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ミステリの祭典

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そして誰かがいなくなる

作家 下村敦史
出版日2024年02月
平均点6.57点
書評数7人

No.7 6点 ミステリ初心者
(2026/02/21 02:32登録)
ネタバレをしております。

 クローズドサークルに目がない私は、それだけで買ってしまいますw  買ってから帯の文を読んで初めて気づきましたが、作者の実際の自宅がモデルになっているのですね(というか写真まで出てきて、そのままそっくり登場)。とんでもなく高額になったようで、かなり多額のローンを組まれているんだそうです。作者の本格推理小説愛には脱帽ですね。
 この作品も典型的なクローズドサークルの流れを踏襲しております。ただ、冒頭で御津島?が建築会社の人と館の建設について打ち合わせをしているシーンが書かれており、それが今までにない雰囲気です。また、フェアさにも寄与しております。
 一般的なクローズドサークルと同じく、非常に読みやすかったです。登場人物も適度で覚えやすく、また本筋とは関係ない文章も最低限になっています。しかし、起こった殺人は結局一件であり、事件に思えたものが犯人以外の行動だったので、それほど緊迫感には欠けたかもしれません;

 推理小説的要素について。
 多くのクローズドサークル作品と同じく、緻密なロジックで犯人を一人に断定するとう趣向ではありませんでした。人物の入れ替わりなどによるプロットで驚かせるドンデン返しタイプでした。ただ、そのドンデン返しも既視感があり、どこか他の名作と似ているようにも思えてしまいます。私は推理できませんでしたがw
 また、上にも書きましたが、登場人物の多くが何らかの思惑で犯人っぽいことをしてしまっております。なので、推理は非常に難しく紛らわしいですw まあ、ロジックが魅力の作品ではないと思いますが。

 総じて、作者の本格愛の感じる作品でした。また、読書する際のストレスがなく、作者の文の上手さも感じました。一方で、近年では名作が多く世に出る推理小説界ですので、24年出版の本にしてはオリジナリティに乏しいと感じました!

No.6 5点 虫暮部
(2025/02/07 12:37登録)
 “ミステリなら殺人が起きそうな館ですね” みたいな台詞はもう百万回読んだぞ。その手の “登場人物がミステリ愛好家でミステリっぽい事件のミステリっぽさを意識している物語” としては、ごくパターン通りでしかも地味。今時のキャラは “ミステリなら殺人が起きそうな館ですね、とミステリに登場する招待客なら言うところですね” と言わなきゃ。
 せめてこれ、“御津島磨朱李” 名義で出せなかったんだろうか。

 “ソレってアレのパクりじゃん” とか我々はフツーに言うし、余程のケースでないとそんな騒ぎにはならないよね。作家はナーヴァスなのだろうか。盗作云々については、あまり具体的に記述していないせいもあるが、そこまでの大問題だとは思えない。故にホワイについての違和感が残った。

 本棚の写真が興味深い。ぼやけているが、何となく判別可能な題名やレーベルもあり。どの程度意図的なんだろうか。

No.5 7点 たかだい
(2024/12/30 06:41登録)
聞くところによると作者自身が建てた自宅を、そのまま本書の舞台に利用している作品だとか。なかなか挑戦的で、その試み自体が既に面白い
肝心の中身に関しては、ミステリー史における古典的名作を思い起こさせつつ、独自の面白さを出す事にも成功している気がします
謎の覆面作家、そんな(知名度と反比例して)不詳の男に呼び集められた男女。そこで「とある盗作の告発」を予告され一堂が困惑する中、家主の覆面作家が悲鳴と共に姿を消してしまう
わりと王道のクローズドサークル物となっており、館の構造を利用した大胆なトリックも、個人的には好きでした

No.4 6点 nukkam
(2024/11/24 18:51登録)
(ネタバレなしです) 2022年から2023年にかけてWEBサイトにて連載され、2024年に単行本が出版された本格派推理小説です。本書の舞台は何と作者の自宅をほぼそのまま採用したもので、これはインターネットで情報公開されていますけどまるでドイツのノイシュヴァンシュタイン城を彷彿させるような豪華絢爛な装飾の部屋の数々が印象的です。さすがにスケール感では城には及ばないものの、王侯貴族趣味と言ってもよい夢とロマンを感じさせますね。中央公論新社版の単行本にも見取り図や写真が掲載されていますが、インターネットのカラー写真を見ておくことを勧めます。さて本書の内容についてですがタイトルからアガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」(1939年)のパロディー要素があるのかなと思っていましたが、ひねった仕掛けはむしろエラリー・クイーンの某作品を連想しました。こういうタイトルだと読者の期待値もつい高くなってしまいますので、凝った舞台設定の割には謎の盛り上げ方が物足りないのがちょっと惜しまれます。

No.3 7点 まさむね
(2024/08/18 23:03登録)
 ド直球の本格設定の中での終盤の展開。いいですねぇ。好きですよ。餌が分かり易いだけに、色々想定しながら読んだのですがねぇ…。複数の工夫にも感心。よく練られた作品だと思います。もっと多くの方に読まれていいかも。

No.2 7点 HORNET
(2024/05/06 21:36登録)
 大雪の日、大人気作家の御津島磨朱李が細部までこだわった新邸のお披露目会が行われた。招かれたのは新人作家、編集者、文芸評論家と探偵。和やかな会合となると思いきや、顔合わせの席で御津島が「今夜、あるベストセラー作家の盗作を暴露する」と言い、不穏な空気に。そして直後に、御津島が忽然と姿を消し―

 と、設定的にも雰囲気的にも、手垢のついたような定番の物語展開。とはいえ本格好きは何度でも定番を楽しめるのだから問題なし。ましてや今や気鋭の作家・下村敦史が仕掛ける物語なのだから、一筋縄のわけがない・・・との期待に応え、今回も他に類を見ないぐらいの仕掛けを施してくれた。
 なんといっても本作の舞台は、実在する下村氏の自宅らしい。巻頭に示されている間取り図も本当で、ある意味著者の本格愛を確かめられた嬉しさもあった。
 「覆面作家」である御津島との初対面…という時点で、前半に怪しまれる偽者説はミステリファンなら同様に思い至るところ。最終的にはそれよりさらに一歩進めた「盲点」をついてきたわけだが、こちらも割と早めに思い至ってはいた。
 物語的なご都合主義を感じないわけではないが、入れ代わり立ち代わり、招待客それぞれの視点から描かれながら進んでいく展開に「真に怪しいのは誰なんだ?」と疑心暗鬼を掻き立てられながら読み進めてしまったのは事実。結果として「かなり楽しめた」。

No.1 8点 silver cloud
(2024/02/23 14:48登録)
自宅自慢の本じゃないか!と思いながら読んだ(笑)。あれこれと謎は増えるけど、地味すぎるのではと思いきや、後半にだんだんひねりが効いてくる。かなりよく練られた話だな。やはり家を建てる際から構想していたのだろうか?

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