皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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zusoさん |
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平均点: 6.24点 | 書評数: 197件 |
No.77 | 8点 | 兇人邸の殺人- 今村昌弘 | 2021/12/28 22:41 |
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舞台となるのは、古さを売りにしたテーマパークにたたずむ「兇人邸」。そこに秘匿されている「重要なもの」を回収するのに同行してほしいと依頼を受けた剣崎比留子は、同じ大学の後輩葉村譲らと共に深夜、屋敷に侵入する。しかし、鉄の扉の先で待っていたのは、大なたで人間の首を刈る隻腕の巨人だった。
外部への脱出が困難になるだけでなく、脱出方法によっては巨人を外界に解き放ってしまう恐れもあるという仕掛けがユニーク。死体が増えていく中で、巨人以外にも殺人者がいることが判明、幾重もの謎が巨人の生まれた悲しい過去に結び付く。物語のラストでは意外な展開が待っており、次作への期待も高まった。 |
No.76 | 4点 | 転生- 貫井徳郎 | 2021/12/28 22:32 |
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臓器移植という難しいテーマに挑戦した意欲作。ストーリーは自らに移植された心臓のルーツをたどっていく形の青春小説。ミステリとしては弱いか。 |
No.75 | 9点 | 冤罪者- 折原一 | 2021/12/13 23:08 |
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冤罪事件という社会派ネタを本格の視点で再構築すると、こんなにも面白くなると証明した作品。叙述ミステリの達人ぶりがいかんなく発揮されている。 |
No.74 | 6点 | 猫丸先輩の推測- 倉知淳 | 2021/12/13 23:06 |
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ほのぼのとした風景の中に、人間がそれと意識せずに陥っている落とし穴や、醜悪な面を敢えて取り出してみせる猫丸先輩の視線は、相変わらず健在。
人を食ったような言動など、かなりの曲者ではあるが、不快感は無い。思わぬ結論を取り出してみせられ唸らされた。 |
No.73 | 5点 | プリズン・トリック- 遠藤武文 | 2021/11/25 22:40 |
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大胆な仕掛けには好感を持つものの、いざ明かしてみると狙いほど成功しているとは言い難い。個性や人間味に乏しい人物など、小説の熟成度も今ひとつ。
ただ、交通事故を巡る加害者と被害者の葛藤は、社会派として評価できる。 |
No.72 | 4点 | 誘拐児- 翔田寛 | 2021/11/25 22:36 |
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プロローグこそ目を見張るものの、結局は昭和の推理小説を再現してみましたという程度の印象にとどまってしまったのが残念。
郵便を使ったトリックなど小手先のもののように思える箇所もあり、やや興ざめ。 |
No.71 | 8点 | 密室キングダム- 柄刀一 | 2021/11/10 22:41 |
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作中に五つもの魅力的な密室を配しつつ、それらをトリックではなく、論理によって解体してゆく過程はまさに圧巻。そしてこの論理の応酬が結末に至って暴く、驚くべき真犯人の姿には鬼気迫るものがあった。 |
No.70 | 3点 | 訣別の森- 末浦広海 | 2021/11/10 22:38 |
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冒頭からいきなりご都合主義のオンパレード。登場人物たちの行動原理もさっぱり理解できない。場面ごとの盛り上げ方に熱がこもっていることは評価するが、全体としては破綻している。 |
No.69 | 7点 | 第八の探偵- アレックス・パヴェージ | 2021/10/26 23:42 |
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かつて一冊のミステリ短篇集を刊行した後、隠居生活を送る作家。彼を訪ねてきた編集者の目的は、短編集の復刊だった。二人は収録作を読み返して議論を重ねる。
個々の短編は数学的な部類によって並べられ、最後には精緻な構造が浮かび上がる。もちろん、作中作が並んでいるだけの小説ではない。どんな趣向が隠されているのかは、読んで確かめていただきたい。 |
No.68 | 5点 | 血の葬送曲- ベン・クリード | 2021/10/26 23:36 |
