home

ミステリの祭典

login
マニアさんの登録情報
平均点:6.04点 書評数:169件

プロフィール| 書評

No.109 3点 ペルシャ猫の謎
有栖川有栖
(2008/07/14 23:08登録)
有栖川氏得意の切れ味鋭いロジックを期待しているなら、この小説にはそれがほとんど無い。感情的なものや精神的なものが多く、それで納得できればいいのだが、どれも憶測の域を出ない解決が多い。

シリーズのサブキャラ、森下刑事が活躍する「赤い帽子」も単なる警察の捜査記録を読んでるようで退屈だった。唯一、「暗号を撒く男」の真相にはニヤリとできたかな。


No.108 8点 山魔の如き嗤うもの
三津田信三
(2008/07/13 00:37登録)
今、最も注目している作家、三津田信三の「刀城言耶シリーズ」の最新作。

人々から忌み山と呼ばれ、恐れられる山に隣接する集落が舞台。その忌み山での怪奇現象を全面に押し出した導入部分と、それに続いて起こる童唄に見立てられたおぞましい連続殺人劇。しかも今回は忌み山に纏わる金山伝説を巡って、登場人物の思惑が左右して・・・衝撃の結末に・・・。

読みごたえはあるが、謎解きはゴテゴテしすぎで分かりづらいかな。ホラー分もこれまでと比べるとやや影を潜めがち。
前作『首無の如き祟るもの』よりはパワーダウンしたきらいはあるが、近年出版されているミステリの標準は遙かに超越していると思う。


No.107 4点 ブラジル蝶の謎
有栖川有栖
(2008/07/08 23:17登録)
ほとんど、事件⇒取り調べ・事情聴取⇒解決のパターンで画一化されてて退屈。スリリングさや魅力的な登場人物がいないため読み物としては楽しめない。火村シリーズが好きならいいんだろうけど。

「人喰いの滝」のトリックは斬新で好き。一歩間違えればバカミスか?でも、そこがいい!


No.106 5点 電脳山荘殺人事件
天樹征丸
(2008/06/29 01:40登録)
閉ざされた吹雪の山荘好きには持ってこいの作品!?閉鎖状況で犯人が使う「電脳」(=パソコン?、今の水準からするとショボイ感じがしますが・・・)が恐ろしさを演出してくれる。

トリックは叙述メインかな。その他は残念ながら印象が薄い。


No.105 5点 幽霊客船殺人事件
天樹征丸
(2008/06/29 01:24登録)
この本を読んだ以降も船舶もののミステリにはあまりお目に掛かってない。閉ざされた航行中の船の中の事件という設定はかなり好みだけど、内容事態は今思い返すと印象が薄い。

金田一は中学生の時、リアルタイムで見てたなぁ。懐かしい。


No.104 6点 スウェーデン館の謎
有栖川有栖
(2008/06/09 12:50登録)
全てが平均的な作品。大きな不満も無いかわりに、大きな驚きも無い。足跡消失のトリックは論理的かつ大胆な発想で良かったが、折れた煙突の謎は文字通り煙に巻かれた感じ。

全体的な雰囲気は悪くないかも。


No.103 8点 亜愛一郎の転倒
泡坂妻夫
(2008/05/12 01:49登録)
前作より楽しめた。
特に『藁の猫』『砂蛾家の消失』『意外な遺骸』『争う四巨頭』『病人に刃物』は秀逸。
人間の心理を抉る真相と、それに説得力を与える論理の力強さは泡坂氏の本領発揮といったところ。特に伏線、ヒントの回収はお見事。一瞬の油断も出来ない!

相変わらず、亜愛一郎をはじめとした登場人物の描写も冴えて面白い。


No.102 6点 ロシア紅茶の謎
有栖川有栖
(2008/05/03 22:17登録)
who done itに特化した作品が多い。無駄を極力省きコンパクトに各話をまとめたのは評価できるが、火村、アリス以外の登場人物のキャラ立ちがいまいちだったのが残念。各話のラストの決めには作者のセンスを感じる。

全体的にはまとまって、よくできてはいると思う。個人的には「屋根裏の散歩者」の『太』に隠された謎、のような遊び心も好きだった。


No.101 6点 亜愛一郎の狼狽
泡坂妻夫
(2008/04/25 20:18登録)
各短編の真相はそこまで面白いとは感じられなかった。

ただ、それぞれの話の終盤で、亜愛一郎が文字通り「狼狽」しながら一気に事件を解決に導く展開は鮮やか。
全く無駄のないストーリー構成、ほどよいユーモアさも好感。


No.100 6点 魔神の遊戯
島田荘司
(2008/04/06 03:25登録)
どこか神秘的な雰囲気も感じられるスコットランドの片田舎で起こる連続猟奇殺人という舞台設定と、冒頭で登場する記憶に障害のある謎の多い登場人物と、島田作品らしい世界観は十分に堪能できた。他の登場人物も面白い!

