皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
シーマスターさん |
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平均点: 5.94点 | 書評数: 278件 |
No.17 | 5点 | 微笑む人- 貫井徳郎 | 2012/09/02 17:57 |
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この作品は・・・絶賛されている向きもあるようだが、特に文学通とかミステリー通とかいうわけではない普通に娯楽を求める読者にとっては「えぇ?これで終わり?」と未完成作にしか思えないのが一般的な感覚というものではないだろうか。
自分も、作者の本作を連載執筆中のブログで以下のコメントを目にしていなければ「傑作と言われれば傑作なのかなー」と思ってしまったかもしれない。 『かなり凝った話にしてしまったので、長く書くのはしんどいから、短めの長編になると思います。今は第三回の原稿を書こうとしているんだけど、早くも行き詰って辛いです』 やっぱりそういう経過でこのような作品になってしまったのか、と納得できてしまう読後感。いくら何でも回収しなさすぎだろう。マリー・ロジェじゃあるまいし。 何とか一つの理念らしきものを浮き彫らせて小説としての体裁を整えたようにも思えるが、そんなものを読みたくて貫井ミステリーを手にするわけじゃない。 前作「新月譚」を読んだ時、「あれ、貫井さんどうしちゃったの。純文学系にシフト?」と懸念したが、今回は不可解な殺人を題材にした究極のホワイダニットかと思わせながら本作のような作品を出してしまった貫井さん・・・・・・マジで今後が心配。 |
No.16 | 6点 | 新月譚- 貫井徳郎 | 2012/04/24 23:04 |
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う~ん、何と言ったらいいのか・・・読後ため息が出てしまいそうな粘着質の作品。
現時点でAmazonにはお二方の感想が寄せられ、お二人ともほぼ絶賛されている。それはよく解かるし、それだけの評価を受けてもおかしくない内容を有する作品だとも思う。 しかし、自分は長いプロローグを「きっと凄い本編のための念入りな仕込み」と思いながら読み、本編に入ってからは「いつか圧倒的なリーダビリティ・・・(貫井作品ならではの)目と指がページに引っ張られる展開になるはずだ。その香りがする」と信じながら読み進めたが、結局最後まで自分がページを引っ張らなければならない作品だった。要するに自分の感性にはあまり合わなかったというより言がない。 伝説の女性作家の半生、いやほぼ全人生を完全に描き切った力作であり、作家の実態、苦悩をリアルに丹念に書き連ね、作者自身の小説論を惜しげなく晒し、何より多くの読者の恋愛観を変えるかもしれないとすら思われる情念的な恋愛小説であることは間違いないだろう。 ただ個人的には全体を通して、主人公の心理描写のくどさが重かったし、途中のストーリー展開がクドクドダラダラの繰り返しという面も少なからず感じてしまった。 本編のラストは整った着地を見せるが、途中の登場人物達のだれか(少なくともアノ人)が終盤に何か影響をもたらしてくるのかと思っていたのに・・・そしてエピローグは・・・ 読み終わった直後に作者の奥様・・・そう、加納朋子さんの顔写真を初めてネット検索した。 |
No.15 | 7点 | 灰色の虹- 貫井徳郎 | 2010/10/26 23:56 |
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理不尽、陰惨、苦痛、絶望、怨念、復讐、悲愴・・・
・・・といった暗鬱な内容にまみれた物語でありながら、いや、それ故にページを捲る手が止まらないという貫井節炸裂の生々しい冤罪小説。(こういう系が苦手な人は決して読んではならない。こんなにも痛ましくやりきれない話はない) 先日メディアで流された警察官によるヤクザまがいの取り調べの録音からも分かるように、作中で描かれた今尚横行する暴力的な被疑者落とし、そしてそれに続く司法システムの定式性には憤怒以上に恐怖を感じるばかりで、この「冤罪の構図」という蟻地獄にはまったら逃れるすべはないことを前半では実感させられる。 少々強引で御都合な展開は相変わらずだが、そうした引っかかりを吹き飛ばす絶大なリーダビリティも御健在。(ていうか相性の問題なんだろうけどね) ただし後半に入ると若干息切れの感も否めず「裁判官の章」辺りでは冗長さに加えて喜劇的な空気すら感じられる。 唯一のミステリーらしいトリック・・・これは本サイトでも非常に評価が高い某短編集の中の一作のモロパクリだが(それはそれでいいんだけど)これはちょっと(少なくとも全部は)ムリだよね。痛ましさを増大するばかりだよね。 読後感としては・・・・全てが白日の下に晒され、このようなことが今後現実で起こらぬことを願うばかり。 |
