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ミステリの祭典

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ルピナス探偵団の当惑
ルピナス探偵団

作家 津原泰水
出版日2004年03月
平均点5.88点
書評数8人

No.8 7点 虫暮部
(2022/03/24 12:18登録)
 なんとも妙な読み味だ。ミステリとしての出来は決して悪くないのに、キャラクター小説としての巧みさに埋もれている部分があり相対的に目立たない。かと言って総体的に出来が悪いわけではなく、そういうスタイルであるとの確信に満ちた佇まいで、相応の読後感が得られた。
 ピザを食べた理由よりも、影の長さが導く手掛かりの方が面白い。

No.7 5点 ことは
(2020/05/06 15:55登録)
執筆時期が違うせいだろうが、1.2話と3話ではだいぶレベルが違う。
1話目は「ピザを……」という理由がストンと腑に落ちない。
2話目は全体的にチグハグ。構想は悪くないが、作品の雰囲気(軽いコメディ・タッチ)と、プロット(結構シリアス)が相容れず、そのため「その場でこんな事言うか?」というようなキャラに対する反感などもでてしまう。
3話目は、スムーズに話が進行し、(トリックは強引なところがありながら)真相もよくできている。1、2、3話それぞれ4、4,7点かな。
3話目のできから、続編も読む気にさせられる。

No.6 6点 まさむね
(2017/12/06 22:20登録)
 軽めの学園系ミステリかと思いきや、収録3話とも結構本格指向の強い作品でしたね。
 ベストは最終話の「大女優の右手」か。死体運搬トリックはかなり強引で、誰にも気づかれずに実行することは不可能だろうと思うのですが、右手切断のホワイの見せ方には感心しました。
 強引さが気になった点は正直他の作品にもあったのですが、メインメンバー達の軽妙な会話も含めて、私は結構楽しく読めたかな。

No.5 4点 メルカトル
(2014/07/16 22:16登録)
この程度か、というのが率直な感想。そもそも作者が津原氏だというんで、一抹の不安があったんだよね。その嫌な予感が当たってしまった。文章は読み難いわ、面白みはないわで、言っちゃ悪いが時間の無駄だった。解説にはチェスタートンの血族とか書かれているが、正直チェスタートンも好きじゃないし。
大体において、どの短編もロジックに偏り過ぎて、肝心のストーリー性がおろそかになってはいないだろうか。だから、ああでもないこうでもないと理屈っぽくて、物語の起伏がほとんど感じられないのは大きなマイナス点だと思う。さらには、各キャラは個性的ではあるものの、もう一歩踏み込めていないのである。これなら、昨今流行の易しい系ミステリやラノベ風ミステリのほうが余程キャラが立っている、早々比べるべくもない。
最大の問題は、それぞれメインとなるホワイダニットの真相がいかにも弱い。別にそんなことしなくてもいいんじゃないの?と素朴な疑問を抱いてしまうのである。そこにいたるまでのダミーの推理にいたってはまさに噴飯ものであろう。
最終話のラスト一行だけはちょっぴり良かったがそれだけ。他に見るべきところはない。とまあ素人が得手勝手な感想を述べているが、あくまで個人の感想なので、無視されても一向に構わない。

No.4 7点 tider-tiger
(2014/06/20 18:25登録)
おそらくは中高生あたりをターゲットにしている作品なのでしょうが、大人の鑑賞にも耐えうるクオリティだと思います。
特に第三話『大女優の右手』はかなり出来がよろしくて、8点をつけたいところです。
この人の文章はキレがあって好きです。ときおり顔を覗かせるマニアックな雑学も面白い。キャラクターも書き分けがしっかりしていて個性あります。

No.3 5点 あるびれお
(2009/06/23 06:01登録)
初期の頃のメフィスト賞作品とでも言ったらいいだろうか。きっちり本格している。ただ、それぞれのキャラクタが個性的であるくせに、踏み込んで書けていないように感じられた。もっと、生き生きとした感じが出てもおかしくない設定なのに...トリック自体も、作品全体としてのデキも、どちらも及第点だけれど、突き抜ける何か、というものが足りない。

No.2 5点 江守森江
(2009/05/24 03:23登録)
私の年齢でここまで手を出させるのがミステリーの魔力。
でも、手を出して良かったと思えた。
流石にピザは食べたくなくなったが。

No.1 8点 なの
(2008/04/15 21:18登録)
元々少女小説だった割に、結構しっかりミステリしてます。
しかし、書き下ろしの3話目は流石にレベルが違う!
凄く好きです、キャラも物語も。

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