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たかだいさん
平均点: 5.11点 書評数: 159件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.14 7点 天使の耳- 東野圭吾 2025/03/07 21:48
殺人事件に遭うよりも余程身近な危険である交通事故に焦点を当てた東野圭吾の短編ミステリー集
信号無視、駐車違反、煽り運転といった違反行為から派生する謎解き要素が結末のどんでん返しも含めて面白く、また、目の付け所が良いなと感心した所でもあります
話としては、盲目の女性が音を頼りに同乗車が信号無視をしたという無実を証明してみせる表題作『天使の耳』が一番面白かった一方、(幾つかのお話で言われているように)例えば当て逃げのような人死もなく加害者が見つかる見込みも薄い事故では警察も形式的な対応以上の事はしてくれないという泣き寝入りの現実も一緒に書かれているのが印象に残りましたかね

No.13 5点 架空犯- 東野圭吾 2025/02/04 15:18
とある夫婦が死亡し、稚拙な自殺偽装に隠された意図であるとか、秘された人間関係であるとかが徐々に浮かび上がり、入り組んだ果てにある一つの真相に辿り着くまでの流れが素晴らしい
ガリレオシリーズは勿論、一見似た傾向がありそうな加賀恭一郎シリーズとも一線を画す警察小説だったかと思います
ただ、個人的に東野圭吾作品にしては本作はちょっと読みにくく感じて、読み切るまでいまいちペースが上がらなかった印象です

No.12 3点 ラプラスの魔女- 東野圭吾 2025/01/25 09:33
とりあえず他作品と同様に、相変わらず東野圭吾の文章は読み易いのでスラスラと読了出来た
そんな本作は、2つの離れた温泉地で起きた硫化水素による死亡事故に端を発し、その両方に居合わせた少女が抱える秘密と事故の真相を探っていくミステリーです
根幹にあるSF的な設定の空想科学とでも言うような特殊設定の基、ストーリーが構築されている変わり種ですが、個人的にはこの設定がちょい弱いように思えてイマイチ刺さらず…
続編が出ていた筈ですが、正直続きを読みたいとは思わなかったです
東野圭吾の作品(シリーズ物)としてはブラック・ショーマンよりはマシですが、あまり魅力を感じないシリーズ、といった所でしょうか(個人的な見解)

No.11 5点 あなたが誰かを殺した- 東野圭吾 2024/12/25 22:30
一度に発生した死傷者数が比較的多く、犯人も捕まっているという状況下、腑に落ちない被害者遺族がもう一度集まって事件の考察を行う事になる
なかなか凝った趣向が目を惹く作品で、内容としては可もなく不可もなく
個人的には加賀恭一郎シリーズで似たようなタイトルのシリーズが2作程ありますが、そちらのように「真相は自分で推理してね(答え合わせなし)」のパターンじゃなくて安心したって部分が本音だったりします

No.10 3点 回廊亭の殺人- 東野圭吾 2024/12/22 19:12
恋人を殺され、自らも襲われた女が自分の死を偽装した上で『老婆』に化けて復讐の機会を窺う
なかなかパンチの利いた前提設定だと思い、読む前からある程度、期待をしていた作品
実際には、女が復讐を開始する前に1人が殺さた為にそれどころではなくなり、復讐に暗雲が立ち込めてくる
まあその流れは別に良いのだが、いかんせん事件としてインパクトがない
真相に関してはまあまあ良いと思いつつ、勝手ながら期待した程ではなく、若干退屈に感じてしまいました
正直、オチも微妙で、女の正体がバレかかる終盤からのラストまでが、どうにも「そうじゃない」もしくは「コレじゃない」感が…

No.9 2点 学生街の殺人- 東野圭吾 2024/12/19 18:08
東野圭吾としては初期の作品
読み易さはそこそこですが、いかんせん話が地味過ぎる気が…
特筆して語るような特徴に弱く、個人的にあえて語るなら人気がなくなってしまったかつての学生街の物寂しさと、そこに息付く人間関係くらいだろうか
そうゆう空気感の中で引き起こされる連続殺人の真相は決してつまらなくはなかったが、地味という印象を拭い去る事は叶いませんでした

No.8 7点 聖女の救済- 東野圭吾 2024/12/19 07:31
「ガリレオ」シリーズとしては「容疑者Xの献身」に次いで好きな作品
被害者に毒を飲ませた方法が今回の肝となるわけだが、その毒殺トリックが非常に秀逸なのが理由です
秀逸というか執念が凄いというか…むしろ、忍耐力が凄まじいのか
ともあれ、このトリックが有り、それを踏まえた話の流れも完璧で、読み応え抜群で面白かったです

No.7 5点 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 2024/12/16 00:05
とある山荘に銃を持った銀行強盗が押し入る所から始まるサスペンス、身内の中の何者かによって妨害される脱出計画、そこにきて遂に殺人まで起こって混迷を極めていく二転三転のストーリーが楽しめる作品
東野圭吾の読み易い文章も相まって、スラスラと読めるのも魅力の一つ
ただし、個人的にはオチというか真相がそこまで好きになれなかったので満足とまでは評価出来ない
ミステリーというよりサスペンス物として、話の経過自体は面白かったです