No.14 | 6点 | 空白の叫び- 貫井徳郎 | 2010/07/05 23:52 |
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貫井徳朗渾身の超大作、この度ついに上中下の三分冊にて待望の文庫化!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(「だから何?」「待ってたんですよ」) ◆解説より 「僕はこの作品を書くために作家になったのかもしれない」 ◆作者のブログ(本年6月9日)より 「魂を削って書いた作品です。これを書き終えて、ぼくは小説家を辞めてもいいと思いました」 あの貫井徳朗がここまでいうのだから、読むにあたり否が応でも期待が高まるのは禁じえない・・・・・・・ ・・・・・・・確かに作者らしい濃厚な不快に満ち溢れた作品だった。 しかし、率直な読後感は「うーん、あなたはもっと凄い小説をいくつも書いているのではないですか?」 まぁ、この辺は書き手と読み手の主観の違いというものが多分に露顕してくるところなのだろうが、リアリティに乏しいミドルティーン達の現実離れしたストーリーからは、作者が「何を言いたかったのか」が自分には解らなかった。 |
No.13 | 6点 | 明日の空- 貫井徳郎 | 2010/06/07 23:48 |
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帯の文言を目にした上で読み始めると、青春物語調の展開からは「イニシエーション・ラブ」のにおいがプンプン
結局仕掛けは見抜けなかったけど、真相・結末・読後感は歌野作品と伊坂作品のミックス味といった感じで、あっと驚くのは彼らの作品を未読の穢れを知らない読者だけだろう。 読みやすくて面白い読み物ではありますよ。 |
No.12 | 6点 | 夜想- 貫井徳郎 | 2009/12/15 22:58 |
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本作はミステリではありません。(ソレっぽい部分もあるにはあるが)
超常能力も出てきますが端的に言えば「ある新興宗教ができる過程」と纏めてしまえるかもしれない。 もしその宗教が現実にあるとしたら、本作はこのままその布教小説になりうるでしょう。 【余談】かなり以前にある宗教、〇〇〇会(伏字にする意味ありませんね)刊行の小説を読んだことがあります。(もちろん買ったりなどしていません、貰いものです・・多分会員の方から)・・その内容を思いっきり概略すると・・・ 悲運に見舞われ続け、堕落し荒んだ生活に身を浸す主人公が敬虔な信者に出会い、紆余曲折の末ついには心を開かれ、その道に生きていく・・・ というベタな話だけど、読み物として結構面白い上、途中「闇が深ければ深いほど夜明けは近い」みたいな件(くだり)に至ったときには少し感動してしまったものですよ。【余談終わり】 本作は(他の作品からも窺われるように)宗教に関して中立のスタンスでありながらも強い関心を抱いている作者が、その意義を掘り下げて宗教の枠を超えた救済論を考察した書であると同時に、「絶望的な悲しみを背負った人々」に向けた作者なりの優しい眼差しとささやかなメッセージが込められた作品だとも思います。 |
No.11 | 6点 | 後悔と真実の色- 貫井徳郎 | 2009/11/11 23:57 |
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貫井作品だから当然単なる本格ではないが、例によってミステリ部分は緻密な構成で、「驚くべき真相」が仕組まれているといっても褒め過ぎではない仕上がりになっている、と思う。
しかし、いくつかのエピソードは纏め方が唐突だし、小ネタの1つである「日時のミスリード」はいくら何でもひどすぎる。こんなものは無関係な一般人でもその可能性を思いつくだろうし、ましてや警視庁を頭とする東京中の警察が全くそれを想定できなかったなんていう展開は現実味に欠けること著しい。 またリーダビリティの面でも『愚行録』や『乱反射』などの直木賞候補作品に比べると、若干引けを取るように感じられるのは、自分が警察の内情話にあまり関心が高くないことのみに由来するものだろうか。(直木賞候補だから面白いとか云うつもりは勿論ない) 生身の体臭が感じられるような切々とした心情描写は、作者の真骨頂の一つであり大いに惹きつけられるところではあるが、今回は全体的に少々くどい印象が拭えなかったと感じたのは、本作と自分の相性が今ひとつだったことの証左なのかもしれない。 どこまで内容と関連づけられたものかは分からないが、装丁のブルーは美しい。 |
No.10 | 6点 | 転生- 貫井徳郎 | 2009/10/28 22:23 |
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本作が刊行されたころにはまだまだホットな話題であった臓器移植を題材にしたサスペンスミステリー
