皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
zusoさん |
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平均点: 6.29点 | 書評数: 228件 |
No.5 | 8点 | 造花の蜜- 連城三紀彦 | 2024/08/19 22:22 |
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誘拐される男児とその母親がスーパーで買い物をしている出だしからして尋常ならざる緊張感を漂わせている。
やがて不可解な誘拐劇、スクランブル交差点を舞台にした異様な身代金渡しにつながり、息もつかせぬサスペンスのみならず、どんでん返しに畳みかける騙りのサプライズに驚かされた。 |
No.4 | 7点 | 小さな異邦人- 連城三紀彦 | 2023/04/20 22:26 |
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初期の作風に近い甘美なエロスと死「白雨」、現実と夢の境界の綱渡り「冬薔薇」、目眩むようなどんでん返しの連続「蘭が枯れるまで」、深層意識がサスペンスを生む渾然たる「無人駅」、異様な設定とツイストのきいた巧妙な語り口の表題作「小さな異邦人」と作者らしい短編が並ぶ。
テーマは時効、交換殺人、誘拐、記憶などお馴染みだがプロットは先鋭的、それでいて作者らしい抒情をたたえ、どこまでも艶やかで、どこまでも狂おしく、どこまでもグルーヴに満ちていて陶然となる。このムード、悲しさ、切なさがたまらない。 |
No.3 | 7点 | 女王- 連城三紀彦 | 2023/02/14 22:57 |
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祖父の不審な死をきっかけに「私」は、癌を患った老齢の瓜木、祖父・祇介の弟子だった妻・加奈子とともに、記憶の迷宮、歴史の迷路へと入り込んでゆく。それはなんと魏志倭人伝に記された邪馬台国と、その女王・卑弥呼を巡る謎だった。
異形の歴史ロマンであり、男女の複雑極まる情愛のドラマであり、連城ミステリの要素がすべて注ぎ込まれた巨編である。 |
No.2 | 7点 | 白光- 連城三紀彦 | 2022/09/17 22:40 |
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本書が優れているのは、多重解決が解釈ゲームにとどまらず、家族や夫婦における人間関係の空虚さを背景とすることで、推理や解決がそのままキャラクターを際立たせる要素となっている点にある。
推理とは、他者意識とナルシシズムを前提としなければ成り立たないことを、見事に描き切っている。 |
No.1 | 8点 | 私という名の変奏曲- 連城三紀彦 | 2020/04/16 19:34 |
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この作品の魅力は、正体不明の犯人にヒロインが殺される冒頭から真相のどんでん返しとなるべき一部が読者に提示され、なおかつ作者も誰が犯人だか書き上げても、分からないというような凝った仕掛けと、ヒロインの哀しい肖像が鮮やかなところにある。 |