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みりんさん
平均点: 6.65点 書評数: 464件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.11 7点 Yの構図- 島田荘司 2023/08/19 19:22
吉敷竹史シリーズ第6弾
いじめを苦に自殺した少年の亡霊、一つのホームの両側に到着した新幹線から服毒死体、死体には桔梗の花や蝶が…
相変わらず不可能状況を作り上げるのが上手い。
そして吉敷竹史モテすぎ。課長時代の島耕作かよってくらいモテる(シマコーよりは遥かに紳士だが)

No.10 6点 確率2/2の死- 島田荘司 2023/08/17 18:59
吉敷竹史シリーズ第5弾(のはず)
2時間でサラッと読めた。前作あたりから文体がスリムになったのかなあ?読むスピードが異常に上がった。なんか超不評ですが、私は楽しめました。

やっぱり誘拐ものってある程度の面白さは保証されてると思う。犯人の目的がわからない誘拐モノは特にね。そしてタイトルもイイ皮肉ですね。
しかし、前作『消える水晶特急』同様に推理で真相を引き当てることは不可能だと思う。どうせヒントをもらっても推理を組み立てられないので私には問題ありませんが(笑)

No.9 7点 消える「水晶特急」- 島田荘司 2023/08/17 06:38
島田荘司「その列車 消えるよ」 なぬ!?
人間消失程度では飽き足らなくなった島荘は遂に列車消失も演出してしまいます。草。

吉敷竹史シリーズ第4弾

本作はなんか知らんが前3作に比べてリーダビリティが異常に高い。私は小説を読む時に100ページごとに時間を測るという奇特な習慣があるんだが、島荘作品は大体100ページで80〜90分くらいかかるのね。でも今作はなぜか100ページ55分ペース(これは東野圭吾クラスw)。なんでだろうね。やっぱり立て篭もり事件はサスペンスフルで読む手が止まらなくなるのかな。それとも今回は語り手が吉敷竹史じゃなかったからかな。ともかく一気読みできる快作でした。

最後の"感動の再会"シーンは作者のサービス精神に拍手です。いや〜面白かった。
この愛らしい女性コンビはこれからも登場してくれないかな〜なんて思っちゃったわけです。

No.8 8点 北の夕鶴2/3の殺人- 島田荘司 2023/08/16 17:38
私は本格ミステリに"実現可能性"というあまりに些細なことを気にする余り、『斜め屋敷』や『姑獲鳥の夏』を読んでブチギレそうになったのも今は昔。今読めばどちらも傑作という評価を下すでしょう。いつか読み返そうと思いつつ、なかなかタイミングがねぇ…

この『北の夕鶴2/3の殺人』も実現可能性が著しく低そうなトリック、それでいい(保険付きなのは笑った)。『占星術』『斜め屋敷』そして今作『北の夕鶴』。一生忘れられないであろうトリックを島荘はいくつ生み出しているのだろうと楽しみにこれからも読んでいきます。

吉敷竹史シリーズは3作品目。奇妙奇天烈で掴みやすい御手洗潔と違って冷静な好青年というぼやけた印象しかなかった吉敷竹史がこんなに情熱的で感情的なキャラクターだったとは。男とはこうあるべきだという少々古臭い価値観だが、元妻の幸せを心から祈る元亭主の命懸けのラブロマンス+サスペンスとしても優秀だと思います。しかし、あのユニークな物理トリックとこのラブロマンスがややミスマッチな気がしないでもない笑

No.7 7点 出雲伝説7/8の殺人- 島田荘司 2023/08/15 15:49
虫暮部さん(名前出して申し訳ありません)のおっしゃる通りで犯人はヒジョーに不可解な偽装工作をしていると言わざるを得ません。普段、物語の整合性・矛盾というものに鈍感で何でも受け入れてしまう私ですら今作はさすがに変だと感じました。

が、これは好きな作品になりました。
まず、首無のバラバラ遺体が7つの終着駅で部位ごとに見つかる。もうこれだけで読む推進力になるのに更に胴体には「五穀の起源」の見立てが施されている。出血大サービスです。でも時刻表は思考停止するので無視無視♪
「八岐の大蛇伝説」について巻き起こる学術的な対立がまあ面白い。そしてこんな見立てをしたのも8つに切り刻んだのもすべては犯人の学術研究由来の憎悪であるというのが良い。ラストの犯人を追い詰めるトラップもそれに心を揺さぶられた犯人という皮肉も最高でした。
「学術研究は成果なんて出さなくても楽しければ良いんだ」という前向きなメッセージもいただきました。


