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[ クライム/倒叙 ]
ロリ・マドンナ戦争
スー・グラフトン 出版月: 2009年08月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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扶桑社
2009年08月

No.1 6点 クリスティ再読 2025/03/13 23:45
グラフトンはキンジーのシリーズを書く前に、二作の長編小説があり、とくに二作目の本作が映画化されたのをきっかけにハリウッドでのライターのキャリアを開始している。なんだけどね、この作品、ある意味「有名な」映画だったりもするのだ。
評者実はアメリカン・ニューシネマって嫌いなんだよね。ロックオペラを除いたら「グライド・イン・ブルー」と「バニシング・ポイント」くらいしか好きな映画がない。で本作は大好き「バニシング・ポイント」の監督リチャード・C・サラフィアンの作品で、曲者俳優多数のヘンな作品、しかも長らくソフト化がされずに「まぼろし」化していたことでも有名な映画だったりする。というわけで、「グラフトンしようか?」と思った時に「え〜ロリマドンナ原作がグラフトン!」と知って読書予定に入れたわけである。

テネシー州の山岳地帯に住んで、いがみ合う2つの家族、フェザー家とガッシャル家。ネイティヴアメリカンの血を引いて密造ウィスキーを作るフェザー一家と、フェザー家の税金滞納から競売になった土地を取得した牧畜を営む退役軍人のガッシャル家。この2家の確執はなかば儀式的な嫌がらせとして燻り続けてきたのだ。ガッシャル家の側で次男ルディの嫁としてロリ・マドンナという女を迎えるという虚報を流した。フェザー家がこの女を拉致しようと仕掛けてくるのを見越して、その隙に密造ウィスキーをダメにしてやろうという計画だ。しかし、偶然通りかかった女性ルーニーがこの架空の女ロリ・マドンナと誤解されてフェザー家に拉致される。意外な結果で無関係の女を巻き込んだことにガッシャル家は困惑するが、折りも折りガッシャル家の末娘シスター・イーが、フェザー家の長男トラッシュと次男ホークにレイプされる事件が起きた。この落とし前をつけさせようとガッシャル家はフェザー家に迫るが、交渉は決裂し犠牲者も出てしまい全面戦争に突入する...

こんな話。アメリカのカントリーの狂気が全面に出た作品。女性作家が書いたことが意外なほどのバイオレンス。フェザー家五人、ガッシャル家4人の兄弟たちと父母で、多めの登場人物もしっかり書き分けられており、かつさくっとした結末など、なかなかの構成力。とくに若い兄弟たちは冷静で、両家の対立を陰で何とかしようとするのだが裏目に出てしまう、誤解された女ルーニーとフェザー家の末弟コックとが徐々に接近していくさまなど、読みどころは多い。

とはいえ、テネシー州の山奥で孤立して生活する2つの家、というのがどんなものなのか、書籍だと日本人は具体的に理解し難いものがある。映画は必須。
(でも最後に明かされる設定年代が1961年というのに呆然とするよ...映画は71年設定のようだけども)


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スー・グラフトン
2009年08月
ロリ・マドンナ戦争
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