皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] ネズミとキリンの金字塔 蜘蛛手啓司シリーズ |
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| 門前典之 | 出版月: 2025年09月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 論創社 2025年09月 |
| No.2 | 6点 | レッドキング | 2025/11/08 22:36 |
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| 門前典之第九作。冒頭に建築図面が何枚も付いていて、うーん、「エンデンジャード」良かったな「建築屍材」はツマランかったなぁ、と読み始めた。「社会派」文法・・リアリズム描写ではなく、不正糾弾ジャーナリズム文法・・が、ダマになって混入しててイタダケない、島荘同様、読んでて鼻白む悪い要素だな、ジュンスイに「本格」を楽しませてくれい、と文句を呟きながら読み進めていったら・・・なんと素晴らしき本格ドンデン返し! タイトルと何枚もの図面の伏線回収も鮮やかで、期待どおりの門前典之であった。( 密室は大きくズッコケだけどね ^^; ) | |||
| No.1 | 7点 | nukkam | 2025/10/30 23:10 |
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| (ネタバレなしです) 2025年発表の蜘蛛手啓司シリーズ第8作です。シリーズ前作の「友が消えた夏」(2023年)の締め括りの後日談はどうなったんだろうと気になっていましたが、まるで何事もなかったかのように蜘蛛手たちが振舞っています(こちらは消化不良の気分になりました)。さて配置図、平面図、断面図、俯瞰図と豊富な資料を揃えているのはこの作者らしいですが(論創ノベルス版の字が小さくてじじい読者の私はルーペが必要でした)、印象的だったのは精神医療問題をとりあげた社会派推理小説要素があったことで、新たな試みとして評価してもいいかも。しかしながら解決編ではページをめくる手が一瞬止まってしまうほどのとてつもない秘密が明かされ、奇想の本格派推理小説らしさ爆発です。とても沢山の謎解き伏線を回収しての推理説明が披露されるのですが、某国内作家の1980年代前半の本格派をもっと非現実的にしたような真相は毛嫌いしてしまう読者もいるかもしれません。「屍の命題」(別題「死の命題」)(1997年)に並ぶ怪作と思います。 | |||