皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
mediocrityさん |
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平均点: 6.23点 | 書評数: 286件 |
No.11 | 7点 | 真珠郎- 横溝正史 | 2021/07/17 20:23 |
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<ネタバレあり>
昭和11~12年作。著者の戦後の傑作軍の原型のような作品であり、プロットも謎解きも戦前からレベルが高かったのが確認できる。読んでいる最中は大満足の1冊だった。 ただ読み終わってから考えると、真珠郎(仮)があまりにも完璧に動きすぎのような感じがした。途中、椎名が幻を見ているオチじゃないかと心配するくらい。 ところで、角川の表紙ネタバレしてるのね。 『孔雀屏風』も印象に残る感動的な短編。 |
No.10 | 5点 | 仮面城- 横溝正史 | 2020/12/18 07:40 |
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中編の表題作と短編3つ。『仮面城』は少年探偵団の金田一版と言ったところ。読者の対象年齢は若干上、中学生くらいか。
ジュブナイルとしてはまずまずなのだろうが謎もミエミエな上、妙に長くてだるかった。 短編3作『悪魔の画像』『ビーナスの星』『怪盗どくろ指紋』の方が無駄がなく楽しめた。 |
No.9 | 6点 | 双仮面- 横溝正史 | 2020/06/27 00:08 |
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由利先生シリーズ。今テレビドラマでやっているせいか安くなっていたので購入。表紙が怖い。夜スマホで起動して叫びそうになった。中編の表題作と短編が2つ。
『双仮面』 所々講談調で内容もかなりハチャメチャ。ジュヴナイル風のサスペンスといった感じ。変装、曲芸と何でもありで、場面も目まぐるしく変化し最後まで一気に読ませます。終盤は思ってた以上に凝っていて良かった。 『鸚鵡を飼う女』『盲目の犬』 ミステリとしては両方よくあるパターンでしょうが、かなり短い話の割には十分楽しめた。 |
No.8 | 6点 | 三つ首塔- 横溝正史 | 2019/11/27 06:07 |
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題名から『八つ墓村』同様、ホラーに近いミステリかと思っていたけど違った。ジャンルは「本格」じゃなくて「サスペンス」になってますね。今気付きました。
一気に読んでしまいましたから面白かったのは間違いないんですが、プロットは分かりやすいです。犯人はヒントが無さ過ぎて全く予想できなかったですけども。 楽しめたので6点で。 |
No.7 | 8点 | 悪魔の手毬唄- 横溝正史 | 2019/11/02 04:21 |
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著者の他の超有名作のエッセンスを贅沢に詰め込んだような作品、ではあるが、かなり薄まってしまっているように感じた。読んでいてあまりストーリーに引き込まれなかった。ただし、最終節、犯人の意外さと謎解きで盛り返したので8点はキープ。
とはいえ現状の上位6作中から5作選べと言われれば、他と毛色が違う6位『悪魔が来りて笛を吹く』は残して本作を外すだろうなあ。 |
No.6 | 8点 | 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 | 2019/09/26 06:41 |
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<ネタバレあり>
『犬神家の一族』と同じく、トリックよりプロットの妙が光る作品だと感じました。密室殺人はトリックというよりは流れ的にああなったという感じですし、砂の上の火焔太鼓の絵のトリックも金田一の帽子の一件と絡めたからこそ面白い。 須磨、明石、淡路への捜査行はトラベルミステリの原型みたいで、この作家のイメージと違ってちょっと意外でした。 出生の秘密は正直食傷気味ですが、今回はかなり思い切った設定で驚きました。まあ、読んでいてあまり気持ちの良いものではなかったですが。ただ、痣の遺伝はちょっと都合が良すぎるのではないかと感じました。 |
No.5 | 9点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2019/07/03 01:34 |
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いやあ、面白かった。推理小説ベースにホラー、アドベンチャーもふんだんに詰め込んだ福袋みたいな作品だった。いずれ映像も見てみたい。気分的には10点付けたいけど、推理小説要素がかなり少ないので1点だけマイナスさせていただきます。 |
No.4 | 10点 | 犬神家の一族- 横溝正史 | 2019/06/27 05:05 |
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<少しネタバレあり>
出版が1970年になっているから比較的晩年の作品なのかと思ったら、連載自体は1950~51年なんですね。連載小説でここまで話の辻褄を合わせられたのは、ただただ驚きです。 入れ替わりトリックとか、主犯が誰かとかは、確かに今読むとわかりやすいけれど、時代を考えるとミステリとしての完成度も非常に高いのではないでしょうか。 前に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』という作品の書評で、最終章で無理やり親戚関係作って興覚めだみたいなことを書きましたが、犬神家はなんだか全員親戚みたいになっても全く違和感を感じませんでした。 そのあたりも含めて、とにかくプロット作りが恐ろしく上手いと思いました。 |
No.3 | 9点 | 本陣殺人事件- 横溝正史 | 2019/05/27 07:20 |
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角川文庫版
『本陣殺人事件』 200ページほどの中編だが、内容はギッシリ詰まっていて大満足。並の長編小説では太刀打ちできないレベルの面白さ。トリックもいいが、それ以上にストーリー展開のうまさの方が際立っていると思った。 一つだけ文句を言うと、3本指男周りの事実が色々と都合が良すぎる気がする。 『車井戸はなぜ軋る』 これもたった80ページの作品とは思えないほど読み応えがあった。どの辺が良かったのかを書くとネタバレになりそうなのでこれ以上は書くのは避ける。 『黒猫亭事件』 130ページほど。途中、金田一が登場すると話は急展開する。いや急転回と言った方がいいか。これもあまり書くとネタバレになりそう。 小説としては表題作がやはり一番面白かったが、ミステリとしては他の2編も同レベルかそれ以上の名作だと思った。 |
No.2 | 10点 | 獄門島- 横溝正史 | 2019/02/27 21:42 |
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何かが突出しているのではなく、登場人物の魅力、島の雰囲気、ストーリ運び、トリック、犯人の意外性、殺人動機、読みやすさ等々全項目において95点くらい付けたい作品。
私には欠点らしい欠点が見つけられない。 |
No.1 | 8点 | 蝶々殺人事件- 横溝正史 | 2019/02/24 17:30 |
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『黒いトランク』のあとがきで当作品への言及があったので購入。
トランク移動の緻密さでは『黒いトランク』に及ばない気がした。何か無駄な動きがあるような・・・ 犯人の意外さはこちらが上、というか向こうは0なんだけど。 一番の疑問点はビル落下のトリック。物理的に本当にあんなにうまくいくのかというのもあるが、それ以上に、予定にない殺人の後であんな大掛かりなトリックができるのだろうかと突っ込みを入れたくなった。 |