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ミステリの祭典

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いけない
『いけない』シリーズ

作家 道尾秀介
出版日2019年07月
平均点5.43点
書評数7人

No.7 6点 みりん
(2024/06/16 19:56登録)
小粒な密室トリック、手帳から導き出される推理、最後の写真の解明含めて「その絵の謎に気づいてはいけない」が1番でしたね。ほとんどの犯罪者が野放しになっているこの街に対して、「街の平和を〜」という終章のタイトルが効いてくるわけか。結構面白かった。
で、なんで評価が低いのか考えた。
私が期待していたのは「文章からではAという真相しか導き出せない」が、「最後の写真を見ることでBという隠された真相が仄めかされる」という趣向でした。でもこの作品はハナからAという真相しか用意されていなくて、「写真があることではじめてAが導き出せる」という答え合わせ的な役割しか持っていないと思うんです。これでは写真がなくても、叙述で丁寧に描写すれば同様の効果を得られた気がします。「章末の写真に隠された真相!」みたいなインパクトを生み出すためだけの道具になってしまっていることが、評価が微妙な要因の1つではないのかな、、、というただの考察です。
体験型ミステリーみたいな感じで、普通に楽しめましたよ笑

No.6 7点
(2023/12/23 10:12登録)
章の最後の写真をヒントに読み返しました。
伏線を発見できて楽しめました。

No.5 6点 take5
(2022/11/12 12:04登録)
道尾秀介作品は、
カラスもネズミも好きですが、
この作品は技巧が文体を越えて
章の最後の写真にも隠れているというものです。
このサイトでの作品の評価が低い理由は、
文章でカタルシスを得られないか、
技巧に凝りすぎていて理解できない自分に
納得いかないかのどちらかではないでしょうか。
二章終わりのビデオ映像の背景とか、
初見で気付く人います?
友達に薦める道尾秀介作品の五指には、
入らないなあ、私見ですが。

No.4 3点 nukkam
(2022/10/04 11:42登録)
(ネタバレなしです) 2019年発表の本書は全4章から構成されていますが長編作品ではなく連作短編集の本格派推理小説です。どの章も最終ページに写真が掲載されていて、それを見ることで「隠された真相」を発見して下さいと指示されています。これは読者を選ぶ作品で、真相について作者が明快に正解を説明しているわけではないのです。私は読んだだけではまるですっきりできず、ネットの推察サイトの推理を参照してなるほど頭のいい方はいるものだと感心する一方、自分の頭の悪さを再認識する羽目になりました。sophiaさんのご講評で東野圭吾作品が連想されていますが、あちらは犯人当てという命題がクリアなのに対して本書は何が謎なのかさえも時にもやっとしています。騙されるとか驚く以前に読んだだけではわからなかったのが辛いです。

No.3 6点 まさむね
(2020/08/11 11:22登録)
 「『ここ分かった!? 』と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説」、らしい。
 確かにそうかもしれない。どこで、どうやって気付くか…ってのはあるけど。あまり1編ごとに深追いしないで、最後まで読みきった方が楽しめるのかも。いや、人によるか。
 とてつもない大技がある訳ではないのだけれども、趣向自体はいかにもこの作者らしく、印象に残りそうです。語弊があるかもしれないけど、作者の「遊び心」をどう受け取るか…ということなのかな。

No.2 6点 猫サーカス
(2019/11/12 19:26登録)
ミステリー作家はネタバレを嫌うものだが、作者はこの作品を発売にあたり、自らネタばらしをするトークイベントを企画した。それほど自信作なのでしょう。4章構成で、交通事故が招く死の連鎖を描く「弓投げの崖を見てはいけない」、孤独な少年が目撃した殺人現場の真偽のあわいをさまよう「その話を聞かせてはいけない」、宗教団体の女性の死の原因を追究する「絵の謎に気づいてはいけない」と続き、終章「街の平和を信じてはいけない」では、前3章に出てきた人物たちが事件の真相を語り尽くす。前作「スケルトン・キー」では、トリッキーな仕掛けを施しながらも、殺人鬼の感覚を多種多様な比喩を使って生々しく描いた文体と鮮烈な主題が見事だったが、今回は原点に返っての謎解きの一点勝負。やや難易度が高く(だからこそネタバレのイベントが企画されたのでしょう)、再読を強いる部分もあるが、逆にどっぷりと謎解きの魅力に浸れる面白さもある。

No.1 4点 sophia
(2019/09/29 18:40登録)
これは近年稀に見る期待外れ。帯やらメディアやらで絶賛してハードル上げ過ぎですよ。各章最後に地図やら写真やらを載せてさも思わせぶりに謎解きを投げかけていますが、いずれも大した解答ではありません。いや、そもそも問題にするところを間違えてないですか?さらに読者の想像に任せている部分が多すぎて、読後のカタルシスがありません。東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」もそうでしたが、やはりクイズの体裁をとった作品で傑作は難しいと再認識いたしました。

追記 文庫版は画像の画質が粗いので出来れば単行本で読むことをお勧めします(その代わり第1章の地図の範囲を狭めたりといった改善も見られますが)。

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