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ミステリの祭典

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カラスの親指
『カラスの親指』シリーズ

作家 道尾秀介
出版日2008年07月
平均点7.34点
書評数29人

No.9 7点 HORNET
(2011/01/10 16:07登録)
 詐欺師の化かしあい,裏のかきあいで,最後にはどんでん返しをさらにどんでん返し。登場人物のキャラクターにも好感がもて,読後感もよい話でした。

No.8 7点 まさむね
(2010/08/05 22:48登録)
この作品がミステリなのかどうかといった疑問はとりあえず右に置いて,楽しい読書の時間をありがとうと言いたい。
読中感・読後感とも,相当に良い。作者の「主張」も嫌味が一切なく,良い。ご都合主義的側面も,まあ,このストーリーであれば,目くじらを立てる気にはならなかった。純粋な「読書」としての評価は,個人的には「ラットマン」より上。

<以下,未読の方は注意!>
でも,道尾作品を多少なりとも知る者にとっては,どうしても「このまま終わるわけがない」という(ある意味非常に悲しい)視点で読み進めてしまう。結果として,詳細は分からないまでも,キーパーソンが誰であるのか,そしてキーパーソンと他の登場人物との真の関係が何となく予想できてしまう。無論,「何となくの予想」以上の仕掛けがあったので,それはそれで楽しめたが…

No.7 7点 江守森江
(2010/01/06 10:49登録)
緩いコン・ゲーム小説で海外ドラマ「華麗なるペテン師たち」を伊坂幸太郎がノベライズにした様な雰囲気で、楽しく読めるが作者らしからぬ凡作か?と最終章手前まで読み進む。
しかし、そこは道尾作品、一筋縄ではなく凡作の雰囲気(緩さ・御都合主義)や細かいタネ明かしもドンデン返しの効果的なミスリードになっている。
惜しむらくは、作者の作風が‘この手’に偏り、道尾作品を初読でなければ、最終章手前まで放置された儘の鍵となる人物の存在から、少なくともドンデン返しがある事は察せて驚きは薄い(察しが良ければ作者の狙いにも到達する)
それでも、最終章での濃密な伏線解説は、本格ミステリとしても読み応え充分で満足出来る。
読後感の良い大団円は好みだが、ドンデン返しによりタケさんの娘の死亡(出火)原因も反転し(行動原理の根幹である謎だけに)タケさんが放置する結末にモヤモヤが残る。
楽しい読書と細かな不満を相殺して「ラットマン」と同点にした。

No.6 8点 こう
(2009/10/14 03:06登録)
 この作品は収穫でした。推奨の帯だけでは中年詐欺師2人の生活に一人の少女が同居、更にその姉、姉の彼氏の計5人での共同生活が始まる、という本当に触りしか書かれていないのが逆に良かったです。
 メインストーリー、キャラクター造形も楽しめますし、真相も良かったです。真相については既に書かれている方もいますがいくらも前例がありますが見せ方が上手いので全く問題ないと思います。ストーリー全体としてみれば本当に上手くいくかは微妙ですがこういうストーリーを読ませてもらえば個人的には満足でした。ただ全作品を読んだわけではないですが道尾秀介氏の作品ということで察しがつく読者もかなりいそうです。

No.5 8点 あるびれお
(2009/09/09 05:41登録)
読み進むに従い、いくらなんでも御都合主義に過ぎるのでは、と感じる部分が多々あったのだが、最後に至って、完全に騙されていたことに気づかされた。いろんな書評では「ラットマン」の方が高く評価されているけれど、わたしにはこちらの方が「好み」だな。

No.4 8点 teddhiri
(2009/08/27 10:46登録)
道尾作品では最も明るく読みやすい作品。しかしそれだけの作品ではなく、仕掛けの方もバッチリしこまれている。少しなんでもありのような気がするが、騙されてしまった。また感動の演出やサプライズの仕掛けというものはやりすぎるとあざとさが感じられて嫌になってくるが、さらっと爽やかなラストやとぼけた語り口がそれを感じさせない。
 もしかすると爽やかな読み心地と語り口や仕掛けのうまさなどは歌野晶午の某作品を連想させた。強くお勧め。

No.3 9点 おしょわ
(2009/07/04 15:10登録)
面白かった。満足。
ラットマンよりこっちかなぁ。難しい選択です。

No.2 6点 だい様
(2009/04/12 13:36登録)
いつの間にか文体が完全に伊坂幸太郎調に(笑)

設定・流れともに面白く計算され尽くしたストーリーはお見事。
ただ前半があまりに面白く期待しすぎてしまったせいか後半の内容が少し残念に思えた。
万人受けを狙った感がある作品。
「指」のエピソードは秀逸。

No.1 6点 シーマスター
(2008/10/15 21:16登録)
(ネタバレではないと思うが、これから本作を読もうかと思われている方は以下目を通されない方がよろしいかと・・)


こういう系統の話だと知ってしまっていたらまず読まなかっただろうが、幸い前情報に触れることなく入れて・・・・・・・・・読んでよかったと思える一冊。
大雑把にサマライズしてしまえば割とありがちなドンデン系冒険物語と言えるが、平成二十年の小説として古さを感じさせない読み物に作り上げられているのは作者の巧さがなせる業といえよう。
ドンデンに関しては「コレのどこがありがちだ」と反論される既読者もいるだろう。
確かに一筋縄のドンデンではないが、一つ一つのサプライズは決して斬新なものではないし、メインの仕掛けは結局東野サンの○○○○○○○○などと同じく□□□だし、これに対しては「好感はもてるが大人の小説でこの仕掛けは・・??・・まあ子供向けの感動トリックかな」という感想も少なくないのではないだろうか。
他の作品でも感じたけど要するにこの人、ネタのコンビネーションが巧いんだと思う。

といってもこの作者の作品をたくさん知っているわけではないが、こういう読後感のよろしい作品は珍しいのではないですかね・・・・何となく直木賞狙いのような気がしないでもないけど。
そうでなくてもNHK辺りでドラマ化されてもおかしくないと思うが・・・・・チョッと難しいかな。

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