エンタメとしては面白い。 |
No.9 | 6点 | 神のふたつの貌- 貫井徳郎 | 2009/09/13 23:56 |
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これはトリッキーな仕掛けがあるにはあるが、ミステリではないだろう。
では何なのか・・・これは「神とは何なのか」という人類の永遠のテーマの一つに対する、(恐らくキリスト教に強い関心を抱いている)作者なりの纏りのつかない考察の過程を記した書・・・・と言っても大ハズレではないかもしれない。 しかしキリスト教に対する冒涜になりかねない内容でもある。 ストーリーは、聖職者の家に生まれついた少年が「先天的な特殊な疾患」と「ある熱心な信者の独自の対神解釈」により自らの裡に育ててしまった狂気的な救済論から生じるラプソディを核とするものだが、構成に仏教的な輪廻を大きく絡めている点は興味深い。 ラストは・・・・良識ある読者の多くは眉をひそめるものかもしれないが、自分は・・・決して主人公に感情移入したわけではないが・・・あまり悲惨なものではなく清々しささえ感じさせるエンディングでホッとしたというのが正直な感想。作者もどう落とし前をつけたらいいのかわからなかったのではないか、とも思う。 |
No.8 | 7点 | 追憶のかけら- 貫井徳郎 | 2009/08/01 23:25 |
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あまり得意ではない旧字旧仮名遣いの作中作が始まるところで立ち止まり、パラパラと先のページを捲ってみて、それが300ページ近く続くことを知り心が折れそうになったが、案ずるより・・とばかりに意を決して取っ掛かると、これが悲愴な話ながら実に読みやすくて面白く、エンターテイナーとしての作者の懐の深さを改めて実感させられる次第となった。
かういふ文体で、斯くも読みゐらせるストオリイを書き綴るとは凄いぢやないか。 この人の作品は概して都合いい偶然が少なくないし、生臭いヒューマンドラマの割にはリアリティの薄弱さを感じさせるところがあったり、動機が今ひとつシックリ来なかったりすることがあるが、「読んでいて、いれ込めればそんなものはどうでもいいじゃないか」と思わせるだけの筆力を有する数少ない作家の一人だと思う。(少なくとも自分にとっては) 本作の構図は少し技巧に走りすぎたきらいはあるが、ラストは・・・・・どうにも文字が滲んでくるのを止めることができなかった。 |
No.7 | 7点 | 乱反射- 貫井徳郎 | 2009/05/27 23:05 |
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粗筋だけを追うと強引で御都合な展開だし、細部のリアリティ面での粗雑さも目立つ・・・が、そんなことは些細なものに感じさせる貫井氏らしい人間臭濃厚なストーリーテリングと圧倒的なリーダビリティで一気に読まされる作品だった。
本作はある幼児の死亡事故を巡る物語だが、様々な形で死亡の原因の一端を担ってしまった多くの「関係者」は皆「善良な一般市民」であり、事故後司直に委ねられた唯一の人物を除いた彼らの「行い」は、褒められたものではないが到底「死の責任」を問えるものでもなく、常識に悖るとは言えそれぞれの「行い」に至るまでのそれぞれの生活背景や人生の描写は、それが愚かしくも悲しいどこまでも普通な人間達の行為以外の何物でもないことを実感させる。 また、この幼児の死は一見数々の偶然が天文学的に低い確率で重なって生じた悪魔的に不運な現象のようにも映るが、現実の日常的な事故や事件も掘り下げれば無限の場合分けと無数の組み合わせの交点として発生しているのだろうし、結局、世の中の全ての事象は過去のあらゆる因子の乱反射が結ぶ必然の像であり、その運命から逃れることはできないのだろう。 本作品の主旨が、日本人のモラル低下を嘆き「悔い改めよ」と啓発することにあるのかは分からない・・・・・・・・が、ラストは涙なしに読むことはできなかった。 |
No.6 | 7点 | 愚行録- 貫井徳郎 | 2009/03/01 18:14 |
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これは貫井氏らしい作品。
