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ミステリの祭典

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カーテンの陰の死
アラン・ツイスト博士シリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2005年07月
平均点5.29点
書評数7人

No.7 6点 人並由真
(2023/04/24 15:55登録)
(ネタバレなし)
 頭の皮剥ぎという猟奇事件に、主要人物それぞれの文芸を強引にリンクさせる手際は、ややあざとさを感じた。が、見方を変えれば、この作り物臭さが、フィクションとしてのフーダニットパズラーの外連味であり、醍醐味でもある。

 75年前の不可能殺人と現在形の不可能犯罪の相関など、メインの趣向もウハウハで、トータルで読むと……なるほど、出来がよいとはいいにくい面もあるとは思うが、作者のサービス精神には十分楽しまされた。で、さらに書き手が仕込んでいたあの趣向もふくめて、完成度はともかく、個人的にはこれまで読んだアルテ作品のなかでは、けっこう上の方にくるお気に入りかも?
 評点は7点に近いこの点数。

 最後に、巻末の霞先生の解説は楽しかったが、先行の下宿ものミステリの話題なら、フェラーズの『私が見たと蠅は言う』とか、アン・オースチンの『おうむの復讐』なども該当例に挙げていただきたかった。たぶん読んでいて、うっかりされたものと思うが。

※追記
 途中で、ツイスト博士の以前の事件簿としてよく知らない「赤髯王」の話題が出てきて、あれ? このシリーズは改めて最初から順番に読んでるはずなのに?! と思ったが、同作『赤髯王』についての本サイトのレビューを覗いて納得。この『カーテン~』の原書リリースの時点で、本国でもまだ未刊行の「まだ読者には語られていない、名探偵の過去の事件(作品)」だったのだな。

No.6 6点 ボナンザ
(2021/01/12 22:40登録)
トリックはバカミスの領域だが、舞台設定や最後のオチなんかは凝っていて楽しめた。

No.5 6点 makomako
(2018/11/05 21:12登録)
 ツイスト博士シリーズの中ではちょっと評価が低いようですが、私は結構楽しめました。全く不可能と思われる殺人事件が、時代を大きく過ぎて起きてしまう。どんなに考えても絶対無理そうなシチュエーションでの殺人事件です。確かにトリックを語られると、ああそうですか、ううーん。とはなるのですが、少なくても赤ひげ王の呪いよりは良いです。
 絶対無理そうな犯罪を見事に?解決しているのですからまあ良しとしましょうよ。
 こういったお話は好き嫌いがはっきりと分かれると思いますが、私は好みですね。

No.4 6点 レッドキング
(2018/09/04 18:26登録)
この手の不可能トリック大好きだ 「衣裳戸棚の女」とか思い出す

No.3 4点 E-BANKER
(2016/03/13 16:35登録)
「第四の扉」「死が招く」につづく<ツイスト博士シリーズ>の三作目。
本作でも敬愛するJ.Dカーばりの不可能犯罪がテーマ(と思われる)。
1989年発表。

~頭皮を剥いだ刺殺体が発見された。殺人現場に偶然居合わせたマージョリーは、犯人と同じ服装をした謎の人物が自分の下宿に入っていくのを目撃する。この下宿屋には曰くのありそうな人物たちが住み着いていた。変人のピアニスト、若い新聞記者、自称作家、酒浸りの老医師、盲目の元美容師・・・。続けて住人がカーテンで仕切られた密室状態の玄関で、背中にナイフを突き立てられ殺害されるに及び、ハースト警部とツイスト博士が捜査に乗り出すが、状況は七十五年前に起きた迷宮入り事件とそっくり同じだった・・・~

何かどうもバランスの悪さが目に付く作品だった。
他の方もご指摘のとおり、一作目・二作目よりも明らかに出来は劣っている。
(生憎次作以降未読のため、シリーズ通して劣後しているのかは不明だが・・・)

誰にもできたはずのない殺人や頭皮を剥がされた死体など、今回も作者らしい展開は健在。
なかでも二番目の密室殺人が本作のメインなのだろう。
しかし、この密室トリックが相当ビミョー、というかかなり適当!
見取り図入りで示された殺人現場は、誰も侵入不可能&脱出不可能という状況。
どんなトリックなのかと思いきや、まさかの○○とは!!

これって、もしかしてカーのあの有名トリックからのインスパイアなのだろうか??
確かにビジュアルで言えば似てなくもないのだけど・・・でもあまりにも出来が違いすぎる!
他の二つの殺人の動機も問題。
動機は二の次なのはいいのだけど、ここまでリアリティがないのは如何だろうか。
などなど、突っ込みどころは尽きない。

まぁよい。シリーズもの書いていれば、作品ごとの出来不出来は当然起こる。
次作以降に期待というふうに寛大に捉えておこう。
(エピローグの付け方は工夫の跡が窺える。まさに因果応報っていうことだよね・・・)

No.2 5点 nukkam
(2011/09/05 17:36登録)
(ネタバレなしです) 1つの作品に盛り沢山の謎を詰め込むことが多い作者なのでたまに感心できないようなトリックが使われても他でリカバリーできるので総合的には満足するのですが、1989年のツイスト博士シリーズ第3作の本書の場合は比較的シンプルな謎解きになっているため、メイントリックがひどいと弁護の余地がありません(笑)。まあそれでも某古典ミステリーを下敷きにしたエピローグの演出などは光っていますが。犯行の残虐性を強調していない描写は人によっては物足らなく感じるかもしれませんが、個人的にはこれくらいで十分だと思います。

No.1 4点 kanamori
(2011/04/16 17:10登録)
ツイスト博士シリーズの3作目。
本書は3名のミステリ作家に献辞されていますが、その一人、S・A・ステーマンの「殺人者は21番地に住む」の本歌取りのような、いわゆる”下宿もの”ミステリが趣向のようです。
作中の密室トリックを目当てに読むと、その真相に脱力すること必至で、不可能トリックよりもプロット重視の、終盤の暗転狙いといったところでしょうか。
いままで邦訳された作品のなかでは、一段出来が落ちるように思います。

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