神曲法廷 神性探偵・佐伯神一郎シリーズ |
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作家 | 山田正紀 |
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出版日 | 1998年01月 |
平均点 | 7.60点 |
書評数 | 10人 |
No.10 | 8点 | ボナンザ | |
(2023/09/21 12:05登録) 神曲に沿ったストーリー展開、一見主人公が普通に推理を進めるだけなのに払しょくできない不気味さと山田正紀の真骨頂を発揮した名作。 |
No.9 | 8点 | 虫暮部 | |
(2019/09/27 12:02登録) 本来もっと影響力と言うかカリスマ性と言うかその手の強さを持っている筈の登場人物(複数)が、“空っぽ”と評される被告人と同様いやにのっぺりと描かれている。極論全員人形みたいだ。 ちっぽけな人形を指ではじいたら、互いにぶつかり合ってあっちで壊れこっちで壊れ。それを天空の高みから見下ろしている気分だった。ぼんやり霧がかかったようなイメージが頻出することもあり、人間ドラマという感じではない。そしてそれこそ作者の意図のように思える。 ところで、彼女の登場場面で、プライヴェートを地の文で説明しているのはアンフェアでしょう。 |
No.8 | 6点 | VOLKS | |
(2018/10/11 06:41登録) 序盤はポンポンと軽快にすすんでいくのですが、中弛みしてしまい、加えてこの厚さ… かなり時間がかかった一冊でした。 精神疾患の患者さんが多すぎる、など気になる点はあったものの、読み終えればきちんとした推理とダンテの新曲とが絡み合っていて良かったです。 が、とにかくラスト。 衝撃的過ぎて、全てがこれでひっくり返されたような、ちょっと呆気とられる感覚でしたね。 |
No.7 | 9点 | 蟷螂の斧 | |
(2018/08/20 18:35登録) 参りました。こんなラストが待ち受けているとは?!。 ~神宮ドームで火災事故が発生。防火管理責任者が業務上過失致死傷罪で起訴される。公判直前、絶対に凶器を持ち込むことができないはずの東京地裁の控室で担当弁護士が刺殺され、さらに報道陣が見守る中、裁判官室(10F)から出られないはずの判事が、法廷(5F)の被告人席で絞殺されてしまった。~ ダンテの「神曲」をモチーフに描かれています。主人公の検事・佐伯神一郎は神経症を患い、神の声が聞こえるという設定です。この点で「後期クイーン的問題」を簡単にクリア?(笑)。と言っても神が答えを教えてくれるのではありません。チャンと推理する本格ものです。 |
No.6 | 6点 | no.3 | |
(2008/06/05 17:29登録) 「神曲」がわからないので、イメージが湧きにくかったのは確かです。司法制度については面白かったです。ラストは、とにかくインパクトはありますね。 自分は精神分裂症なのかと怯える主人公は、興味深かったです。 初・山田正紀だったのですが、全体としては微妙な感じです・・・。 |
No.5 | 4点 | しゃんてん | |
(2003/05/05 16:45登録) 私が、『神曲』など読んだ事がなかったり、現在の司法の世界に興味を持たないからだろうか、主人公が何故『神曲』にはまっているのか分からず、また、主人公が検事の社会に持っている不満もピンとこなかった。また、主人公へと語りかけてくる神の声(?)のようなものに対して、主人公は恐怖を感じているのだが、私にはその声に迫力を感じることができなかった。 主人公がどういう人物なのか感覚的に把握できなかった(想像力の範疇を超えていた)ため、主人公が対面している事件にも関心が持てず、物語を読み進めるのが、私にはなかなか苦痛だった。精神障害や日本人論に関する記述にも興味をもてなかった。 しかし、ラスト4ページには戦慄を覚えた。すごい。でも、前半で私が退屈さを感じていなければもっと楽しめたのに。 |
No.4 | 10点 | エラリィ | |
(2003/01/22 23:59登録) 憑かれた佐伯さん最高!綿抜殺しの時の論理が良いですね。話は司法問題も含めてかなり深かったと思います。でもなんといってもラスト、・・・・怖い。あとこれはシリーズ化してほしい、佐伯&望月シリーズってな感じで。 |
No.3 | 8点 | じゃすう | |
(2002/12/04 23:11登録) 精神病患者がむやみに多い気もしないでもないですが、全体的に救いのない雰囲気が良かったです。 でもやっぱりラストが一番衝撃……。 あと『骨フェチ』の監察医がキャラ的に好きでした。(出番はほとんど無いけど) |
No.2 | 8点 | 流破 | |
(2002/07/04 16:15登録) ちょっと難しげですけど面白いです。 神の声を聴こえる男ってかっこいいな。(本当はたんなる病気) SFの主人公みたい。 |
No.1 | 9点 | J.Mascis | |
(2001/11/09 23:30登録) ダンテの「神曲」との暗合が独特の雰囲気を醸す。「神」はウロボロス連作でいう処の「大文字の作者」とも読める。最後の崩れ落つる大伽藍はかなりの力技だが「神曲」の下地が効いていて作品的には自然に思える。 |