人の多面性・・・人は単純に善悪に分類できるものではない、見る方向、接する角度によって様々な人物像を呈するものである・・・そう、氏の『プリズム』を彷彿とさせるタッチで話は進む。 舞台は明らかに現実の『世田谷一家殺人』に重ねたものであり、あの事件の現在までの経過を思うとちょっと不謹慎ではないかという気がしないでもない内容だが、人の内面の汚さを剥き出しにではなくジワジワ浮き彫りにしていく展開はヌックの独壇場と言えよう。(そんな愛称はない) ただドロドロ感が、ありそうにして実はさほどではなかったという印象は拭えず、これだけ丁寧に人間性をあぶり出しながら結局の動機が今ひとつ抽象的だった点も少し物足りない。「あの人が語った実態」も活かしてココを思いっきり生臭いものにして欲しかった。 またリアリティ面での処理も、もう少し何とかしていただきたかったね。 始めのおばさんはともかく、無名のルポライターに初対面で各々そんなに丁寧にそこまで話すか・・・もちろん「話したい気持ち(王様の耳はロバの耳)」の描写もそれなりに配慮されてはいるが、少なくとも物産のご令嬢に自らの醜態をそこまで語らせるほどの必然性は感じられない。(育児ストレスの発散みたいな形で説明づけしようとしているが、とてもそれだけで受け入れられるものではない) 慶應の話も・・・感じ方は個人差が大きいらしいが、あの人は大袈裟に感じ過ぎ。 まぁ、何だかんだ言っても抜群のリーダビリティに塗され「読後感の悪い読みもの」として面白かった。 |
No.5 | 4点 | 被害者は誰?- 貫井徳郎 | 2009/02/25 23:35 |
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やっぱ貫井さんは短編は上手くないし、ライト系は下手だと思う。
彼の弱点がダブルで味わえる作品。(もちろん主観なので悪しからず) 最終話以外はダラダラ間延びした百ページ前後のショートミステリで、手記を使ったトリックも既に視た感じのものばかり。 最終話の「錯誤」もミエミエ。 「軽さ」も面白ければ文句ないんだけど、面白くないんだよね・・・・ありふれたスタイルで。 こういうのはこういうのを書かなきゃ食っていけない大衆作家に任せて、従来どおり重くて鬱なストーリーの中に「企み」がある長編に徹する方がいいよ、貫井クンは。こんなん書いてヌクヌクしてちゃダメだよ。 |
No.4 | 6点 | 殺人症候群- 貫井徳郎 | 2008/01/08 21:15 |
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症候群3部作の最終章にして最重量作。
少年法の壁の前になす術がない被害者遺族は、どう生きていけばいいのか。 一生、絶望的な悲恨と鬱屈の布団に包まって生き続けるしかないのか。 法が裁かない極悪犯を駆除することは悪なのか? 悪というならそれは何故か?・・・社会秩序に反するから? 法律は誰のためにあるのか? 正義とは何か? 表面の事象の割りに長すぎる感も否めないが、殺す者、殺される者、肯定する者、否定する者・・・・それぞれの心情、人間観、生き様を渾身の筆致で描いた所産であり、この問題に対する作者の思い入れが身を切られるほどに伝わってくる大作である。 誰にでも薦められる作品ではないが、本日、飲酒運転事故の判決を下した福岡地裁の裁判官には是非読んで頂きたい。 |
No.3 | 5点 | 誘拐症候群- 貫井徳郎 | 2007/12/19 22:48 |
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事件の構成や展開は「失踪・・」より面白かったが、解決にあたり今回も大穴を当てるような偶然に助けられるのはチョットね・・・
2群の誘拐はともに頭脳的で見事に遂行されるため、どれほどの犯人達かと思いきや・・・・・・(「失踪」ほどではないが) 環の追い詰め方もスクラムトライの如く力ずくで「スマートさ」からは程遠い。 前作では殆ど無機質だった武藤が今回は主役級となり、彼の人間性が少し見られるのは興味深かった。 その反面、全体的な人間描写は前作ほどの体臭を感じられず。 |
No.2 | 5点 | 崩れる 結婚にまつわる八つの風景- 貫井徳郎 | 2007/12/10 23:28 |
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短編集で、どの話も読みやすいので、ひつまぶしには悪くないが・・
夫婦、恋愛、近所づきあいなどをテーマにしたミステリだが、考えさせるにせよ、怖がらせるにせよ、驚かせるにせよ、何か中途半端というか作者の意図がイマイチ不明瞭なものが多い。ふざけているのかな?と思うものもある。 ネタやテイストもどこか既視感を抱かせるものが少なくない。(どちらが先だか知らないけど) あとがきによると、作者としては初の短編集で自分なりに短編の書き方を勉強しながら書いた、ということなので何となく納得。 |
No.1 | 5点 | 失踪症候群- 貫井徳郎 | 2007/11/27 20:21 |
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あまり好みのジャンルではなかったが、貫井作品だから「何か」あるだろうと思い、読み通す。
環や武藤、また基地外ロックバンドなど、現実感が希薄なキャラクタを登場させる一方で、普通の人間たちの生々しい生活感を描く筆力はさすがに圧巻。 ハードボイルド(?)サスペンスとしては悪くないが、事件の芯がショボいし、いくつかタイミングがよすぎる所も鼻につくし、ラストも2時間ものによくありそうな安直な纏め方がイマイチ。 |