屋上の名探偵 名探偵の証明 |
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作家 | 市川哲也 |
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出版日 | 2017年01月 |
平均点 | 5.12点 |
書評数 | 8人 |
No.8 | 4点 | 虫暮部 | |
(2022/10/18 12:59登録) 第1話:水着を盗む行為は、気持ち的には下着とほぼ同じなのでは。 第2話:冤罪で教師を首にする計画。 第3話:再びの不登校を促す鍵を犯人は握ったまま。 第4話:幸い傷害事件で済んだけど、“事後工作なんかせずに、さっさと救急車を呼んでいれば死ななかったのに……” と言う悲惨な展開をする可能性もあった。 とか、エグい要素をシレッと混ぜているのは、狙いじゃないんだろうな多分。うーむ。曲解しても推すべきポイントが見当たらない。 |
No.7 | 5点 | ボナンザ | |
(2022/02/22 22:08登録) 一転して学園ものだが、この方が水があっているのではないか。 |
No.6 | 6点 | nukkam | |
(2021/06/09 01:54登録) (ネタバレなしです) 2017年発表の蜜柑花子シリーズ第1短編集で、本書での蜜柑は高校2年生から3年生、「名探偵の証明」三部作よりも作中時代は前の設定です。中短編が4作収められてますがいずれも凶悪犯罪のない謎解きで、気軽に読める本格派推理小説です。「みずぎロジック」はタイトル通り論理的な推理が光る好短編です。中編「ダイイング・メッセージみたいなメッセージのパズル」は活発な謎解き議論が楽しいです。メッセージ分類は霧舎巧の「ラグナロク洞」(2000年)のメッセージ講義に比べれば随分とシンプルなものですが中編ならこの程度が丁度いいでしょう。トリッキーな「人体バニッシュ」はトリックの無理矢理感が、「卒業間際のセンチメンタル」は偶然の要素が重なり過ぎの真相が気になりました。評価は2勝2敗ということで6点です。 |
No.5 | 6点 | mediocrity | |
(2019/09/02 20:07登録) この作者は映画、小説、テレビ問わず学園物が大好きらしい。実際、読んでみるとそれがよくわかる。なんというか学園物好きが求めているツボを押さえている気がする。テレビドラマ化すれば人気が出そうだ。 ただし、キャラ付けが過剰なところは(映像化を狙ってあえてそうしているのだろう)好き嫌いが分かれそう。 殺人は起こらない。最終話は傷害事件だが、それ以外は高校で起こった不可思議な事件の謎を解くスタイル。トリックもいかにも学校らしい物が多い。ただこの本はどちらかといえば、トリックよりロジックで魅せる。派手さはないが全体的に丁寧に書かれていて好印象だった。 |
No.4 | 5点 | まさむね | |
(2018/11/18 22:16登録) 「名探偵の証明」に登場した探偵「蜜柑花子」の高校時代を取り上げた連作短編。 うーん、「名探偵の証明」シリーズを読んだことがあるかどうかにも左右されそうだけれども、好き嫌いがはっきりと分かれそうな作品ですねぇ。 主人公「蜜柑花子」のキャラについて、個人的にはそのイタさも含めて嫌いではないし、学園ミステリとしての工夫も分かるのだけれども、トリック自体に特筆すべき点はなく、冗長に感じる部分も否定できなかったので、この採点にしておきます。 |
No.3 | 6点 | ねここねこ男爵 | |
(2018/02/04 20:47登録) この作者の作品としては最も平凡でありそれ故に最もオススメ。 設定も事件も解決も平凡そのものなので安心して読めます。似たような作品は山ほどあり、それらと比較して優れているかというとなんとも言えないところですが、破綻せずきちんとまとまっています。 あ、各事件の犯行動機は結構斬新でいいと思います。 |
No.2 | 3点 | E-BANKER | |
(2017/12/11 22:44登録) ~東京から来た黒縁メガネにおさげ髪の転校生、蜜柑花子という変わった名前のおとなしめの少女。普段は無口な彼女だが、鮮やかな推理で瞬く間に事件の犯人の名前を挙げる・・・~ というわけで、「名探偵の証明」シリーズの外伝的位置付けの連作短篇集(とのこと)。 ①「みずぎロジック」=愛する「姉」のスクール水着が消えた!という重大な事件が発生。現場に残された学校シューズと掃除用具が入ったロッカーという物証をもとに花子の推理が冴える。 ②「人体パニッシュ」=喫煙していた生徒を捕まえようとする教師。追い詰めたと思いきや、くだんの生徒は煙のように消えていた・・・。ということで大げさにいえば「人間消失」の謎に挑む第二編。ただ・・・このトリックはかなりショボイ。 ③「卒業間際のセンチメンタル」=分刻みのアリバイがテーマとなる第三編なのだが、花子の推理はとてもではないが「鮮やか」とは言い難い。 ④「ダイイングみたいなメッセージのパズル」=タイトルどおり“ダイイングメッセージ”がテーマとなる最終譚(死んではないんだけどね)。途中、ダイイングメッセージの分類を試みるなど(先例があるのかな?)、本作中では最もミステリー色の強い作品。ただ、中身のレベルは?? 以上4編。 「なんで、こんなの手に取ったんだろ??」って思わざるを得なかった。 どうにもこうにも褒めるべきところがなかったというのが偽らざる感想。 ロジックとかトリックもそうなんだけど、まずは「読み物」として失格ではないかと思う。 途中、飛ばし読みした箇所多数。 それでも大筋理解できたということで、本作のレベルが分かろうというものかな。 本作はシリーズ外伝というべき作品みたいなんで、もしかしたら長編はまともなのかもしれないけど(鮎川哲也賞だしね)、うーん。 読まないだろうね。 キャラクターも結構ヒドイと思う(かなりイタイ)。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | |
(2017/10/24 13:08登録) (ネタバレなし) 澄雲高校の二年A組に在籍する「おれ」こと中葉悠介は、同校の三年生で生徒会長でもある姉・詩織里を、傍から見れば危険なほどに敬愛している。だがその姉が足を痛めて水泳の授業を見学中、何者かが教室に置いておいた彼女の水着を盗む事件が起きた。悠介は、同学年の転校生でE組に在籍する「名探偵」と噂される少女・蜜柑花子に捜査の協力を求めるが。 現在のところ長編が三作上梓されている「名探偵の証明」シリーズの主人公・蜜柑花子のイヤーワンというかアーリーデイズを描く、前日譚の連作短編。澄雲高校周辺で起きる日常の謎(殺人はないが、一部、傷害などの強力犯罪はあり)四編を収録してある。 「証明」正編の長編三本は全般的にミステリとしてはもうひとつで、むしろ「シリーズもの名探偵ミステリにおける仮想実験」をいくつか試みているらしいところがポイントなのだが、それで好感をもてるかどうかで読み手の評価が分かれる(個人的には、嫌いではない。だから今回のこの本も手に取った)。 しかしながらこちらは傑作・優秀作とはいえないまでも、そこそこ佳作レベルで手堅い内容のパズラーが集まった感じで、悪くはない。ホワイダニット的には、まあそういう真相だろうね、という所感の第三話などもある一方、妙な経緯で人間消失が生じる第二話など結構よい感じだった。 正編の「証明」シリーズは第三作目のラストで一区切りを迎えた感もあるが、それでもその上で継続も可能だと思うので、またその内、蜜柑花子には会ってみたい。 |