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[ 警察小説 ]
草の根
ウィル・リー・ノヴェルズ
スチュアート・ウッズ 出版月: 2000年08月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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文藝春秋
2000年08月

No.3 7点 八二一 2023/07/16 20:29
弁護士として引き受けざるを得なかったレイプ裁判の弁護、CIAの女性高官とのロマンス、テロリスト集団の暗躍、それを追う刑事など、ストーリーは多岐にわたる。これを結末で収束させる手際はお見事。
作者が米大統領選に関与しただけあって、議員選挙を巡る話がとりわけ読ませる。

No.2 5点 ◇・・ 2022/07/26 17:15
暴行殺人容疑者の裁判と上院議員選を控えたウィルの選挙行動と、奇怪な殺人者を追うキーン刑事の捜査活動が交互に進行する。
これがどう結びついてクライマックスを盛り上げるか。ややご都合主義的な点はあるが、南部ならではの特異性や差別思想が引き起こす事件を、よく書き込んだ土着ミステリである。

No.1 6点 2020/05/26 08:40
 ジョージア州の元知事ビリー・リーを父に持ち、地元出身の偉大な上院議員ベンジャミン・カーの元で、予算と運営に精通したエキスパートとして第一秘書の責務をこなしてきた弁護士、ウィル・リー。議員から厚く信頼される彼は、次の新人選挙での全面的な協力と二百万ドルの支援を約束され、天にも昇る心地だった。CIAの重職に就いたばかりの恋人、キャサリン・ルールとの仲も順調で結婚も間近な身だ。
 だがワシントンから故郷の田舎町デラノに帰省してすぐ、半ば強制的にレイプ殺人事件の公選弁護人に任命された時から風向きが変わってくる。容疑者ラリー・ユージン・ムーディーは暖房炉の修理工で二十五歳の白人男性、被害者のサラ・コールはベニントン大学で奨学金を受けた褐色の才媛で、裕福な農場で育てられた美女。プアー・ホワイトVS富裕な黒人層の厄介な裁判だった。ウィルは弁護を渋るが、担当のボッグズ判事はそれを許可しない。
 そんな折も折、ベン・カー議員が突然脳卒中の発作を起こし倒れたとの急報がデラノに届く。ウィルは急遽ワシントンに戻り事態を収拾しようとするが、失語症に陥った上院議員は引退を決意し自分の議席を勝ち取れと、不自由な身体を推して病床からウィルに立候補せよと促すのだった――
 1989年発表。合衆国南部の架空の街ジョージア州デラノを舞台に、未曾有の連続殺人と三代に渡る時代の変遷を描いた大河小説『警察署長』。著者スチュアート・ウッズはその後も初代署長ウィル・ヘンリー・リーの血統を主役に据えた小説を執筆し続けており、それらの作品群は通称"Will Lee novels"と呼ばれています。本書は『潜行』に続き発表されたシリーズ第四作にあたるもの。
 一作目が警察小説、次作が青春小説、三作目がスパイ小説ときて、四作目は法廷+警察小説。でもメインとなるのはタイトル通り選挙戦。『警察署長』の終盤でもウィルの父ビリーの州知事選が大きなウェイトを占めていましたが、本編で上院議員の座を争うのはウィルその人。変化球続きの前々作・前作とは異なり、アメリカ社会そのものを題材にしたボリュームたっぷりの正統続編。
 『風に乗って』でヨットを操って以来の主人公で、満を持して政界進出を狙うのはウィルことウィリアム・ヘンリー・リー四世。事件の背後で陰謀集団が怪しく蠢くのもいつものお約束。誹謗中傷から各種スキャンダル、事故に見せかけた殺人から銃器を用いた暗殺へと、表裏の手段を選ばずウィルへの攻撃は続きます。
 民主党予備選挙から裁判の決着と共和党候補との一連の決戦を描く、山あり谷ありの三部構成。選挙戦と極右犯罪捜査のABパートが交互に重なり、やがて一つに収斂していきます。度重なるテロ事件を追うのはパートナーを爆殺された元警官。サービス満点の展開は『24』を髣髴させる海外ドラマ調ですが、これまでの積み重ねもありそれほど軽くは感じません。時間軸上の広がりはありませんが、処女作同様厚みのある小説です。ただし多少類型的にも思えるので、点数は6.5点。


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スチュアート・ウッズ
2000年08月
草の根
平均:6.00 / 書評数:3
1994年06月
ニューヨーク・デッド
平均:7.00 / 書評数:2
1987年06月
風に乗って
平均:6.00 / 書評数:1
1984年02月
警察署長
平均:7.50 / 書評数:4