四月は霧の00密室 私立霧舎学園ミステリ白書シリーズ |
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作家 | 霧舎巧 |
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出版日 | 2002年04月 |
平均点 | 5.43点 |
書評数 | 7人 |
No.7 | 6点 | nukkam | |
(2023/07/27 20:04登録) (ネタバレなしです) 2002年発表の私立霧舎学園ミステリ白書シリーズ第1作です。「霧舎が書かずに誰が書く!」と随分ハイテンションな作者あとがきが講談社ノベルス版の巻末に置かれていますが、「ラブコメミステリ」と宣言しつつもこれまでの霧舎作品と変わらぬクオリティの本格派推理小説を目指したようです。そうはいってもタイトルの「00」を「ラブラブ」と読ませているところからして私のようなおじさん読者(もうおじいさんか)は気恥ずかしさを感じてしまうのですけど。ラブコメ要素は第1作ということもあってか、漫画チックなガールミーツボーイ的な出会いがありながらもまだおとなしめで(なぜかヒロインの母親が強力に仲をとりもとうとします)、本格派としてしっかりした造りなのが嬉しいですがやはりラブコメという壁(?)を越えて幅広く読んでもらえるかが鍵でしょうね。余談ですが「ドッペルゲンガー宮 『開かずの扉』研究会流氷館へ」(1999年)への言及があって作品世界はつながっているようですね。 |
No.6 | 6点 | 人並由真 | |
(2020/10/05 14:06登録) (ネタバレなし) 四月の新学期から、私立霧舎学園の高等部に転入してきた二年生の女子・羽月琴葉は、初日の朝から遅刻。さらになぜか学園内にたちこめていた霧の中で、同学年の男子生徒・小日向棚彦と恥ずかしくも運命的な出会いをする。しかも彼らの出会いの場には、何者かに殺された男性の死体までついていた。 書庫から出てきた一冊。大昔に、同じ作者の「あかずの扉」研究会シリーズの一冊目を読んだのち、こっちも面白そう? と思って購入したシリーズ一冊めだと思う。もちろん(?)本シリーズはこれが初読。 長々積ん読にしていたうちに、通信技術の描写に違和感はあるわ、パソコン環境がほとんど不在だわなど、時代的な隔世感は生じてしまった。 ただしその辺を気にしなければ、軽快な文体の、しかししっかり練られた学園青春ラブコメパズラーとしてなかなか楽しめる。 ミステリ的な興趣の多くは、本サイトの先の505さんのレビューがしっかり語ってくださっているのでほとんど付け加えることはない。 あえて(なるべくネタバレにならないよう)追加で言えば、大きなミスディレクションのひとつを、この手の青春学園ラブコメものの作法パターンのなかにかなりさりげなく忍ばせてあること。いずれにしろ、伏線の張り方やサプライズの効果のあげかたでは、いろいろ唸らされる。 仮想ライバルはズバリ、コミック「金田一少年」シリーズだったそうで、そちらで<ライトな語り口の本格的な謎解きパズラー>の面白さを知ったファンに、小説分野でももう一度同じ楽しみを味わってもらい、いずれはミステリというジャンルの大海に漕ぎ出してもらいたいとかの抱負らしく、そういう理念は大いに結構。 (まあ企画の初動から20年近くも経って、受け手のこちらが今さら言うことじゃあないし、それ以前に、今はあちこちに青春ラノベパズラーなんて散在しているけど。) しかし改めて思ったのは、小説というジャンルだと作中の事件の形質がそんなに広がらなくても、十分に一冊分の作品(長編)を作れるものだということ(しかも中身はそんなに薄くなく)。 それこそ「金田一少年」みたいなコミックメディアだとこの紙幅を支えて読者を飽きさせないために、もっともっとイベントが必要だと思う。ラブコメとキャラ芝居でページが稼げて、そしてそのなかで捜査の筋道を語ったり、伏線を張ったり、手がかりをバラまいて、お話が保つのだからよろしいよね。 このあとのシリーズは計画的に11冊続いたらしく(長編版『犯罪カレンダー』だ)、その分、ラブコメ的には描写もマンネリになって、お話を作るのが難しくなっていくのでは? と愚見。しかしうまくいけば、そのラブコメがマンネリに陥っていくパターンすら、ミステリとしてメタ的に料理してくれることもあるんじゃないかな? と期待している。 このシリーズもちょびちょび、読み進めていきましょう。 |
No.5 | 5点 | 505 | |
(2015/10/13 19:37登録) あとがきにもある通り、「ミステリがマンガのエッセンス」を取り込んだ作風になっているので、とてもラノベ感が強い。しかし、ミステリとしての中身は思いの外にキッチリしている印象。 テーマはミステリフリークには堪らない『密室』であるが、『逆密室』であり、二重構造でありと、中々に複雑な謎を提供してくれる。肝は当然フーダニットであるが、それ以上に〝不可能状況の中で、死体はなぜそこにあったのか〟である。その謎に対して真摯に取り組む探偵たちの姿勢が描かれている。逆密室を生み出したトリックに関しては、舞台装置を考えれば、わりと妥当な線と言えるであろう。無理のない範囲でのトリックと言える。事件前後に起きた『事象』に対しても、一つ一つ潰していき、その結果が連鎖的に犯人像を絞るという流れは見事。探偵役が地味に嗅ぎ回っている理由は、実にラブコメしており微笑ましい。現場の位置やそこから生まれた〝錯覚〟に対しても、予めに作者が提示している部分にフェアな精神を感じる。 徐々に容疑者が拡散していく様は、やや散らかった印象を受けたが、最終的な犯人当ての時に、その意図が晒されるという点においては技巧的。犯人像の絞り込みから動機面を一切排除して、犯人たる条件と現場の状況を照らし合わせていく様は快感であった。 難癖を付けるならば、随所にフェアプレー精神は感じるものの、肝心の部分は意図的に隠蔽されていたことであろうか。それを事件の決着後に明らかにするのは果たして効果的だったのだろうか、という疑問はある。あくまでもミステリとしては、ややロジックが弱いが、それでも表紙から受けるキャッチ-な印象とは違って思いの外手強い。ジュブナイル色の強いシリーズの出だしとしては上々と言えるかもしれない。 |
No.4 | 5点 | ボナンザ | |
(2014/11/19 21:02登録) 金田一少年の事件簿をライバル視するに足る一作目。 |
No.3 | 6点 | 測量ボ-イ | |
(2013/01/20 16:28登録) こちらは「あかずの扉」シリ-ズと比べ随分と 読みやすい。犯人の意外性も結構ありました。 メイントリックに対する満足度があればもっと 高評価でしたがまた次作に期待しましょう。 |
No.2 | 5点 | isurrender | |
(2011/05/10 02:10登録) 伊達に、ライバルは金田一、と宣言しただけのことはある(笑) 強引なトリックではあるので、そのあたりは残念だが |
No.1 | 5点 | 江守森江 | |
(2009/05/24 07:42登録) トリックには無理があるがシリーズのスタートとしてはマズマズ。 ※以下ネタバレ 一作目からシリーズを通してのキャラでも犯人にする姿勢には少なからず驚きがあった。 |