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ミステリの祭典

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鷺と雪
ベッキーさんシリーズ

作家 北村薫
出版日2009年04月
平均点5.38点
書評数8人

No.8 5点 パメル
(2025/03/22 19:19登録)
ベッキーさんシリーズの第3弾。第141回直木賞受賞作で昭和9年から11年までの出来事が3編収録されている。
別宮みつ子ことベッキーさんは、学者の家に生まれアメリカの大学を卒業したが、帰国して花村家のお抱え運転手になった。花村家の当主は財閥系商事会社の社長。娘の英子はベッキーさんの運転する車で学校に通うという絵に描いたようなお嬢様。
「不在の父」多くの人でごった返す伯爵邸から弟子の子爵が忽然と姿を消た。この行方不明になった謎を追う。この作品全体のラストを予感させる終わり方。
「獅子と地下鉄」中学受験を控えた和菓子屋の息子が深夜の上野公園で補導されたが、本人はその理由を明かそうとしなかった。親の子供への愛、そして子供の親への愛にしみじみとさせる。
「鷺と雪」子爵令嬢が服部時計店でカメラを買って試し撮りしたところ、外国にいる許婚者の姿が写っていた。ちょっとしたからくりと当時の写真機を知った上でのトリック。
日常的でしかも奥深い事件の謎が、ベッキーさんの推理によって鮮やかに解明されていく過程の面白さもさることながら、背景となる上流社会の描写に精彩があり、当時の文化や風俗もしっかり織り込まれている。特に表題作は、2・26事件を扱っておりラストは切ないばかりの痛みが鮮烈。

No.7 6点 ◇・・
(2023/07/19 20:23登録)
昭和初期を舞台に、土族令嬢とそのお抱え女性運転手を主人公とするシリーズ第三作。
神隠し、深夜の少年の彷徨、不在の人物が写った写真。不気味で、しかしどこか懐かしい謎の事件が、小気味よく鮮やかに解明される。しかし、合理的な謎解きの後も、人間の心のえもいわれぬ不思議が豊かな余韻を響かせる。
妙齢のお茶目で魅力的な少女が語る現代の「半七捕物長」といった趣もあるし、その裏に戦争に向かう日本近代史の闇を凝らせる巧みさだ。

No.6 5点 ボナンザ
(2021/09/24 12:54登録)
こう終わらせたか、と唸った。まあ現実的ではないけど、容赦のない世相の中に少しでもロマンチックさを出したかったのか。

No.5 6点 ことは
(2021/05/16 14:28登録)
さらにミステリ度は下がっている気がする。謎は解決はあるが、検討がないために、そう感じるのだと思う。そのため直木賞受賞作だが、評価はあがらないなぁ。
不在の父:「馬さん」の人物造形がよい。やはり北村薫はキャラクターの作り方がいいなぁ。
獅子と地下鉄:謎自体がたわいもない。この話に直接関係なくブッポウソウが登場する。参考文献によると実際にあったこととのこと。前に出したのはこのための布石だったのだな。
鷺と雪:当時の時事の話が一段と多い。それは、やはりラストの効果のための布石なのだと思う。このラストは確かにいい。ミステリとしてはどこかで見たような手口。悪意の見せ方は、北村薫らしい。

No.4 5点 まさむね
(2015/02/28 23:23登録)
 戦争の足跡が聞こえる昭和初期の、良家の令嬢の視点で描かれる「ベッキーさんシリーズ」の完結編。
 ミステリの側面よりも、このシリーズ発案のきっかけになったという、実際にあったエピソードを活かしたラストの場面が趣深いです。確かに、あり得た話なのでしょうね。このシリーズ全体が、このラストに集約されていると言ってもいいんじゃないかな。

No.3 5点 itokin
(2013/03/30 12:12登録)
直木賞受賞と聞いて読んでみたがこの小説の良さが理解できなかった。優雅な華族の生活、文学の深い薀蓄など所詮私には備わってないので読み辛く思ったのでしょう。

No.2 5点 白い風
(2009/10/23 19:37登録)
北村さんがこの作品で直木賞を受賞したと聞いて、「空飛ぶ馬」「夜の蝉」などの後に読みました。
構成は”円紫&私”シリーズとよく似ていました。
そう考えると評価は大きく下げざるをえないですね。
私は「夜の蝉」の方が好きですね。

No.1 6点 あるびれお
(2009/09/09 03:37登録)
三部作の最後、直木賞受賞作である。
この頃の日本がどのような方向に進んでいったのか、その結果どんなことになったのか、ということを知っているだけに、最後の「間違い電話」による「奇跡」に切なさと儚さを強く感じた。作者北村薫自身もインタビューで述べていたが、主人公を含め、戦後の彼女・彼等の姿というのを、何か別の物語の中でも良いので垣間見たい気にさせられる。

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