No.6 5点 透明な螺旋- 東野圭吾 2024/12/14 01:50
東野圭吾による「ガリレオ」シリーズの一つで、本シリーズの主要キャラクター「湯川学」の人物像を深掘りした内容となる
背後から銃殺され海に沈んだ男、特に理由もなく忽然と消えた女、女を匿う老女…等々、一つのミステリーとしても中々に面白い内容だったかと思います
ただし、前述のように湯川の秘密というか生い立ちであったり、意外な人間性に焦点を当てた作品でもある為、多かれ少なかれシリーズに馴染みがあるかないかで評価が割れそうな印象も受けた
良かれ悪かれキャラの深掘りがメイン(の一つ)にある為、事件としての面白みはあってもどこか小粒感が拭えず、正直、単体として見た場合の評価は10段階中の真ん中(5点)が妥当な気がしました
勿論、シリーズを通して見たら重要なポイントではあると思うのですが、個人的には、どうせならアッと言わせるようなトリックありきの「ガリレオ」が読みたかったかなというのが本音です

No.5 6点 むかし僕が死んだ家- 東野圭吾 2024/12/07 04:47
ガリレオや新参者、マスカレード・ホテルなど有名なシリーズ物を多く手掛ける人気作家・東野圭吾による単発物の長編
山中の廃屋を舞台に登場人物は(基本)男女の2人のみという限定的な空間でストーリーが進行し、探索によって見つかる手掛かりから徐々に全容が見えてくるという構築が絶妙な作品
こんな限られた空間でよくもここまでのサスペンスを描けるものだと、ある種の感心すら覚えました
どことなく「弟切草」や「かまいたちの夜」のようなノベルゲームっぽい雰囲気を感じましたが、氏の特徴だと思っている読み易い文章で一気に読めてしまう作品です

No.4 2点 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人- 東野圭吾 2024/11/22 16:37
とりあえず、私としては東野圭吾は好きな作家の一人だし、本作も話としてはまぁまぁ面白いと思いました
その上で評価が2点なのは、ひとえに「本作の探偵役が嫌い」、この一言に尽きます
こう言ったミステリー作品にはクセの強い探偵役はごまんと居ますが、本作のそれもかなり癖が強いです
職業がマジシャンなのも珍しいですが、その性格は高慢不遜、目的の為なら汚い手段も辞さないようなヒール寄りのキャラクター
正直、この手のキャラが総じて嫌いな私にとって、彼が探偵役という時点で中々に読むのがツラい…
本作がシリーズ化されているのも知ってますが、以降のシリーズを私が手に取る事はおそらくないでしょう

No.3 8点 容疑者Xの献身- 東野圭吾 2024/11/16 18:17
いわゆる「天才 vs 天才」の構図で展開されるガリレオシリーズ初の単独長編
湯川も認める天才数学者が企てた鉄壁の護り、その真の狙いも含めてメイントリックとも言える仕掛けが面白かった
また、それを実行した男の、文字通り、狂おしいまでの献身には頭が下がる。もちろん、倫理的にも社会的にも決して正しくはないのだが、そこまで人を愛してしまったのなら仕方がない
ラストで彼にとってのバッドエンドを迎える宿命なわけだが、それも含めてこの作品の犯人はどこまでも真っ直ぐに人間的で嫌いになれない。そんな魅力があるように思えて、ガリレオシリーズとしては短編も含めて、この「容疑者Xの献身」が一番好きです

No.2 10点 さまよう刃- 東野圭吾 2024/11/16 06:44
個人的には東野圭吾作品としても、ミステリー小説としても一番好きと言ってもいいくらい推しの作品
少年犯罪に巻き込まれて愛娘を亡くした男の慟哭と、ふとしたきっかけからタガの外れた男が起こす復讐の行方を描く
テーマが非常に重く、社会派な印象が濃い。少年犯罪という人によって千差万別な意見で何かと議論が絶えないデリケートな問題を正面から描いている
それに対する、被害者遺族側の解答というか、正直かつ危うい答えが「男の行動」であるように思う。私としては心情としては理解出来るし感情移入もできたが、人によっては完全拒絶で受け入れられない人もいるだろう。その辺りの両極さも、個人的に本作が良いと思えた一つの要因です
とりあえず、(東野圭吾作品全体的に言える事だが)文章が読み易い事、ストーリーにミステリー特有の難解さがなく分かりやすい事から、あまり読書の習慣がない人にも読んでみて欲しい1冊

No.1 6点 麒麟の翼- 東野圭吾 2024/11/10 06:35
新参者としてドラマ化もされている加賀恭一郎シリーズの(短編含め)9作目にあたる作品
瀕死の身で日本橋まで移動して生き絶えた男の謎を、刑事・加賀恭一郎が追う
正直なところ、派手なトリックや秀逸な真相があるわけではなく、どっちかと言えば聞き込み等による地道な捜査で徐々に事件の輪郭が浮かび上がってくる地味な内容です
しかし、そこに秘められた男の真意、七福神巡りの理由などに気付いてくる事で、とある過去の過ちや親子間の絆が見えて来る構成は結構好きでした
真相なんかも割とあっさりしていて、過ちに関しても最後まで補完され切れない辺り、変に救いのある円満なラストでご都合主義にするより効果的だった気がします

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