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スターリン時代のソ連を舞台にした警察小説にして幕を開ける。レニングラード人民警察のロッセル警部補は元バイオリニスト。五人の死体が転がる事件を捜査するが、事件には秘密警察の影が。
大胆な展開を見せる作品で、章が進むにつれて物語の形は大きく変わる。歴史に翻弄される男を描いた、重くスリリングな物語。後半少々、荒唐無稽なところが残念。 |
No.67 | 6点 | ノッキンオン・ロックドドア- 青崎有吾 | 2021/10/13 22:55 |
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不可能専門の御殿場倒理と不可解専門の片無氷雨という、二人の探偵が登場する連作。謎の種類によって謎解き役が交代するというシステムには新しさを感じた。話はごく短いのに謎解きは意外としっかりしており、自然な形で伏線を埋め込む技能は目を見張る。 |
No.66 | 7点 | 犬の力- ドン・ウィンズロウ | 2021/10/13 22:49 |
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麻薬に憑かれた三人の男と一人の女が織りなす、血と暴力と信仰に彩られた愛憎劇に打ちのめされた。悪ガキどもの宿命を淡々と綴った語り口が絶妙。 |
No.65 | 4点 | 禁断のパンダ- 拓未司 | 2021/09/30 23:01 |
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文章で美食をたっぷり堪能させてくれる。食の世界という題材にやや頼った印象があり、ミステリとしての構成に難あり。 |
No.64 | 6点 | 化身- 宮ノ川顕 | 2021/09/21 23:16 |
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限定空間に終始しつつも、ひとならざるものへと変貌を遂げていく物語は、決して閉塞することなく自在に動き、生きる限り逃れられない根源的な恐怖と人間の在り方を寓話的に示してみせる。
生と死の境界線を飄々と描く筆の運びが気に入った。 |
No.63 | 5点 | 臨床真理- 柚月裕子 | 2021/09/21 23:06 |
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障碍者問題という難しいテーマと高い文章力と奇をてらわずにサスペンスを貫こうとする姿勢には感心する。
しかし、結末に意外性がないのと悪役が陳腐なのが難。 |
No.62 | 4点 | UNKNOWN- 古処誠二 | 2021/09/07 22:55 |
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特殊状況なのに、そこで描かれる事件は日常の謎に近いというアンバランスさがいい。しかし、犯行動機は納得できないし、トリックも今ひとつ。 |
No.61 | 5点 | 無貌伝 ~双児の子ら~- 望月守宮 | 2021/09/07 22:53 |
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ヒトデナシという特異な設定と、心と身体に傷をもつ魅力的な名探偵と巨大な敵という、メフィスト賞の王道的伝奇ミステリ。
怪奇超常現象と謎解きで、一粒で二度美味しいと言いたいところだが、欲張りすぎた印象。本格ミステリとしての整合性は目をみはったが、ファンタスティックな設定は複雑で煩わしい。 |
No.60 | 4点 | 虫とりのうた- 赤星香一郎 | 2021/08/24 22:35 |
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都市伝説に絡めて、あり得ない出来事が重なるシンクロニシティの序盤は、掴みとしては良い。しかし、その偶然が必然へと連なっていかないもどかしさがある。
あくまでも、不気味な雰囲気を味わうための物語なので、ミステリとして読むと肩透かしを食らうでしょう。ありきたりのホラーに終わっている。 |
No.59 | 5点 | 玻璃の家- 松本寛大 | 2021/08/19 22:35 |
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昔から使い古されたあのネタでは?と思わせておいて、その先入観を利用して意外性を演出する手腕はなかなかのもの。
相貌失認という着眼点は面白いが、やや整理不足。 |
No.58 | 5点 | 屋上ミサイル- 山下貴光 | 2021/08/19 22:32 |
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読み心地の良い文章。屋上部という甘酸っぱさ全開な設定も良い。
ただし、伊坂幸太郎の作風にそっくりな点は少し気になる。プロットに関しては、数多くの偶然が重なるが、偶然に頼らずとも物語を動かせたのではないかと思えて仕方ない。 |