トランプ殺人事件 牧場智久/ゲーム三部作・狂気三部作 |
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作家 | 竹本健治 |
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出版日 | 1981年08月 |
平均点 | 6.33点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2025/01/18 20:32登録) 「巧妙な叙述トリックだわ」 なんだか凄い、破格の不可解興味が迫る、密室での消失~殺人案件。 事が起きたのは別箇の密室(だが・・)。 コントラクト・ブリッジ愛好サークルには、イラストレーターの男女ペア、金持ちのカード蒐集家、そしてハンサムな精神科医がいる。 その中に、俳句の枠で高度な言語遊戯を弄する者がいる。 独特の清洌な文体、意外な被害者、面白い章タイトルと章立ての企(たくら)み。 暗号が活躍。 コントラクトブリッジとカードゲーム全般に関する用語集のリッチなこと。 この表題、実は本来の意味の ”トランプ” を意味する、三部作通しての出落ち叙述トリック?だったりして・・という疑いも少しばかり持ってみた。 「だったら、何もそんな叙述トリックなんか持ち出さなくっても・・・」 精神科医は、友人の大脳生理学者と(彼を通し)その助手でミステリマニアの若い女性と(更に彼女を通し)その弟で天才囲碁棋士の幼い少年、この三人に事件の解明を委ねる。 この少年こそが探偵役センター『牧場智久』。 ブリッジ、俳句、心の病、神経の病、暗号、海遊び、見えない人間関係等々 .. が場の内外を飛び交う中、或る “大きな資料” の小さなきっかけを掴んで光を見いだそうとする三人(と、・・)。 あーーー、コレ、ブラウン神父のアレと、某叙述トリックのパターンをさりげなくアクロバティックに噛み合わせた構造、なの、かな。。 ははん、ぐんわりすんなりメタ持ち込みのドリブルカットイン絶妙。 いやいや、この「作中作」と「作」のメタ×××な関係性、スィヴィレます。 三人の探偵は賑やかにじわじわとエンドへ向かって迫り、幻想に浸りながら爽やかなエピローグにて開放型の落着。 人の話に拠れば、人生は、満ちたり、欠けたり、その繰り返しだそうです。 「・・・考えに考えて、この叙述トリックを思いついたんだと思うよ」 |
No.8 | 5点 | ボナンザ | |
(2022/03/01 22:13登録) 三部作の最後であることを意識しつつ、何を読まされているのか分からない竹本作品感をここにきて一気にクローズしてきた。問題はそれゆえに前半もやもやしながら読み進めるところだろうか。 |
No.7 | 6点 | nukkam | |
(2016/02/08 01:49登録) (ネタバレなしです) 1981年発表の牧場智久シリーズ第3作で、ゲーム三部作の最終作です。密室の謎解きもありますが暗号解読に力を入れた本格派推理小説です。角川文庫版の作者あとがきによれば、ホワットダニット(何が起こっているか)を追求した作品です。トランプ(カード)に関する用語説明が半端ではありませんが、その中にも謎解き伏線が忍ばせてあったりして油断なりません(といっても私は読み飛ばしに近かったのですが)。探偵役としては須藤信一郎の登場場面が少なく、その分牧場智久が前面に出てようやくシリーズ主人公らしくなります。狂気三部作の第2作でもあるのですが、狂気描写は思っていたより控え目なので私にも耐えられました(笑)。時々わけのわからない表現や文章が登場するし、結末はかなりひねくれていますがプロットは意外とストレートで読みやすく、ゲーム三部作の中では奇想と読みやすさのバランスがよくとれた作品だと思います。 |
No.6 | 6点 | メルカトル | |
(2013/08/08 22:24登録) 再読です。 雰囲気はデビュー作にかなり似通った、そこはかとなく幻想味を帯びた作品に仕上がっている。 必ずしも面白いとは言えないが、小道具のトランプのカードの使い方は上手い。気になるのはブリッジの専門用語やゲームの遊び方などがしつこく説明されているが、さっぱりわからないのでほとんど飛ばしてしまったこと。 これは必要なかったのでは?と思いきや、そこには意外なものが隠されていて、ああなるほどよく考えられているなと感心させられた。 が、個人的にはあまり好きなジャンルではないので、楽しめるというほどでもない。 全体的に地味な作品だが、竹本氏の作品としては破綻なくまとめられている。 |
No.5 | 8点 | 文生 | |
(2010/01/20 17:22登録) 日常が幻想空間になるような独特の雰囲気。 趣向としては氏のデビュー作である『匣の中の失楽』の縮小再生産なのだけど、作者の作家的成長からくる読みやすさという点で断然こっちの方が面白く感じた。 |
No.4 | 10点 | alp | |
(2004/11/28 19:04登録) 三部作の掉尾として呼んでいることが大前提。迷宮の中をさまよう不吉感は竹本作品でもこの作が頂点です。謎解きより、ホラーやサスペンスの文脈に近く、ジャンル境界作なのが評価を難しくしているのは確かですけど、日本のミステリ中でも最高の一品と断言します。 |
No.3 | 4点 | 由良小三郎 | |
(2002/07/12 20:42登録) 1980年代の初めの作品ですが、印象はひどく古めかしい。竹本さんのめざしてるミステリの古典みたいなものの影響でしょうか。読んでて楽しくなかったです。 |
No.2 | 1点 | ケインおすぎ | |
(2002/01/28 15:31登録) どこが面白いの? |
No.1 | 10点 | すー | |
(2001/04/13 00:02登録) これの暗号は良く出来てたなぁ。三部作の徹尾を飾るに相応しい作品。 |
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