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ミステリの祭典

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死にぞこない

作家 飛鳥高
出版日1960年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/01/27 17:24登録)
(ネタバレなしです) 失踪した社長の足跡が砂の真ん中にぽつんと建っている石碑の前まで続き、そこからどこへも足跡は続かず、波打ち際は石碑から10メートル近く先だったという謎が魅力的な1960年発表の第4長編です。しかし失踪人探しがメインプロットで、殺人事件も起きるのですが犯人当てとしては推理の要素はほとんどないのが本格派推理小説としては中途半端感が残ります。中盤で主人公が自分の行動を「失踪者の周囲に何か黒雲のようにもやもや漂っているものを取り払う」と振り返っていますが、その目的からしてどこかもやもやしているように感じます。もっともつまらない作品では決してなく、足跡トリックはトリックメーカーと評されている作者ならではの巧妙なものだし、主人公を微妙に捜査に消極的な役柄に設定しているのも物語的には成功しています。余韻を残す結末も選出効果が高いです。

No.1 6点 kanamori
(2010/02/28 12:03登録)
浜辺の人間消失、衆人環視の見えない射殺犯という2つの不可能トリックを用いながらも、骨格は社会派ミステリ。
最後に判明する失踪した知人の過去の秘密は、時代を感じさせるもののやはり強く胸をうつ。
抒情的筆致は作者の持ち味で、やるせないエピローグが印象的でした。
『細い赤い糸』には及ばないものの、他の長編も読んでみたいと思わせる佳作だと思います。

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