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[ 短編集(分類不能) ]
宙に浮かぶ首(春陽堂文庫版)
大下宇陀児 出版月: 不明 平均: 5.00点 書評数: 1件

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No.1 5点 人並由真 2026/01/05 04:39
(ネタバレなし)
 春陽堂文庫版で読了。全180ページ弱と薄めの本だが、本文は二段組で小さ目の級数がぎっしり。
 短めの長編(長めの中編?)の2本『宙に浮く首』『たそがれの怪人』を同時収録の上、さらに巻末に短編『画家の娘』まで併録してある。
 でもサクサク、ひと晩で全部、読める。

『宙に浮く首』(元版は1931年刊行/初出は不明)
その年の冬。信州の降雪の村・飯沼村で、19歳の娘・樋口妙子が何者かに惨殺された。だが村の水車業の男で「アホウの与七」「コブ七」と異名を取る中年男・唐沢与七が、事件現場の周辺で宙に浮かぶ素性不明の首を見た! と言い出した。

『たそがれの怪人』
 資産家の高楠孝作氏は温情から、夭逝した友人夫婦の忘れ形見の娘・篠村澪子を後見し、実の娘のように養育した。だがその孝作氏も先年他界。美しく育った澪子は、高楠家の長男である潤一郎と両想いの末に婚約を交わす。そしてその年の2月19日、海外から船便で帰国する潤一郎を、澪子は高楠家の次男の少年・潤次郎とともに港に迎えに行ったが。

『宙に~』の浮遊首のトリックというか真相は、現実にはまずありえないもの。だが一方で、良い意味で旧作にも新本格系にもありそうな? おバカネタでもあり、個人的には面白い。そこから別のロジックが展開していくあたりもちょっと気が利いてる。ただし作品の中盤~後半は、かなり安手の猟奇スリラーになってしまい、その辺は残念。

『たそがれ』は、大した推理要素もない通俗スリラーだが、キーパーソンの設定というか劇中での行動原理に、妙なロマン味(あくまで読み物的な)を感じさせる面もあり、そこらへんは作者の持ち味か。

 短編も含めて三篇、どれも他愛ない作品ではあるが、まあたまにはこういうのも。


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