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ミステリの祭典

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花の鎖

作家 湊かなえ
出版日2011年03月
平均点5.56点
書評数9人

No.9 5点 測量ボ-イ
(2021/06/26 13:24登録)
ミステリ的なオチもきちんとありますし、水準以上に作品ではあります。
ただ内容的には、女性向きの作品でしょうか。
女性が読むと、もっといろいろ共感できそう。

(ここからネタばれ)
3人の女性が登場し、その関係が最後に明かされます。
登場人物が多いので、人物表がないのが不満だったのですが、なるほど
この真相だから、あえて書かなかった?

No.8 6点 VOLKS
(2018/06/20 00:18登録)
楽しめました。
3人の女性の関係は読者の想像通りで予想を裏切らない展開なのだけれど、あっと驚くミステリーではない小説なのに読者を引き込むのは、湊かなえさんならではの手腕。
たくましい女性あり
イラッとする女性あり
カッコイイ女性あり
色んなタイプの女性達が登場して楽しませてくれました。

No.7 6点 E-BANKER
(2014/09/13 22:20登録)
「別冊文藝春秋」誌に連載され、2011年に発刊された長編。
作者らしく、「母と娘」をテーマにした企みに満ちた作品に仕上がっている。

~両親を亡くし仕事も失った矢先に、祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供に恵まれず悩む美雪。水彩画の講師をしながら和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が三人の女性をつないだとき、見えてくる衝撃の事実とは。そして、彼女たちの人生に影を落とす謎の男「K」の正体とは? 驚きのラストが胸を打つ、感動の傑作ミステリー~

さすが売れっ子作家らしいというか、いかにも映像作品向けというプロット。
(絶対映画化かドラマ化されるだろうなぁ・・・って、もしかしてもうされてるのか?)
他の方も書かれているが、私も本作はミステリー的なサプライズを狙った作品ではないと思う。
三人の女性が視点人物となり、自身の半生を順に語っていく構成なのだが、中盤辺りではもう基本的なプロットについては大凡の察しがついてしまう。
そして終章に当たる第六章では、隠されていた作品全体を貫く構図が読者の前に明らかにされる。

もちろんミステリーらしく、読者があれこれと推理するための伏線はふんだんに用意されている。
(「百恵ちゃん」なんて秀逸な伏線!)
あの人物とあの人物が徐々につながっていって、最終的には家系図や人物相関図までも読者が明確に書ける・・・これが本作のすごさであり、タイトルどおり「鎖」ということなのだろう。
冒頭にも書いたが、「母と娘」という作者らしいテーマが背骨となり、それがラストに感動を生む要素にもなっているのだ。

プロットそのものは既視感があるものだが、その使い方がうまいということに尽きる。
女性の細やかな心理描写や人の心の機微を書き分ける筆力は相変わらず。
作品が続々と映像化されていくのも頷ける。
「告白」や「贖罪」などに比べるとインパクトは劣るが、本作も十分楽しめる水準には仕上がっていると感じた。

No.6 5点 kowai
(2014/05/05 18:35登録)
相変わらずすばらしい構成ですが、それがわかるのも最後の最後。途中少しだらけましたね。。もう少し短ければ。。

No.5 6点 makomako
(2014/01/02 17:08登録)
 三人の女性の話が別々のようで、でもいずれ必ず絡み合ってくるという展開が初めから誰にでも分かるようになっているので、どんな風に絡むのかが読みどころといったところなのでしょう。
 三人の女性の話はどろどろとした展開となり最後には確かに結びついてくる。なるほどこういう話だったのかと納得はするのだがそれが感動に結びつくというものではなかった。
 女性にしか書けないお話ではあり、その点男性にとって興味深いとともに理解し難いところもある。
 女性が読んだらもっと面白いのかもしれない。
 

No.4 6点 シーマスター
(2013/12/09 22:07登録)
3つのストーリーが3交代で進み、やがて繋がるという物語であり、パターンとしてはさほど珍しくないだろうが、その種の作品の中でも本作には斬新な試みが感じられ異彩を放っているように思われる。
何が斬新かと言う前に、まず文庫の帯の「驚きのラスト」というフレーズには恐らく作者自身が心外の念を抱いているのではないだろうか。この作品は決して、3つの話が突然1つに結びついて読者をあっと驚かせようという小説ではない。
個人差はあるだろうが、多くの読者が(恐らく)真ん中すこし過ぎあたりから少しずつ各々の繋がりが見えてくるように作者に導かれ、終盤にはまるで作者と一緒に物語を組み立てている(パズルを嵌め込んでいくという感覚に近いだろうか?)ような気分にすらなってくる・・・こういう感触を味わわせてくれる小説は個人的には殆ど記憶にない。

各々のストーリーの途中は若干ダラダラした感じもあり、ラストも「くどさ」が拭えない上、期待された「感動」の要素もやや薄弱な感が否めない。何より湊かなえらしい毒を期待して読むと肩透かしを喰らった気分になるだろうが、美しく哀しく救いがある物語でもあり、個人的にはこの人の構成力の素晴らしさがデビュー作から変わっていないことを実感させられた。(まぁ偶然の多用・・特に本作では同じサークルで同世代のAML・・も相変わらずだが)

No.3 4点 ayulifeman
(2012/04/15 22:32登録)
花、雪、月と章立てで話が進んでいきます。
Kとはだれか、花が送られる理由は?という部分が謎になっていてお話の全体構造がどうなっているのかというのが読み進めていくうちにわかってきます。
こういうお話って皆さんどのあたりで感づいて、全体像を理解するのでしょう?そして作者は読者にどの辺で分かってもらうことを狙っているのでしょう?
たぶんそういうことを考えてしまったということはあまり読書に集中できていなかったのかもしれません。

No.2 6点 まさむね
(2012/02/03 21:53登録)
 3人の女性に関する物語が平行して語られていくスタイル。
 各物語に登場する,花(コマクサ・コスモス・りんどうetc…)や食べ物(きんつば・からあげetc…)等のキーワードを踏まえつつ,3人に係わる「K」と名乗る人物,そして3人の「共通項」を見出せるか…ってことなのでしょうが,多くの読者は,最終章前に容易に正答に辿り着くでしょうねぇ。もっと巧妙な手法でも良かったような気もしますが,これまでの湊作品とは異なる雰囲気を醸し出しており,それはそれで楽しめましたよ。

No.1 6点 白い風
(2011/09/22 20:19登録)
一番の感想は最早湊さんの定番となりつつある同時進行の書き方を今回は上手く使ったな、ってことだな。
ミステリだから当然、最終章(第6章)で全てが明らかになるけど、その前の第5話で大体把握できそうだね。
地方都市の商店街にある和菓子屋『梅香堂』と花屋を上手く使っていたと思う。
ただ、話の節々に出てくる画伯のことはもう少し真相と絡んでいるともっと面白かったかな。
なんか、とって付けた感じが否めなかったので。

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