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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:2517件

プロフィール| 書評

No.97 6点 黒水仙
藤桂子
(2010/03/26 23:18登録)
「獅子座」に続く菊地警部シリーズ第2弾。鮎川哲也「ペトロフ事件」と賞を争った藤雪夫の「渦潮」を娘・桂子が改稿したもの。
前作同様、本格ミステリの展開から、後半に犯人像が浮き彫りになってから俄然面白くなりました。
密室殺人のトリックは中盤早々明らかになり、あとはアリバイ崩しになりますが、「心理的既成事実」を使ったアリバイトリックというのが目新しく、捜査陣が少しづつ暴いていく様は緊迫感がありました。
しかし、なんといっても一番の読み所は、異常な犯人像の設定です。幼少の頃からの体験を丁寧に描写し非常に存在感を持たせています。タイトルの二重の意味を浮き上がらせたエンディングも見事です。


No.96 7点 狼は瞑らない
樋口明雄
(2010/03/26 22:46登録)
元警視庁警備課SPの山岳警備隊員を主人公にした山岳冒険小説の傑作。
政治の闇の部分を知る主人公抹殺を狙う組織というベタな要素はかえって余分ですが、冬山での猛吹雪や滑落の恐怖などの大自然との戦いが圧倒的な迫力で描写されていてグイグイ読める。
やはり直球勝負の冒険小説はいいなと思いました。


No.95 6点 雨中の客
浅黄斑
(2010/03/25 18:56登録)
ミステリ短編集。
突然の訪問者が思いもかけない過去を燻りだす、後期の作品群からはちょっと想像つかない良質の初期連作短編集でした。
どんでん返しが冴えた表題作「雨中の客」がベスト。


No.94 7点 星の牢獄
谺健二
(2010/03/25 18:39登録)
大震災と機械トリックというこれまでの社会派と本格派の混合作が、どうもアンマッチな印象でしたが、この作品は奇想を前面に出していて、このレーベルらしい作風になってます。
「宇宙人」を探偵役にし、クローズドサークルもので不可能トリックを見せ、叙述で驚かす・・小さな瑕疵はありますが、作風の転換は評価したいです。


No.93 5点 顔の中の落日
飛鳥高
(2010/03/25 18:13登録)
発表された年代から古臭いのは止むを得ませんが、主人公格のホステス町子と謎の青年を中心にストーリーを組み立てていれば、教会でのラストシーンが生きたかと思います。
XXを利用したアリバイトリックは物語から浮いていました。


No.92 6点 獅子座
藤桂子
(2010/03/25 00:07登録)
父娘合作の本格ミステリ。
鮎川哲也の「黒いトランク」と賞を競ったとのことで、期待が膨らみました。
暗号やアリバイトリックは父の考案でしょうが、今読めばそれほどのものとは思えません(トリック解明のプロセスはよかったですが)。むしろ、過去の眠れる殺人に絡んだ抒情的な部分が読ませました。
合作(娘の改稿?)のメリットが出た作品だと思います。


No.91 4点 二重生活
折原一
(2010/03/24 23:48登録)
夫婦合作ミステリ。
このプロットからして折原が考案したのは間違いないでしょう。いつも通りの叙述トリックものです。
なぜ、合作で出す必要があったのか、イマイチ分らないです。


No.90 4点 覆面の佳人
横溝正史
(2010/03/24 23:27登録)
横溝正史と江戸川乱歩の合作探偵小説!
といっても、ほとんど正史が一人で執筆したようです。
予想どおり、あまり面白くありません。古い古いタイプの通俗探偵小説で、新聞連載のためか、要所要所に山場を創っていますが、あまり必然性がなかったりします。
まあ、マニアしか手を出す必要はないでしょうね。


No.89 5点 悪霊の群
山田風太郎
(2010/03/24 23:12登録)
名探偵神津恭介と荊木歓喜が共演、となると読まずにおけません。
プロット考案は高木彬光で、山田風太郎が執筆したと解説にありますが、この合作は成功したとは言えません。
当然、名探偵同士の推理合戦を期待しますが、歓喜先生が中心となった通俗スリラー風のストーリーで、終盤に神津が出てきてオシマイ。二人の対決は肩透かしの感で残念です。


No.88 6点 三度目ならばABC
岡嶋二人
(2010/03/24 22:45登録)
初版に未収録だった短編が追加された増補版が出たので再読。
ミステリ趣向が光っているのは「十番館の殺人」ぐらいでしょうか、やはり山本山コンビのキャラとシチュエーションの面白さで読ませるタイプのミステリです。
美郷の「直感」でストーリーを走らせ、織田の「気付き」で終決というパターンを繰り返しています。
手慣れたものだと、今更ながら感心しました。


