神様の裏の顔 |
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作家 | 藤崎翔 |
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出版日 | 2014年09月 |
平均点 | 6.57点 |
書評数 | 7人 |
No.7 | 8点 | 鷹 | |
(2024/05/27 14:26登録) 結末まで読んで再度読み直すと上手くミスリードさせられたことに気づきました。 |
No.6 | 6点 | E-BANKER | |
(2018/02/25 11:48登録) 重ねて第三十四回目の横溝正史ミステリ大賞受賞作。 元お笑い芸人という異色の経歴でも騒がれた本作。 2014年の発表。 ~神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。・・・のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶなか、とんでもない疑惑が。実は坪井は凶悪な犯罪者だったのではないか? 坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今どきギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は? どんでん返しの結末に話題騒然となる!~ 他の方も書かれてましたが、確かによくできたコントのシナリオのような雰囲気。 これは別にけなしているわけではない。 実に計算された舞台劇という意味での「よくできた」なのだ。 (三谷幸喜のシナリオに近いような雰囲気もある・・・かな?) 物語は紹介文のとおりで、登場人物ひとりひとりが亡き坪井誠造の「神様」のような振る舞いを偲ぶ回想シーンから始まる。 ただし、回想シーンのところどころに“わざと”「伏線」がまかれていて、読み手の心をザワザワさせる。 そして、物語は急転直下。聖人君子だった男が、世にも希な殺人鬼へと・・・ 平穏な方向へと落ち着くかに見えた終盤。物語は更なるサプライズへと導かれていく・・・のだ。 こんなふうに書くと、ものすごく面白い作品のように思っちゃうよね。 でもまぁ、そこまでではない。 ラストは予想の範疇という方もいらっしゃるだろう。 作者としてはこのメイントリックこそがサビでありオチだったんだろうな・・・乾坤一擲。長年温めてきた!っていう感じだ。 デビュー作としては十分及第点だと思う。 アイデアとしてはなかなか面白くて、「なるほどね」と感心させられる点もあった。 もちろん、齟齬や瑕疵はあるけど、そこら辺はまぁー目をつぶってということで・・・ (これは・・・叙述トリックということだよね?) |
No.5 | 6点 | 名探偵ジャパン | |
(2018/01/27 17:53登録) 著者は元お笑い芸人だと聞いていたので、本作を読んで、「もしかして、アンジャッシュのどちらか?」と一瞬思ってしまいました(アンジャッシュはまだ活動しています) 作者の著書は「私情対談」を先に読んでいたのですが、登場人物の独白だけによる構成というのが本作と全く同じだったのですね。これが作者の得意技ということなのでしょう。 「この話がどうミステリになっていくのか……」という展開で始まり、途中、タイトルを思い起こし「もしかして……」と思わせ、「いや、そんな直球のはずがない」と考え直させる。そして最後に一波乱あって、ラストの落ちに繋がるという、かなり考え抜かれた(アンジャッシュのコントのような、と言ったら作者は怒るでしょうが)構成の妙でした。 面白かったのですが、複数の偶然に依らなければ犯行(構成)が成立しないところは気になりました。 ここから若干ネタバレありです。 これは個人的な嗜好の問題になるのですが、最後、殺人者が裁かれることなく逃げ延びる、というのは好みではありませんでした。ラストの「犯人の正体」が明らかにされた時点で、こうなることは予想が付きましたけれど。 登場人物の一人称にも関わらず、重要な手掛かりが後出しで語られるなど、本格ミステリとしてはどうか? という展開だったのも気にはなりました。 |
No.4 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2017/06/24 17:49登録) 最後の一行的な終わり方であれば、もっとインパクトがあり評価はアップしたと思います。ラストは一件一件丁寧な説明ではあるのですが、一件のみで、あとは読者の想像にお任せでもよかったのかも?。神様と呼ばれた元教師もアッチ系は人間的でよかった(笑)。適度のユーモアがあり楽しめました。 |
No.3 | 6点 | haruka | |
(2017/02/19 23:19登録) お笑い先行かと思いきや、しっかりミステリーになっていた。面白かったです。 |
No.2 | 7点 | メルカトル | |
(2017/01/12 21:53登録) 適度なお笑い要素、平易で誰にでもわかりやすい親切な文体、すんなり頭に入ってくる巧みなストーリー展開、終盤のサプライズと売れ筋ポイント満載の傑作です。 舞台は通夜での焼香、通夜ぶるまいの席、親族控室とどこか辛気臭い感じもしますが、それも含めて雰囲気は悪くありません。元教師で誰からも慕われていた坪井誠造は果たして本当に神様のような存在だったのか、をめぐって親族、店子、元同僚らが推理やディスカッションを繰り広げます。すると次第に故人の裏の顔が浮かび上がってくるという仕組みになっていますが、果たして・・・。 終盤までは各語り手が遭遇する事件が披露され、そこから二転三転、とんでもない反転が繰り返されます。最後の最後まで飽きさせることなく面白く読ませる手腕は確かなものがあり、今後の活躍が期待される新人の登場です。 |
No.1 | 6点 | まさむね | |
(2015/05/02 09:46登録) 第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作。 既視感はありますが、構成自体は確実。軽妙な語り口にユーモアも交えて、楽しく読ませていただきました。作者は元お笑い芸人だそうで、次作にも大いに期待したいと思います。 ちなみに、この作品と大賞を争ったのが、白井智之氏の「人間の顔は食べづらい」。両作品を読み比べてみますと、「明るくひょうきんな優等生」VS「頭はいいけど何を考えているのか分からない生徒」という感じ。選考会での評価も分かれたようですが、個人的には、「神様の裏の顔」の総合力を素直に認めつつも、「人間の顔は食べづらい」のチャレンジ精神に一票。選考委員の中では有栖川有栖氏、道尾秀介氏の選評に近いですね。恩田陸氏、黒川博行氏の選評にはちょっと同意しがたい面もあって、なるほど、こういう観点でも好みの作者さんかどうかってことが分かるのだねぇ…などと改めて感じ入った次第です。 |