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ミステリの祭典

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烏丸ルヴォワール

作家 円居挽
出版日2011年10月
平均点4.88点
書評数8人

No.8 4点 メルカトル
(2017/04/01 21:53登録)
とにかく双龍会に至るまでが長いです。しかもかなり退屈だし、キャラも前作と比べると個性が際立っていないですね。小手先の表現力でもってなんとか描き分けしようというのがみえみえで、それがいちいち鼻についたりします。
なんだか大仰な立役者たちが何人か登場しますが、あまり大物感が感じられず、この人そんなに偉いの?と思ってしまいます。まあ、それほど掘り下げられていないから当然ですかね。
で、ようやく待ちに待った双龍会ですが、期待したほどではなく。まったく盛り上がりません。龍師という偉そうな資格?を持っているはずの流など、これで仕事を全うできているのかと疑いたくなるほど無能さを晒したりして、高揚感が少しも味わえません。臨場感もないし、これは最早作者の力量の問題なのではないかと思ってしまいます。
取り敢えず内容に見合った長さとは言いがたいですね。もっとコンパクトにしていいと思います。採点数が少ないのも解る気がしました。

No.7 5点 風桜青紫
(2016/01/27 01:36登録)
円居挽の作品はキャラが立ってるという意見をよく見るのだけど、個人的にはそう思わない。どのキャラも特性が漫画的で、なんていうか、キャラの内面があんまり滲み出てきてない気がするわけです。漫画的なキャラ付けというのは京大組には結構多いのだけど、メル、JDC、三途川、らいち、あたりが作品ひとつを成立させるキャラクター性があるのに対して、ルヴォワールシリーズはあくまで双龍会が主役で、キャラ一人一人は装飾品って感じなんだよね。というわけで、今回はみつるさんが主役なんだけども、みつるさんを追って作品を楽しむのは少し難しかった。円居挽自身はこういう話を書いたりするわけだから、キャラ付けに凝っているんだろうけども、それがどうにもうまく決まってない気がする。みつるさん、かわいい奴だけど、地味なんだよな……。双龍会も小粒だったので残念。仕掛けはうまい、と思ったので5点だけども、もう少し面白くできたという気持ちが残ります。

No.6 7点 505
(2015/10/08 12:06登録)
『丸太町ルヴォワール』の正統的な続編である。前作以上に双龍会という仕組みを存分に活かした骨格がある。この部分に関しては、前作以上の出来。調査の段階から青龍師側と黄龍師側の両視点を交差させて、読者にある程度の情報量を与え、手の内を晒している。あとは、骨でもあり血でもある私的裁判の双龍会シーンによる後出しの情報によるスクラップアンドビルドの応酬が小気味いい。真相を明らかにさせる場という雰囲気ではない双龍会だからこその掛け合いと言える。この辺の舞台装置は見事。前作からのキャラクター達を上手く配置して、敵味方を白黒はっきりさせているところも良く、各キャラの活躍の場を制限させつつ、盛り上げるエンタメ心も忘れていない。

それでも、どんでん返しのインパクトは前作に比べると弱い。そのテンポに慣れてしまっているからだと思うが、謎自体がシンプルすぎて、詭弁紛い推理で真相そのものよりも、過程に興を注いでいる様がなんとも愛らしい。
事件の真相がある程度明かされた上でも、引っくり返すパワーのある筆力は圧巻である。

そして、物語は余韻のある幕切れとなるわけだが、『ルヴォワール』に相応しいの一言。同じ毒を盛られても尚、この切れ味と苦味。シリーズ特有の二番煎じな尻切れトンボにはせずに、さらにステージを上げる手腕は確かなものであり、作者の力量に拍手を送りたいと思う。これぞカタルシスである。

No.5 4点 虫暮部
(2015/01/13 10:52登録)
 まわりくどい書き方。長さに比例する面白さが得られたとは言い難い。

No.4 2点 makomako
(2015/01/10 22:15登録)
 私には皆さんの評判がよい「丸太町ルヴォワール」もピンと来なかったのだが、本作品はもっとダメでした。
 読むのが苦痛でした。私にはこの作家は合わないのでしょう。

No.3 5点 kanamori
(2014/01/07 19:01登録)
京都に伝わる稀覯本の持ち主が不審死する。事件の真相とその本の継承を巡る兄弟の争いは、私的裁判”双龍会”で決着をつけることになるが、伝説の龍師”山月”の計略により、瓶賀流は仲間たちとの対決を選ぶことに------。

「ルヴォワール」シリーズの2作目。確かにこれは前作を読んでないとついていくのが厳しい。前作のネタバレもそうですが、最初は龍樹家と周囲の若い龍師たちの人物関係が思い出せず、把握するのに苦労しました。
で、前回と比べると面白さはだいぶ落ちるという評価です。ひとつにはクライマックスの双龍会での対決までの準備段階(ミステリ的には仕込みの部分)が長すぎる。もう一つは、設定された謎が小粒で魅力に欠けること。
もともと、本シリーズは謎解きというよりコンゲーム、ディベート合戦の面白さで読ませるのですが、今回は個人的にその部分が嗜好に合いませんでした。

No.2 5点 HORNET
(2012/08/13 02:16登録)
 双龍会までのくだりが長く,しかも場面が転々として過去の話も出てきて,少し読むのが苦痛だった。達也と流の高校時代の顛末,達也の高校生活の「敗北」など,自分でも分かっているのか分かっていないのか分からなくなる。含みのある描写や言い回しが多いところもそういうのを助長している。
 肝心の双龍会の攻防も,前作のほうが断然よかった。論理で勝ちさえすれば真実すら度外視,というのが双龍会の魅力なのに・・・なんだか,という感じ。
 ただ,個人的にとてもよかったのは,瓶賀流のキャラクターが大いに生かされ,彼女の魅力が前面に描かれていたこと。

No.1 7点 まさむね
(2012/02/10 22:58登録)
 ルヴォワール・シリーズ第2弾。
 前作「丸太町~」を読んでから手にされることをオススメします。と,言いますのも,前作の重要ネタの一部が惜しげもなく(?),冒頭で示されるからです。
 で,この作品ですが,前作と比べて,事件そのものはシンプル(まぁ,設定として「真相」にはあまり意味は無いのですが…)。そして法廷ミステリとしての側面も,前作からすると弱めかな。
 しかし,「龍師」たちの前哨戦を含めた「騙し合い」は前作以上とも言え,なかなか楽しめます。どんでん返しの連射も健在。よくあるラノベと思ったら大間違いです。
 しかし,最重要ポイントは何と言ってもラスト。唸りました。見事にやられました。脱帽です。


(ネタバレ?)
 第1章があっただけになぁ…。「又鴉の計」ねぇ…。悔しい!

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