ということでミステリとしては大きく減点、それ以外の要素で大きく加点としこの点数にします。

No.6 6点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁- 島田荘司 2023/08/14 03:50
吉敷竹史シリーズ第1弾
タイトルから明らかなトラベルミステリーだったので避けていた。

「死んだはずの女がなぜ寝台列車に?」「なぜ犯人は被害者の顔の皮膚を剥いだのか?」
相変わらず冒頭からとてつもなく魅力的な謎、いや、越えるべき"壁"を提示してくれる。さすが島荘です。その謎の強大さに対して、吉敷竹史はあまりにも丁寧な筋道を示し、合理的な解決を試みる。このあたりは奇想天外な真相を唐突に思いつく御手洗潔との対比でしょうか。
真相はトラベルミステリーの域を出ないかと思っていたら一捻り、二捻り、どんでん返しと見せかけて1.5捻りほどで留まりました。

綾辻先生の解説によると『占星術』『斜め屋敷』では先生のようなマニア間では既にカルト人気を得ていたが、売れ行きは芳しくなかったそうです。そこで流行のトラベル要素を取り入れ見事『はやぶさ』は大ヒットしたそうな。そんな苦心の末生み出された一冊、なかなか楽しかったです。

No.5 6点 毒を売る女- 島田荘司 2023/03/25 15:57
【ネタバレあります】

毒を売る女 8点
梅毒に侵された女の奇行との攻防。梅毒に罹らなかった主人公までもどんどん精神的に崩れていくのがキツいけれど最後は救われて良かった。最近大流行している梅毒の恐ろしさが再認識できるのでオススメ。

渇いた都市 4点
冴えない男の倒叙で共感できるけれどもラストがよく分からない。

糸ノコとジグザグ 5点
目黒区の形を知っている東京都民におすすめ。解説で知りましたが謎の演説男は御手洗だったんですね。

ガラスケース 5点
たった5ページだけどオチが好き。

バイクの舞姫 5点
これが本格ミステリー宣言で定義していた「本格ミステリー小説」という奴か

ダイエットコーラ 7点
25時間周期にする方法とオチが面白い。星新一作品っぽい。

土の殺意 5点 
被害者の長すぎる大演説が当時の世相をふわっと想像させてくれて良かった。

数字のある風景 3点
一番ミステリアス…。

No.4 7点 斜め屋敷の犯罪- 島田荘司 2022/12/31 01:42
御手洗の道化っぷりを楽しむにはイイかもしれません。
『暗闇坂』再読後追記: いくら実現可能性が低いからと言ってこの独創的なトリックに5点はないと思い7点に。

No.3 6点 御手洗潔の挨拶- 島田荘司 2022/12/27 13:40
ミステリというより御手洗潔の人間性が知れる一冊です。
ファン必読

No.2 7点 異邦の騎士- 島田荘司 2022/12/17 16:10
ラブストーリーとして、良かったです

No.1 10点 占星術殺人事件- 島田荘司 2022/12/17 07:33
再読したので恥ずかしい書評を改める。
光文社文庫で改めて再読すると、世にも不気味なアゾート殺人と占星術のギミックがこのトリックを伝説にしていると痛感する。あと、あろうことか真犯人を登場させるという大大大ヒントを真相解明前に出していることに気づいた。読んでいて「おいおいヒント出しすぎだろ…そんなあからさまだとバレるぞ!」と謎の老婆心がはたらいた。それでも初読時は1ミリも脳裏をよぎらなかったことが不思議。

冒頭の難解な手記で挫折することやトリックが有名になりすぎてしまったことなど、本作を勧める障壁は大きいが、やはりミステリーを読む人なら一度は目を通すべき不朽の名作であると断言したい

最近は特殊設定を好むのも、この世界の法則に従う限り、『占星術殺人事件』を超える奇想には未来永劫出逢えないだろうという諦観から来ている。いつか出会えるといいな。

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