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Tetchyさん
平均点: 6.73点 書評数: 1570件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.170 9点 鈍い球音- 天藤真 2008/01/30 23:08
まず登場人物全てが魅力的。
次に最後の先の読めない展開。ベレー帽と髭を残して監督が失踪するという仰天の発端から次から次へと収拾がつかないくらいに事件は右往左往し、終章まで散らかりぱなしといった感じで読んでいる最中はどうなるの!?って不安になってしまったほど。
そして達者な筆捌き。ユーモアが滲み出るその文体は事件が陰惨なものであってもほのかに温かみを感じさせる。
昭和の時代のプロ野球界を舞台にしているので30勝投手とか出てくるのが時代を感じさせるけど、それもまた愛嬌でしょう。

No.169 4点 死の内幕- 天藤真 2008/01/29 23:01
タンスに頭をぶつけて、そのまま死んでしまうというお昼のサスペンスみたいな安っぽい幕開けから始まる本書。
しかしそこからでっち上げた架空の犯人とまったく同じ風貌の人物が現れてしまうという天藤氏ならではの展開に期待したのだが・・・。
意外にすんなり真相へと至り、物足りなかった。
期待値が大きすぎたかなぁ。

No.168 4点 赤い館の秘密- A・A・ミルン 2008/01/27 19:58
横溝正史が金田一耕助を創作するのにモデルにした探偵アントニー・ギリンガムが主人公の作品。
しかし、非常に牧歌的な中で物語が進むので抑揚がなく、名作といわれた本書を今読むと、単調な気がせんでもない。
『クマのプーさん』の作者がこんな探偵小説を書いていたんだと興味が湧いた人はどうぞ。

No.167 7点 陽気な容疑者たち- 天藤真 2008/01/25 22:59
デビュー作とは思えぬほど卓越した文章。
密室殺人が起こるが終始のどかなムードで物語が展開するのがこの作者の人柄が表れていて、いい。
ただ真相は第1作目にして気負いすぎの感もあり。
でも登場人物全てが良くて、ホント「陽気な容疑者たち」だった。

No.166 10点 大誘拐- 天藤真 2008/01/24 23:38
プロット、ストーリー、キャラクター、アイデア、どれをとっても超一級でしょう!
こういう面白い話をひょうひょうと書くこの作家の上手さにも感服。
まさに歴史に残る名作。
映画もよかった!

No.165 2点 カケスはカケスの森- 竹本健治 2008/01/23 13:28
ゴシック風味のミステリだが、ちょっと合わなかった。
二人称叙述が効果を上げているとは思えてないし。
解説も駄作を必死に持ち上げようとして、苦しかった。

No.164 9点 狂い壁狂い窓- 竹本健治 2008/01/22 23:31
とにかく怖かった、グロかったというのが第一印象。
やっぱ病院は怖いよ~!
おまけに竹本氏がわざわざ想像力をかき立てる言葉を選んで書いているので更に倍!
ホラーと思いきや、最後に論理的に落ち着くところが凄かった。

No.163 1点 将棋殺人事件- 竹本健治 2008/01/21 22:55
文章が合わなかったなぁ。
幻想小説風味の章と普通の章が交じり合っているが、なんとも奇妙な感じがした。
真相も今ではそう目新しい物でもないし。
今敢えて読む必要は無いのでは。

No.162 5点 神の火- 高村薫 2008/01/20 19:15
私もみなさんと同じくメインテーマの原発襲撃の動機がどうも弱すぎるように感じた。
単なる自己満足に過ぎないんだよね。
でもその道のプロしか知らない専門用語や、何でこういう男の愉しみ方が解るの!?と思う暇の潰し方など、この作家の頭はどうなっているのかと至る所で感嘆した。

No.161 9点 黄金を抱いて翔べ- 高村薫 2008/01/19 23:28
これがデビュー作かという驚嘆がまずあった。
そして強盗計画の緻密さに、「ここまで詳細に書くとやばいのでは!?」とまで思ってしまった。
ただし仲間達がどうも自分勝手すぎて、正直強盗チームとしては最悪の構成でしょう。
主人公の破滅型思考も強盗するという設定では相反するものだと思うのですが。
でもこの物語の重みの前ではそれらさえも納得させる熱がありました。

No.160 7点 取引- 真保裕一 2008/01/18 22:51
ろんさんと同じく、公取委としての物語をもっと読みたかったというのが本音。
それを期待したばかりに誘拐事件がメインになったことに終始違和感を覚えた。もっと柔軟でないといけないんだろうけどね。
ただマニラほかフィリピンの描写は素晴らしい。
これは今住んでいる僕が云うから間違いない!

