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ミステリの祭典

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紙上殺人現場
大井廣介

作家 事典・ガイド
出版日1987年11月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 江守森江
(2010/08/16 19:03登録)
書評されている60年代はカラーTVが漸く普及した時代で、松本清張により探偵小説が駆逐されて以降の不毛時代でもあり、残念ではあるが対象作家&作品の殆どが今では(一部マニアにしか)見向きもされない作品のオンパレードになってしまったのも時代の流れだろう。
書きなぐりで量産した作家&作品を貶して推理小説の行く末を危惧しているが、カラーTVの普及に合わせ二時間ドラマ原作レベルな作品が量産され始めたし、ネームバリューや映画と抱き合わせでしか本が売れない現在の出版不況は皮肉に思える。
高木彬光作品の出来・不出来は適切に評されていると思うが、島田一男の持ち味を貶して、欠点を褒めていたり、鮎川哲也に対する依怙贔屓には納得いかない面がある。
それでも嗜好に共通点があり書評に頷ける点も多い。
今更、この書評をガイドに作品をあたる必要性は感じられないし、書評された作品群と共に図書館の書庫に眠っていても致し方ないだろう(5点)
そんな中で唯一の救いは梶山季之をミステリーの範疇に含めながら褒めている事だった(もっとも、一番の持ち味であるスケベなサービス精神はセーブすべきとの忠告には「余計なお世話だ!」と感じたが)
タイトルから本格一辺倒な書評と思っていたら梶山季之が語られ、驚きと嬉しさで1点加点した。

No.1 7点 kanamori
(2010/02/28 14:30登録)
1960年代の国内新刊ミステリを辛口でメッタ斬り、EQMMに1967年1月まで毎月掲載されていたものを1987年になって文庫刊行された。著者は大井広介。
当時の国内ミステリ事情がかいまみれ、乱歩の「カー問答」の構成を踏襲した書評なので、やりとりも楽しい。とにかく大家であろうが流行作家であろうが、駄作については情け容赦なく斬り捨てている。及び腰なのは大乱歩に対してぐらいか。
横溝、清張も出来の悪いものはバッサリだから、新人の笹沢左保、佐野洋、結城昌治もかたなし。
鮎川哲也が一貫して好意的に扱われているのはちょっと意外だが。
掲載終了から出版まで20年を要したのは、ひょっとして某大家が亡くなるまで出せなかったのではと勘繰りたくなる。

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