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[ 社会派 ] ミカエルの鼓動 |
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柚月裕子 | 出版月: 2021年10月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
文藝春秋 2021年10月 |
No.1 | 8点 | HORNET | 2021/10/30 17:43 |
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北中大病院の心臓外科医・西條は、手術支援ロボット「ミカエル」を使った外科手術の第一人者として脚光を浴び、院の中枢になる医師と目されていた。ところがそこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない従来の手術を、とてつもない速さで完遂する。
あるとき、一人の難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。ミカエルを用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か―。そんな中、西條はある筋から、ミカエルの不具合が疑われるという情報を耳にする。自分が推進しようとしている医療は本当に間違いないのか。天才心臓外科医の正義と葛藤を描く。 自身の病院での立場、出世に不可欠な医療用ロボットに疑念が生じた医師が、医療理念に基づいて正しく行動できるか。葛藤・苦悩する主人公・西條だが、その人間性には好感がもて、常に応援する気持ちで読める。ライバルである真木はこうした対立構造で定番的なキャラクター造形ではあるが、だからこそ面白さが安定している。 人死にがあるミステリではないが、真木の過去や病院長の思惑など、「謎」の部分は諸所にあり、要素は十分にある。 面白かった。 |