猫には推理がよく似合う 弁護士睦木怜の事件簿 |
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作家 | 深木章子 |
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出版日 | 2016年09月 |
平均点 | 7.29点 |
書評数 | 7人 |
No.7 | 7点 | パメル | |
(2021/02/10 18:25登録) 弁護士事務所に勤める椿花織は、先生に寄せられる依頼を盗み聞きしては、おしゃべりする猫のスコティと噂話に花を咲かせていた。序盤に展開する彼らのミステリ談義は興味深いものがあった。 タイトルから受ける印象と第一部を読む限り、本書はおしゃべりする猫とその世話をする弁護士事務所の花織が推理合戦をするのんびりした話だと思っていたので、作者らしくないと少し不安だった。だが第二部になると、視点が弁護士の睦月怜に変わり、ガラリと様相が変わっていき、不安は杞憂に終わる。 猫と会話ができる世界というファンタジーな世界。奇想と解決が良い形で結びついていて、あり得ない世界を説得力のある謎解きで解決するのは素晴らしい。謎解きが逆に謎を呼んでしまうトリッキーな構成と密度の濃いロジックで翻弄させてくれる。猫に対する家族のような愛が、犯人特定の決め手になるだけでなく、犯行動機にも関わっており趣向も練られている。最後に苦く切ない現実を持ってくるところなども作者らしさを感じた。 |
No.6 | 8点 | 虫暮部 | |
(2020/06/11 12:25登録) ミステリ風猫小説。かと思っていたら、豈図らんやきっちりしたミステリに仕上がっていた。スの付く名前のス入り猫。室内飼いなら巣入り猫。エピローグは期待通り! |
No.5 | 7点 | まさむね | |
(2017/04/30 19:52登録) 私も敢えて多くは書きませんが、非常に凝ったプロットです。「仕掛け花火が次々に炸裂するような本格ミステリ」との有栖川有栖氏のコメントも素直に頷けます。 しかし、この作者さんは引き出しが多いですねぇ。流石です。 |
No.4 | 8点 | 名探偵ジャパン | |
(2017/04/15 22:28登録) これは大変楽しめました。 少ない登場人物と限定された舞台だけで最大限の効果を上げる。ミステリ(しかも、いい意味で現代的)の真骨頂を見ました。 本来であれば、ネタバレ上等で色々と語りたいのですが、本作はまだ刊行されて間もないフレッシュな作品のため、(作品の性格的なこともあり)何か言うことは控えさせていただきたいと思います。 おすすめです。 |
No.3 | 7点 | HORNET | |
(2017/04/08 17:21登録) ここまでの方々のおっしゃるとおり・・・何を書いてもネタバレになる(笑) 少なくとも、他の深木作品を読んでいる人は、期待していいですよ。 しかし、還暦を過ぎてから作家になった方ですが・・・すごいですね! |
No.2 | 8点 | メルカトル | |
(2016/12/09 21:52登録) たとえ単行本でも、これはと思った作品は迷わず買うのが私のスタンスでもある。そしてこれは大正解であった。面白い。それはもう非の打ち所がないというか、文句のつけようがないというか。 しかし、何を書いてもネタバレにつながるので、何も書けない。下手なことを書いたらこれから読む人に叱られるのだ。この作品こそ大いに人に薦められるミステリに違いないと私は断定する。あ、個人的に、です。 私はこれを読みながら、昔「新本格」に夢中だったころの自分を思い出していた。雰囲気が何となくあの頃のそれに似ていなくもないような・・・。とにかく、文庫化されてからでもいいから読んでほしいなあ。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | |
(2016/11/25 10:45登録) (ネタバレなし) 2年前に妻を病気で失ったベテラン弁護士・田沼清吉(73歳)。弁護士一人事務員一人という立場で彼を補佐する「私」こと椿香織(35歳)には、他人の知らない自分だけの世界があった。それは田沼の亡き妻・百合子が遺した愛猫で、人語を話すネコのひょう太(本名スコッティ)と会話すること。ともにミステリーに関心がある香織とスコッティは虚実の謎について推理を交わすが…。 大きなファンタジー要素をひとつだけ絡めた(本書の場合、猫がしゃべる)日常の謎系の連作もの? こういうミステリは最近よくあるね、と思って読み出したら…あらら…。こういう作品だったか! 帯で有栖川先生の言う「仕掛け花火の連続の炸裂」は伊達ではない。 一番の大技の部分に関しては、数十年前の某国産ミステリの当時の話題作を思い出したが、この趣向については21世紀の今のミステリ界での方が、効果があるだろう。当該の前例を、作者がどのくらい意識したのかは、もちろん知らないけれど。 本当はもう一点くらいあげたい気もするが、途中の推理合戦が、ポイントとなる2~3の大技に対して地味な気がしてアンバランスな印象があるため、この評点。いや、この作者らしく、全般的に丁寧な推理の過程ではあるのですが。 いずれにせよ、何を書いてもネタバレになりそうなピーキーな作品ではある。 興味のある人、あと作者のファンは、ネタバレを食らわないうちに早めに読んだ方がよろしいかと。 |