理小説で、何と舞台はギリシャですがここにも故パージェター氏の「仕事」仲間がちゃんといてパージェター夫人を助けてくれるというご都合設定にはもう笑うしかないですね。ツアー旅行に一緒に参加したパージェター夫人の友人が夫を失って悲嘆しているところはパージェター夫人自身に通じるところもあるのですがどこか挙動不審なところがあって、心配するパージェター夫人の問いかけにもまともに答えない有様です。そして怪死事件が起きて殺人ではと疑うパージェター夫人ですが、ツアーの世話係や警官さえも信用できない状況になってしまう展開は派手ではないけどなかなかスリリングで、窮地に陥ったパージェター夫人は生まれて初めて法律を破ることになります。終盤になると複雑な人間関係が明らかになってくるのですが解決は駆け足気味で、パージェター夫人がどう推理して結論に至ったのかがちょっとわかりにくいです。

No.1 6点 kanamori 2016/05/20 18:52
パージェター夫人は、数か月前に夫を亡くした友人のジョイスを慰安するため、ふたりでギリシャへのパック旅行に参加した。空港でジョイスから預かった荷物の正体が気になりつつ、翌朝、現地の島にあるヴィラで目を覚ました夫人は、隣のベッドで死体となったジョイスを見つける-------。

未亡人のパージェター夫人が素人探偵を務めるシリーズの3作目。
今回一番インパクトがあったのは、ジョイス・ドーヴァーという友人の名前ですが、とくにパロディ的な趣向はありません。なにしろジョイスは早々に殺されるのですから、これはシャレにならないw
犯罪組織の大物だった亡き夫の昔の”仕事仲間”が次々と登場して、夫人の探偵行為をサポートするお決まりのプロットですが、その一人が経営する犯罪者相手の旅行会社で漏れ聞こえてくる客とのやり取りが笑えます。また、パック旅行の俗物的な観光客に対するシニカルな視線もシリーズに共通する要素ですね。
ポケミス200ページ足らずのコンパクトな仕上がりで、本格モノというよりスリラー要素が強い作品ですが、観光だけが生活の糧で血縁関係のある人々だけで構成されたギリシャの小村という舞台が効果的で、ダブルミーイングによるミスリードと、それによる”どんでん返し”が決まっています。


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