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38162. | RE:テイ『美の秘密』の翻訳について 人並由真 2025/04/25 16:32 [雑談/足跡] |
弾さま 早速のチェックありがとうございます。 いや 誤訳なんかどうでもいい とまではさすがに言いませんよ(笑)。 古い翻訳で、正にその、<日本語のこなれ>の悪さを言ってました。 具体的にはいくつかありますが、メインゲストヒロインのリッツほか 何人かがグラントを単に「警官」と呼びかけるのには「……」です。 たぶん普通の口語訳なら「刑事さん」と訳すところではと。 その手のアレは多いんですが、一方でなんというか話の流れの空気や そのときそのときの登場人物の立ち位置はちゃんと踏まえて 訳してくれているような印象または手応えがあり あんまり不満はありません。 8割は正確な翻訳ときいて、ああ、そんなもんだろうな、とも 思いました。弾さんが厳密にどういう意図でおっしゃっているのか 知りませんが、個人的にはそれは肯定的な評価に聞こえます。 まあ初代ゴジラの公開・封切(1954年11月3日)と ほとんど同時に刊行された古いポケミスですので(笑)。 この翻訳家の方もあんまりその後、名前を聞かない方なのも 気にはなりますが、まあ。 もちろん万が一、本作を21世紀の訳で新訳してくれるなら それはそれで大歓迎ではありますが。 人並由真 拝 |
38159. | テイ『美の秘密』の翻訳について 弾十六 2025/04/25 11:05 [雑談/足跡] |
人並由真さま大絶賛「誤訳なんてどうでも良い!」という素晴らしい宣伝文句なので、さっそく国会図書館デジタルコレクションで読み始めました。テイさん全集(原書)もKindleで買いましたよ!(350円) 第一章、ところどころのこなれない日本語で挫けそうになるけど、全体的には意外と良い感じ。語り口や話の進め方も上質。これはグラントものを第一作から読みたい!(実は「列」も「一シリング」も「魔性」も購入済み)という事で、まず「列の男」からじっくり読むことにしました。 でも、とりあえず、翻訳の問題を皆さまにもご紹介。 実は翻訳は8割オッケー。パッと見よりも解釈を外していない。妄想力が強ければ十分ムードに浸れるだろう。まあでも、もっとこなれた日本語にして欲しい。 以下、第一章で目についたものだけ! p7 用心棒(escort) p7 探偵警部(detective-inspector)◆ 詳しく確認してないが、detectiveが頭に付くと、ロンドン警視庁(C.I.D.)所属、という事らしい。試訳「C.I.D.の警部」 p7 癩者の藪睨み(leper's squint)◆ 詳しい意味はWebで。 p10 「ではよりかかって下さい。私が押しのけていきましょう」青年は二人の立派な体格を力にしていった('You lean and I'll squirm,' said the young man, referring to their respective build)◆ 試訳「あなたは痩せ型だ。僕が押しのけますよ」青年は二人の体格を比べて言った。 p14 英国社会の利発な青年(the British Public's bright boy)◆ 「英国大衆の人気者」というニュアンスか? もしかしてBritish Public=BBCかも。 p14 彼の求めるやり方が嫌いです。(I hate the way he yearns)エーゲ島の丘で、弾丸が耳をびゅうびゅうかすめるのに、たちじゃこうをもとめているようなときには、殊にいけません!(It was bad enough when he was yearning over the thyme on an Aegean hillside with the bullets zipping past his ears)◆ ここのyearnはyarn(冒険談などをダラダラ語る)のつもりなのだろう。作家のスペルミスではなく、話者(女優)がそういう発音という設定だろう。最初のyearnはイタリックである。「彼」は放送業界の人らしいけどアナウンサー? 試訳「彼の語るやり方が嫌い… たちじゃこうについてダラダラ語る時なんて最低」 p14 犯罪の告訴(criminal libel)◆ 試訳「名誉毀損の罪」 p15 あなたがちょうど呼出されたりするのは、紳士にふさわしいことの様です(I thought it was one of those nice gentlemanly things that you are just summonsed for)◆ 試訳「ただ呼び出されるだけの、紳士的な手続きだと思ってました」 p15 彼は春の穀物や木馬やその他の九十九年の借地権を叔母からとって、それで社会を威嚇している(he has taken a ninety-nine years' lease of the spring corn, and the woodpeckers, and things, he amounts to a public menace)◆ 何故「叔母」が出てくる? 試訳「彼は、春穀物の99年リース問題やキツツキや他の事柄を取り上げ、社会を脅迫するのです」 彼は放送業界人なので、いろいろなニュースを取り上げて、結局、世間を脅かしている、という意味だろう。 p16 訊問にあたって彼はそう言った(he said at the inquest)◆ この語(インクエスト)で、話題の人が死んでいることが明白になる。 p16 デュース(Duse)◆ イタリアの女優エレオノーラ・ドゥーゼ(1858-1924)のこと。 p16新聞には黒枠がなかった(there were no black edges in the Press)◆ ロイヤル・ファミリーの死去の場合は新聞に黒枠がつく。エリザベスⅡのThe Timesの扱いを参照。ここは大袈裟な表現。新聞に黒枠がついてもおかしくないくらいの大人気だった、という趣旨。 |
38138. | 最近のマイブーム: 日本の文豪と海外ミステリ作家の誕生年比べ 弾十六 2025/04/23 14:15 [雑談/足跡] |
ポー(1809)、ディケンズ(1812)、佐久間象山(1811) ドストエフスキー(1821)、コリンズ(1824)、勝海舟(1823) ガボリオ(1832)、吉田松陰(1830)、坂本龍馬(1836) ------- ドイル(1859)、ルブラン(1864)、フリーマン(1862)、黒岩涙香(1862)、森鴎外(1862) ルルー(1868)、夏目漱石(1867) チェスタトン(1874)、泉鏡花(1873)、岡本綺堂(1872) クロフツ(1879)、永井荷風(1879) カフカ(1883)、ミルン(1882)、志賀直哉(1883) チャンドラー(1888)、クリスティ(1890)、菊池寛(1888)、夢野久作(1889) バークリー(1893)、セイヤーズ(1893)、ハメット(1894)、芥川龍之介(1892) ウールリッチ(1903)、オーウェル(1903)、久生十蘭(1902) ディクスン・カー(1906)、エラリー・クイーン(1905)、坂口安吾(1906)、太宰治(1909) ロス・マクドナルド(1915)、ミッキー・スピレーン(1918)、島尾敏雄(1917) ハメットと芥川龍之介 ロス・マクと島尾敏雄 が個人的にはツボ。 明治以前には有名文豪があんまりいないので、史上の人物になった… ドストと勝海舟なんて酒を酌み交わさせたい。 フリーマンがチェスタトンより年長だったなんて… |