No.87 5点 Fの悲劇
岸田るり子
(2010/03/24 22:27登録)
20年前の叔母の謎の死を追う女性を主人公とした本格ミステリ。
新しい装飾はされてますが、これは古いタイプのミステリでした。
主な謎は2つ、殺害現場の京都郊外のペンション型アパートが密室で当時入居者全員にアリバイがあったことと、叔母の出産したばかりの赤ん坊が消えたこと。密室トリック(同時にアリバイトリックでもある)はヴァン・ダイン時代のもので、赤ん坊の処理も使いふるされた陳腐なもの、容易に推察できました。


No.86 6点 アトポス
島田荘司
(2010/03/23 18:55登録)
「血の伯爵夫人」エリザベートのエピソードは(作者の創作した物語でないにしても)非常に楽しめました。
天性のストーリー・テラーぶりを発揮しています。
一転、シリーズ探偵とラノベ風ヒロインが登場する、作者の創作した現代の物語になると、色あせ失速しています。真相(オチ)も矮小で、長い小説だけに、失望感も大です。


No.85 6点 北の旅 殺意の雫石
津村秀介
(2010/03/23 18:28登録)
ルポライター・浦上伸介シリーズの本格ミステリ。
同日同時刻に岩手県の雫石川と徳島県の吉野川で殺人死体が・・、アリバイ崩しを扱った掘り出し物でした。
いままで、さんざん著者のB級時刻表トリックに付き合わされてきましたが、これはまずまずでしょう。
中町信ばりの、いわくありげなプロローグが効いています。


No.84 6点 偽証
小杉健治
(2010/03/23 18:10登録)
ミステリ短編集。著者の小説は法廷ミステリしか読んでいませんでしたが、法廷もの2編のほかはバラエティに富んだ作品が収録されてます。
画壇界を背景に最後に別の絵が浮き上がってくる「隠し絵」、見知らぬ女性との心中の裏側「向島心中」が印象に残りました。


No.83 4点 スコットランド古城殺人事件
井上ほのか
(2010/03/23 17:51登録)
少年探偵セディ・エロル、シリーズ第2弾。
今回、眉子やダンたちは英国に渡って古城での連続殺人に遭遇、怪盗S79号も登場します。が、これはいけませんでした。
金田一少年やコナンを経た少年少女の読者にとって、この謎解きは容易でしょうね。


No.82 7点 司法戦争
中嶋博行
(2010/03/22 20:53登録)
法曹界を舞台背景にした三部作の第3弾、著者の代表作といっていい傑作サスペンスです。
今回は裁判所がテーマ。最高裁判事の殺害事件をめぐって、検察局と裁判所、法務局などがそれぞれの思惑をもって交錯し、最後にとんでもない陰謀が暴かれる。ある意味、時代を先取りしています。
プロローグが巧いミスリードになっており、この真相は予想の範囲外でした。


No.81 6点 暗いクラブで逢おう
小泉喜美子
(2010/03/22 20:33登録)
疑似ウールリッチ節が全開の都会派作品集。
しゃれたオチはありますが、意外性を狙ったミステリ趣向はほとんどありませんでした。
収録作の中では「死後数日を経て」「故郷の緑の・・」が気に入りました。


No.80 7点 夏の災厄
篠田節子
(2010/03/22 20:22登録)
南洋の島民を全滅させた新型脳炎が日本を襲う、バイオ・ホラーというよりストレートなパニック小説。
型どおりのヒーローを据えない設定が生き、そのためサスペンスを助長しています。今作は重厚さを抑えた筆致のため、リーダビリティも高め、篠田節子の入門書に最適だと思います。


No.79 6点 衝突針路
高橋泰邦
(2010/03/22 01:15登録)
三陸沖での貨物船同士の衝突事故を題材にした海洋ミステリ。
中盤までは、正直読むのがきつかったです。主人公のニ等航海士と事故時に変死した機関士の妹を中心に、相手船側の隠蔽工作、味方乗組員の裏切り、変死原因の追及とかが描写されますが、船舶の専門用語がポンポン出てきて、その説明も充分とは言えないからです。
終盤、海難審判の章になり様相が一変、スリリングな法廷ミステリとなり楽しめました。
準主人公のベテラン海事補佐人(刑事裁判の弁護士に相当)の大滝がいいです。一発逆転の最後の弁舌が爽快で、変死事件の真相も意表をついています。
大滝補佐人は、他の作品にも登場しているようなので読んでみるつもりです。


No.78 7点 殺さずにはいられない
小泉喜美子
(2010/03/20 14:48登録)
ミステリ短編集。
「弁護側の証人」とまったく同じ手法で最後に構図を逆転させた作品や、詠坂や東野の作品の先駆と言える人称誤認ものなどの叙述トリック作品もよかったのですが、個人的には、異様な殺人手段を扱った「冷たいのがお好き」がベストです。
友人のミステリ作家から過去の海外ミステリ小説の様々な殺人トリックを伝授された主人公が最後にとった殺人手段は、伊丹十三のエッセイ「女たちよ!」からの転用だった・・・。
既読のものも多かったですが、傑作集といっていいラインナップです。

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