No.159 8点 連鎖- 真保裕一 2008/01/17 19:55
デビュー作にしてこのクオリティと素直に驚きました。
しかも元アニメーターで、全然関係のない職業をしていたことに更に驚いた。
通常デビュー作ならば自分のよく知っている職業をテーマにして小説を書くものだが。
でも乱歩賞を意識したせいか、無理矢理物理トリックを放り込んだのがバランスを欠いているように思う。
でも上出来の一作。

No.158 4点 夜の分水嶺- 志水辰夫 2008/01/16 23:02
恋人達の権力からの逃走劇。
尾崎豊の歌みたいだが、結末はなんとも消化不良。
最後の1行はなんだろう?
年寄りの訓示みたいな感じがした。

No.157 2点 花ならアザミ- 志水辰夫 2008/01/15 23:45
シミタツの作品にしてはあまり印象に残っていない。
題名は登場人物の1人の女性を喩えたものだが、そんなに魅力があったかどうか覚えていない。
作者も初の連載小説で上手くいかなかったと云っているようだ。

No.156 9点 行きずりの街- 志水辰夫 2008/01/14 23:32
私が日本にいない間になぜかブーム再燃していた本書。l
内容といえば田舎で塾を開業している男がかつての教え子=妻のために過去を捨てた街へ帰ってくる話。
男にとってこれほど都合のいいというか、本願成就の話はないのではないか。
しかし、シミタツはそれを極上の文章で読者の心に染入りさせる。
しかし21世紀のこの世においてなぜにこのストーリーがもてはやされたかは疑問。

No.155 9点 深夜ふたたび- 志水辰夫 2008/01/13 15:27
題名から見ても解るようにギャビン・ライアルの名作『深夜プラス1』の本歌取り作品。
したがって面白くないわけが無い!
確か記憶では主人公は元相撲取りではなかったかな?
あと男と女の微妙な関係が心に残っている。

No.154 5点 オンリィ・イエスタデイ- 志水辰夫 2008/01/12 18:47
なんか盛り上がりに欠けたなぁ。
山がなかったという感じ。
横文字のタイトルからしてシミタツじゃないという気もする。

No.153 7点 狼でもなく- 志水辰夫 2008/01/11 18:00
ぎりぎりに引き絞った矢が一気呵成に解き放たれるかのように終盤、怒涛のアクションシーンになだれ込むのが印象的。
しかもシミタツ節が物語を加速させる。
だけど犯人が解る手がかりがアンフェアのような・・・。
本を読んでいる限りでは解らんよ、あの手がかりは。

No.152 5点 七つの棺- 折原一 2008/01/10 18:14
単行本刊行時は『五つの棺』でしたが文庫化に際して2つの短編が足されました。
個人的には「密室の王者」がよかったです。いや題名のしゃれがね。
「ディクスン・カーを読んだ男たち」は確か藤原宰太郎氏の推理クイズにそのまんま出てて、先にそっちを読んだ私は興をそがれてしまいました。

No.151 9点 散る花もあり- 志水辰夫 2008/01/08 17:59
ビシビシと胸に残るフレーズ、そして愚直なまでの男と女を書かせたら、抜群に巧いなぁ、シミタツは。
平成の現代に忘れられようとしている信義とか仁義がここにある。
しかし散った花は思いの外、大きかった。通常ならばこのタイトルは反語表現として使われ、その前には「咲く花もあれば」となるだろう。しかし、ここではあえて逆にしてこう云いたい。
「散る花もあり。やがて咲く花もあり。」

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