ただ、そんな大がかりな設定と理解不能な謎に付けられた真相(特に死体引きちぎりトリック)はちょっとショボイ感じがして残念。犯人も分かる人にはすぐ分かってしまうかも。


No.99 6点 陽気な容疑者たち
天藤真
(2008/03/29 05:16登録)
ユーモア溢れる魅力的な登場人物をここまで上手く書き分ける作者の筆力に脱帽。それだけで1、2点プラスしてもよいほど個々のキャラの面白さと、ユーモアのセンスが感じられる。

ただ、人物は良いけど情景描写が少し分かりづらかったかな。イメージしにくい文章が多かった。
肝心のミステリ部分は、トリックが少々バカバカしい感じもするが、意外な真相は一読の価値に十分値する。


No.98 3点 煙か土か食い物
舞城王太郎
(2008/03/27 00:28登録)
文体は独特で、好き嫌いに個人差がありそう。自分は残念ながら読みづらさしか感じられず、最後まで慣れることはできなかった。

「家族」をテーマにしたストーリーはそこそこ面白かった。でも、主人公になかなか感情移入できなかったのと、ミステリ部分があまりにもバカバカしかったのがマイナス。


No.97 6点 慟哭
貫井徳郎
(2008/03/24 03:19登録)
確かに真相は分かりやすい。途中で気付いてしまったため衝撃度はそれほどでもなかった。
ただ、ドロドロとした人間の内面と、一人の人間が崩壊し堕ちていく様を、新興宗教の悪魔崇拝に絡めて描いていくストーリーには戦慄に近いものを感じて楽しめた。

そして、救いのないバッドエンドからは人間のどうしようもない破滅願望のようなものが読み取れた。


No.96 8点 過ぎ行く風はみどり色
倉知淳
(2008/03/19 00:30登録)
倉知氏特有の、軽い文体と小気味よいテンポのストーリー進行に油断していたら見事に騙された!あの真相が明らかになり、それまでの不可能状況がガラガラと音を立てるように崩れ、唯一無二の解答が明示された時は思わず唸った。伏線にはまず気付ける可能性がないほどアンフェアっぽいのが気になるが・・・。また、降霊会殺人のトリックはバカミスギリギリ感があるけど、自分的にはまぁ納得・・・。

ラストは少しの物悲しさと、登場人物の未来への希望が感じ取れて良い大団円だったと思う。読後感は良い。
猫丸先輩のキャラ、好きだなぁ。


No.95 6点 メビウスの殺人
我孫子武丸
(2008/03/12 01:05登録)
2通りの真相のうち正しいのは一体どっちなのか?椎名の推理が正しいとすると・・・恐ろしい。でも、そっちの方が何となく説得力があるんだよなぁ。最初に犯人が明らかにされている設定はあまり好きではないし、結末があやふやなのもあまり好きではないが、スリリングでテンポの良い流れは楽しめた。

何だかんだで、このシリーズは嫌いじゃない。テンポがいいのが良い。続編無いかなぁ・・・。


No.94 6点 頼子のために
法月綸太郎
(2008/03/10 00:31登録)
後味の悪さは五指に入る。自分としては最後の綸太郎の行動にはやっぱり賛成しかねるかな。しかし、それがなければこの物語が成立しないのも事実。それら全てがあってのラストの戦慄だと思う。「頼子のために」って題名も、読み終わったあとには哀しさしか残らない。

登場人物が結構画一化されてたのが残念だった。ロック少年には、もっとロックしてほしかったな(笑)個性がない感じ。


No.93 7点 0の殺人
我孫子武丸
(2008/03/07 02:41登録)
うーん、見事に煙にまかれた感じ。真相は偶然のオンパレードでいかがなものかなぁ?と思ったけど、伏線部分を読み直して一応納得。強引感は否めないけど「面白い」と思えるレベルにはあると思う。冗長にならずコンパクトに収まってるのにも好感。

キャラは相変わらずの弾けっぷり。個人的には陰鬱な雰囲気のミステリの方が好きだけど、たまにはこういうのも悪くないなと。

そして、頑張れ!フェニックス木下!


No.92 9点 大誘拐
天藤真
(2008/03/06 00:10登録)
何という読んでいる途中の疾走感!何という読後の爽快感!
おばあちゃん率いる「虹の童子」誘拐団と警察の駆け引き、裏のかきあいは痛快だった。家族の金策などのサイドストーリーも充実。誘拐団、警察、家族etc・・・と場面は色々飛ぶが全くテンポの悪さは感じられない。技に魅せられ、力にねじ伏せられた感じ。

柳川とし子刀自を中心に様々な「絆」を感じさせてくれるハートフル誘拐ストーリー!傑作!


No.91 4点 8の殺人
我孫子武丸
(2008/03/02 16:16登録)
メイントリックは簡単ですぐに気付いてしまった。ってか、同じようなトリックを何かで読んだことがある・・・漫画だったけな?

漫画のキャラクターみたいな登場人物たちの軽いノリは特に気にならなかったけど、解決編はもっとシンプルにした方が良いと感じた。どんでん返しの犯人指摘は策に溺れてる感を覚えた。

デビュー作で、文章が拙い箇所もあるが勢いが感じられる。まぁ普通のミステリ。


No.90 5点 確率2/2の死
島田荘司
(2008/03/01 16:18登録)
わざわざ長編で書く内容でも無いような感じがする。中編くらいでちょうどいいストーリー。
それでもテンポよく一気読みできるので気軽に読めるという点ではお勧め。

誘拐事件と白いライトバンの関係は「なるほど」と思った。

169中の書評を表示しています 61 - 80