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ミステリの祭典

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チムニーズ館の秘密
バトル警視/別題『チムニーズ荘の秘密』

作家 アガサ・クリスティー
出版日1955年04月
平均点5.43点
書評数7人

No.7 3点 レッドキング
(2021/02/03 20:58登録)
架空のバルカン小国の政権争いと失われた宝石を巡り、冒険家、凄腕政商、大物外交官、怪盗、豪邸貴族、いい女、元気娘、謎の女、探偵、英仏刑事etc入り乱れてのクリスティー「スパイ冒険活劇もの」の集大成。幾つかの人物入代りネタの他、ほんのちょびっと宝探し暗号物のオマケも付く。

No.6 5点 虫暮部
(2019/08/26 10:20登録)
 奇妙な偶然の一致や、なんでそうなるのか不思議な言動が満載。ミステリの国と言うスラップスティックな架空世界の物語、と割り切っても、物凄く面白いとまでは思えなかった。其処此処に見受けられる妙なユーモア感覚は評価出来る。

No.5 7点
(2017/09/07 23:31登録)
久々に読んだクリスティーは、バトル警視初登場の冒険スリラーです。まあバトル警視はほとんどの作品で脇役なんですが、特に本作では口数も少なく、いつの間にか主人公たちのそばに立っているなんて、影みたいな存在です。で、最後にはある人物についての調査も既に済ませてしまっていることがわかったりして。
本作では、あるパターンの技巧が何重にも仕掛けられています。同じ手をこれほど繰り返し使っている作品は、クリスティーに限らず珍しいのではないでしょうか。最後の一つには、明かされる直前には気づいたのですが、よくもまあここまでと呆れてしまいます。また、ミカエル王子殺害犯人の設定は、アンフェアと非難されないようにした構成が巧みです。クライマックス、主人公危機一髪のシーンは、考えてみれば無理があるのですが、驚かされました。
というわけで、個人的にはかなり気に入った作品でした。

No.4 5点 了然和尚
(2015/11/10 11:12登録)
本格物ではないスパイ、冒険物の系統なのですが、既読感があり軽い感じで読みやすかったです。逆に言えば、人物や構成が薄く、平凡でした。「偽りの人物とその正体を知る者の排除」というのが既読感の正体だったようですが、クリスティーでは最もよく出てくるモチーフではないでしょうか。

No.3 6点 クリスティ再読
(2015/09/29 21:51登録)
バトル警視その4。
これクリスティ流の「ルリタニアン・ロマンス」じゃないかなぁ。
「ゼンタ城の虜」みたいな、架空の小国での冒険ロマンスをそういうんだけど、「ゼンタ城」みたいな雰囲気が結構濃厚に感じられる(クリスティが読んでないわけないね)。

作品的には「秘密機関」的な垢抜けなさが解消し、いろいろめまぐるしく展開するが、趣向がそれぞれ違って退屈な感じはない。伏線をきっちり丁寧に張りすぎてるおかげで、真相はサプライズだけどまあこれ、ヨメるよね。しかし、オトメのツボは充分心得たオチなので、そこらは合格。
バトル警視はナイスなオジさまだけど完全脇役。ヒロインのヴァージニアはあっけらかん美女で素敵。

ま、後年のバトル警視モノみたいなクセモノ作品じゃなくて単なるキャラ小説で、展開が速いから少女マンガにしたらハマると思う...と思ったらあるみたいだね。それも「忘れられぬ死」「ゼロ時間へ」と一冊になってるそうだ。よりによって激シブいノンシリーズだけで集めたものだなぁ。評者とあるマンガのあとがきにあった「クリスティはマンガ化が契約上難しい..」というのを真に受けてたが、芦辺拓氏によるとどうやらそんなことはないらしい。まそれでも権利は高いだろうから、編集の言ったテキトーな言い訳を真に受けたのかな。

No.2 6点 ボナンザ
(2014/11/05 00:22登録)
軽快なストーリー展開に、クリスティならではのどんでん返しが楽しめる佳作。

No.1 6点 あびびび
(2012/07/11 17:18登録)
チムニーズ館は歴史を作り、刻んだイギリス社交界の名門。そこで某国の王子が射殺される…。しかし物語りに悲壮感はなく、ドタバタ的にどんどん先に進む。

最後は、主人公というべき男の正体に驚いてしまうが、クリスティは「時間も掛からず、楽しんで書いた」というから軽い乗りで読むべき冒険ミステリ。

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