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ミステリの祭典

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ルパンの消息

作家 横山秀夫
出版日2005年05月
平均点5.57点
書評数7人

No.7 5点 makomako
(2018/05/28 20:07登録)
 なかなかの力作です。読後感も良い。
 処女作だけあって色々と考え抜かれて色々と詰めこんでありますが、比較的すっきりとまとめてあると思います。
 ただし想定があまりに非現実的です。
 犯罪が起きてから15年経ち、時効までわずか一日という設定は絶対無理があります。こんなに容疑者をしらみつぶしに捕まえて、長々と白状させるのに、本当に一日でできましょうか。警察にこれ程の能力があるなら15年間何してたの。
 さらに捕まった方も実に詳細に当時のことを述べているけど、たとえ印象的な事件ではあったけどみんなが時間体位で覚えているのは無理でしょう。
 設定ミスと思っていたら最後にどうしてもこういった設定にしなければならなかったことがわかってきます。
 でもこれはほかの方も書いておられるように明らかに蛇足でしょうね。
 

No.6 3点 Akeru
(2017/09/22 14:40登録)
まさしく「蛇足」という単語が相応しい一作。 以下、感想はややネタバレ。



途中で3億円事件の問題(と言っても3億円事件の犯人と目される人物が出てくる)のだが、そのくだりさえなければ65点級の作品にはなってたはずなのに。
要するに「そうせざるを得なかったという必然性の欠如」が目立つ結末になっていた。「なんでそういうことしちゃったの? 普通にしないよね、それ」って思わせてしまう推理小説は推理小説として端的に不適格だろう。 3億円事件のくだりを削除するだけでその必然性の問題は解決したはずなのに、まさに蛇足。
そしてそれがなかったとしても、特に感動するような傑作ではない。 佳作という程度だろう。
しかしこれだけの作品を処女作として書き上げる氏の実力には驚かされた。 上記の一点を除いて、読んでみて駄作だと感じることはまずないのではないか。

No.5 4点 あびびび
(2011/06/02 16:30登録)
高校生が校舎に忍び込んであれこれ…という物語の流れもそうだが、確かに全体的に切れがなかった。ただ、長い間埋もれていた作品にしては高レベルだと思う。

やはり横山秀夫と言えば短編集、これに尽きるかも。

No.4 6点 E-BANKER
(2011/05/31 22:22登録)
作者の処女長編作。
サントリーミステリー大賞「佳作」受賞作です。
~15年前自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人だった。警視庁に入った1本のタレコミで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生3人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が2つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である3億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで
24時間。果たして事件は解明できるのか?~

デビュー作としてはまずまずの出来ではないかというのが率直な感想。
事件関係者3名が、刑事の尋問を通じてそれぞれ過去を回想、徐々に真実が明らかになってくる過程がなかなか読ませる・・・
別に派手なトリックや叙述的な仕掛けがあるわけではないですが、作者らしく丁寧に作りこまれたプロットは一読に値すると思います。
ただ、「3億円事件」まで絡ませたのは、相当無理がある! 本筋に無理やりくっ付けた感がありありで、ラストのドンデン返しも微妙。
まぁ、でもやっぱり横山秀夫は「短編」でこそという思いを強くしましたね。
数ある珠玉の短編集に比べれば、本作の読み応えが薄く感じてしまうのはやむなしというところでしょう。
(不良高校生が自身を賭けてやることが「テスト問題を盗み出すこと」なんて!ある意味平和すぎでしょ!)

No.3 4点 haruka
(2011/05/29 12:47登録)
氏の長編を初めて読んだが、実質的な処女作ということもあるのか、他の傑作短編とのレベルの違いを感じた。三億円事件に青春時代のエピソードなど、無駄に盛り込みすぎの感があり、しかも成功しているとは言い難い。

No.2 9点 月極
(2010/06/13 20:44登録)
青春群像活劇・警察・推理と3種の要素が楽しめます。全体的な構成もしっかりしてて、これが処女作とは信じられません。

No.1 8点 itokin
(2008/05/24 20:11登録)
これほど完成度が高い作品が日の目を見なかったとは信じられない、作家デビューのハードルの高さが解った感じがする。現在のテンポ、迫力には少し及ばないがテーマ、筋建て、謎解きなど十分楽しめる、最後の終わり方も、氏独特の暖かみがあって良い。

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