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ミステリの祭典

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雷神

作家 道尾秀介
出版日2021年05月
平均点6.57点
書評数7人

No.7 7点
(2024/02/04 21:43登録)
ページを捲るのももどかしく、一気読みしました。

No.6 7点 ぷちレコード
(2023/09/11 22:52登録)
埼玉で父と一緒に小料理屋を切り盛りする藤原幸人の一家が不幸に見舞われるシーンから始まる。四歳の娘・夕見がマンションのベランダの淵に置いた植木鉢が落下、それが原因で起きた事故で妻の悦子が亡くなる。
物語は本編だが、その十五年後、父の小料理屋を継いだ幸人のもとへ、娘の秘密ネタに金を要求する男が現れるところから動き出す。幸人は十五年前の事故の原因を夕見に明かしていなかったのだ。やがて脅迫者らしき男が店に来るに及んで、幸人はついに過去と向き合うことを決意。実は、彼はさらなる秘密を抱えていた。
冒頭の脅迫者の出現から、それを軸に話が動いていくのかと思いきや、次第に三十年前の羽田上村の事件へとスライドしていく。幸人たちによって羽田上村の人間関係が明かされていくあたりは、本格ミステリと社会派ミステリの読みどころを見事に融合させており、さすがと思わせる。

No.5 5点 take5
(2023/04/30 11:14登録)
道尾秀介作品が好きなのですけど、
此方はいまいち刺さりませんでした。
雷に関する地形に由来する気象学は
興味深いですし、
親子の認識のずれもなるほどと
思いますが、
何か一連の大きな人間ドラマとしての流れが
理解力に乏しく入って来ませんでした。
道尾秀介ならもう少し前のものが好みです。

No.4 8点 sophia
(2023/04/25 00:07登録)
ネタバレあり

二つの大きな取り違えがストーリーの肝となった作品。何と言っても「二本の線」のミスリードが秀逸で、完全に誤った読みをさせられました。途中に挿入された直筆の手紙が中間的な答え合わせの役割を果たしています。著者が過去作「いけない」でやろうとしたことは、本作において完成したのですね。登場人物の心情描写も作品の物悲しい雰囲気とマッチいていて素晴らしい。最後の最後の毒がなければもうプラス1点したかもしれません。どうしようもなく救いのない話だったので、せめて最後ぐらいは希望を感じさせて欲しかったのです。

No.3 7点 よん
(2022/11/21 13:27登録)
妻の死に関する辛い真相を、幸人は娘の夕見に隠し続けてきた。しかし「娘に真相を明かす」という脅迫電話がかかってきた。密かに苦悩する父に、娘は幸人が三十年前に離れた故郷へ行きたいと訴える。
小さな村で起きた過去の事件に空白を、記憶と記録を頼りに埋めていく。そこから浮かび上がる真相と、その衝撃。作者の技巧の冴えを堪能できる物語である。すべてが収束した後に訪れる最後の一撃も強烈。

No.2 6点 文生
(2022/07/21 14:49登録)
道尾作品らしい錯綜した謎で楽しませてくれるものの、トリックは小技の寄せ集めといった感じであっといわせるような仕掛けがなかったのが残念。それでも、現在と過去における事件の真相を怒涛の伏線回収で明らかにしていくプロセスについては十分読み応えがありました、

No.1 6点 虫暮部
(2021/11/23 12:44登録)
 作者が仕掛けたトリックよりも、それを通じて描かれた“心の絆”みたいなものがキモなのだろう。しかしそう読むには“動機付けの軽さ”が仇になった。
 つまり、本気で正体を隠すつもりなら、人目が無い場所でも偽名で呼び合うべき。語り手達がその点を全然配慮していないので、軽い好奇心から過去をほじくり返しているように見えてしまうのだ。安易な行動のせいで人死にまで出た話に思えてしまうのだ。
 どうも最近は“昔のことはそっと葬ったままにしておきたい事件関係者”に共感しがちな私である。

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