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ミステリの祭典

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成瀬は天下を取りにいく
成瀬シリーズ

作家 宮島未奈
出版日2023年03月
平均点6.17点
書評数6人

No.6 6点 HORNET
(2024/11/01 21:49登録)
 この作品が本サイトで扱われているとは…
 タイトルの何だか清々しい(?)感じに惹かれて読んだが、まずまず期待に沿う面白さだった。まぁ、主人公・成瀬あかりのキャラがすべてという作品ではあるが、表紙絵からも想像する作品への期待がそもそもそんな感じなので、自分は満足した。
 極めて優秀な頭脳でありながらまぁ「変人」の成瀬に、いつも寄り添っている島崎 みゆきとの友情感もよい。特にラストの「ときめき江州音頭」では、マイペースに突き進む成瀬に従っている常人の島崎みゆき、という構図だったものが、成瀬の人並みで素直な感情が露になることでほっこりした気持ちになる。
 そういう意味で、連作としての構成もなかなかだった。

No.5 6点 まさむね
(2024/09/29 23:31登録)
 このサイトで書評するのもアレだけど、主人公・成瀬の性格がミステリーなのだと自分に言い聞かせて、書いちゃおう。何卒大目に見てください。
 一話目の「ありがとう西武大津店」を読んで、なぜか泣きそうになりました。成瀬への尊敬と羨ましさと、もうその世代には戻れない悔しさと、内容の清々しさとが綯い交ぜになった感じ。最終話の「ときめき江州音頭」を読んだ後も、なぜか泣きそうに。
 おじさん世代にもグイグイ刺さる小説でありました。こりゃあ、売れるわけだな。

No.4 6点 sophia
(2024/07/30 17:38登録)
このサイトで扱う対象の作品なのかなとは思いますが、既にいくつか書評が登録されているので私も書かせていただきます。第3話で全然違う人物の話になったことや、第4話以降の駆け足っぷりに翻弄されましたが、滋賀県密着型および新型コロナウイルス流行の世相を反映という特性がなければまあ普通の作品かなと思います。成瀬は言うほど奇人でもありませんし。それでも絶賛されているのだから最終話で大きなサプライズがあるのだろうと期待してしまったのはミステリー読みの悪い癖なのでしょうか。その後どうなったのと思う人物もおり、続編ありきの作品なのかなあと考えました。

No.3 7点 take5
(2023/10/22 21:55登録)
これで感想文書くのもすごいが、
小学生の知人に薦められて読み終わり、
ふとこのサイトの検索に
『成瀬』と入れてみたら登録済み!?
いやこれミステリーなら何でもあり
と思いますが、
素敵な作品なのでまあいいや。
最終章の成瀬の人間っぷりが爽やかで
全ての小中高校生に推します。
自分を貫く事が苦しい昨今、
これはファンタジーかもしれないけれど、
君の何かを肯定してくれるはず。

そして世の中の私のような父は
成瀬の魅力に鑑みて
子にスマホを買わない接し方を
ありとバイアス気味に肯定されるのでした。

No.2 6点 人並由真
(2023/09/22 06:13登録)
(ネタバレなし)
 ハイスペックだが、きわめてマイペースな変人女子主人公といえば、あのSOS団団長ハルヒだが、第1話はそのハルヒとキョンの関係をデイモン・ラニアン風の文体で書いたような感じで、非常に楽しかった。
(ただし相方の島崎みゆきは、キョンとは違い、同性の女子で幼馴染である。)

 私見では、ミステリ味も冒険小説要素もどちらも微塵もない、地方の場を舞台と主題にしたオトナも読める青春小説だと思う。
 とはいえ、え? そういう構成で積み重なっていくの? と軽くゆるやかに足払いをくらったようなシリーズ構成の妙も含めて、一冊楽しめた。
 作者の計算した呼吸なのか、あるいはもしかしたら相当に天然なのか、と思わせる(たぶん前者だろうが)語り口の心地よさもマル。

 年に一二冊くらいの割合で、続刊が読みたい。

No.1 6点 メルカトル
(2023/04/28 22:57登録)
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
発売前から超話題沸騰! 圧巻のデビュー作。
Amazon内容紹介より。

世間で評判になっているので読んでみました。確かに面白いんですが、浅いんだよなあ。はっきり言って成瀬あかりの個性で持っているだけな気もします。無論周りを取り囲む仲間や同級生達にも焦点は当てられています、特に相方とも言える島崎は成瀬の人間離れした性格に引けを取らない対等の立場として描かれています。でもやはり主役は成瀬で、常識に囚われないその個性の強さには誰も付いて行けません。

普通真面目に二百歳まで生きると宣言する少女はいないでしょう。誰も昔は人間が百歳まで生きる事が出来るなんて思っていなかったのだから、二百歳まで生きてもおかしくない。何百人もの人間が二百歳まで生きると言えばそのうち一人くらい生きるかも知れないと、真剣に考えているのが成瀬なのです。
一話目で毎日テレビ番組の『ぐるりんワイド』で閉店を迎える西武大津店にて、中継に映り込むのが夏休みの目標という奇矯な行動で、少しずつ周りに反響を起こしていく過程はなかなかワクワクしました。しかし、それ以降は何だかよく出来たラノベを読んでいる感覚でしたね。
残念ながら私にはそこまで心に刺さる要素がなく、この冒険小説を称賛する程感銘を受けたとは言えませんでした。あ、でも見開きの成瀬あかりのイラストは可愛くはないものの目と眉毛に意志の強さを見た気がしました。マスクをしているから余計にそう思うのかも知れませんが、こんな娘がいたら確かに目立つだろうなと。
余談ですが、大津という土地は何度か訪れましたが、県庁があるだけで他に何もない印象なのは小説にある通りだと思いました。大津市民のみなさん、ごめんなさい。

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