皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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mediocrityさん |
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平均点: 6.23点 | 書評数: 286件 |
No.10 | 7点 | パディントン発4時50分- アガサ・クリスティー | 2022/04/18 17:56 |
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冒頭の殺人目撃から、最初の死体発見までは、非常にドラマティックです。
中盤、兄弟に尋問が繰り返されるあたりは若干退屈になりますが、このまま最後までグダグダ行ってしまうのではないかと危惧している所に突然第二の殺人。話に再び活気が戻ってきます。 犯人は意外な人物で動機もそんなのあり?と最初は思いましたが、確かにあれが一番整合性が取れているわけで、納得せざるをえませんでした。 絶対的な物証やロジックがないからあの芝居を打ったわけで、そのあたりは問題ないのではないかと考えました。 |
No.9 | 2点 | フランクフルトへの乗客- アガサ・クリスティー | 2022/03/31 18:24 |
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冒頭の2人がコンサートで再開するあたりまでは、無難に物語は進行します。肥満の見にくい女が出てくるあたりで、なんだか話がよくわからなくなってきて、3章はますます意味不明なことに。
月刊ムーでよく見るネタの数々を、ちょっとなぞっては通り過ぎて行ってしまう感じ。正直後半はほとんど何を言ってるのかわからない章も多かった。 「ヴァーグナーのライトモチーフに秘められた暗号とナチの秘密計画」とかだけで書き上げた方が、まだうまくいったんじゃないかと思ってしまう。 |
No.8 | 9点 | オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー | 2021/12/07 06:20 |
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大作だと思って読み始めたんですが、意外と短い作品でした。『ナイルに死す』が長かったから余計にそう感じたのかもしれませんが。
殺され方で真犯人を暗示→誰も単独犯になりえない→衝撃の結末、という流れはそれだけでお見事だと思います。 9点にしましたが、ストーリー自体は動きがほとんどないので、読んでいてそれほど楽しくはなかったですね。 |
No.7 | 9点 | ナイルに死す- アガサ・クリスティー | 2021/11/28 01:19 |
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クリスティの長編を読むのはこれで5作目だと思いますが、今作はボリューム満点で非常に読みがいのある作品でした。
今までの4作と決定的に違うのは、ストーリーがどう展開するのかが全く予想できなかったことでしょうか。ゆえに長くても退屈することが全くありませんでした。 計画通りの犯行と、即興的な犯行の合わせ技が絶妙で、それが話に広がりと複雑さを持たせている名作だと思います。 |
No.6 | 4点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2020/12/18 12:26 |
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<ネタバレあり>
ちょっと自分はレアなパターンだったようだ。 ヘイスティングス大尉が出て来ない時点で、今回は大尉でなく医者の手記なのだと勝手に思い込んで読んでいた。 で、ヘイスティングス大尉が出ない理由は、ヘイスティングス役が犯人だからなんじゃないの、とほぼ決めつけていた。 ゆえにこれほど驚けなかった作品も珍しい。 そのあたりの事情を別にしても、『スタイルズ荘の怪事件』や『ゴルフ場殺人事件』に比べストーリー展開も面白くなかったので低評価。 キャロラインのキャラクターとジェームズ医師との会話が一番楽しめた。 |
No.5 | 8点 | ゴルフ場殺人事件- アガサ・クリスティー | 2019/12/03 01:46 |
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フランスが舞台だからしょうがないけれど、いつも以上にフランス語が多くて大変だった。今まで読んだものは飛ばして読んでもどうにかなったが、今作は無視すると前後関係がわからなくなることもしばしばあったので、調べざるをえなかった。
あまり評価は高くないが、個人的には今までに読んだ『スタイルズ荘の怪事件』『ABC殺人事件』より好み。推理部分も十分充実していると思うし、それ以外の部分はその2作品より明らかに楽しめた。 ヘイスティングとシンデレラの関係、殊にポワロを押さえつけてしまった辺りは一体どうなるのかとハラハラし通しだった。もう1つの見どころは、ポワロとジローの勝負だろう。最初から敵意むき出しのジローに比べて、ポワロは序盤は感情を表には出さず抑えている。しかし、どんどん感情的になってきて「ジローなんて尊大さで膨らんだおもちゃの風船じゃないか。そして、ジローは私をみくびっているが、私エルキュール・ポワロはその大きな風船を突き刺すピンになるよ」という発言に到ったのを見て、ついに吹き出してしまった。できれば最後の方でもう1回ジローに登場してほしかった。 この作品、どうやら版が2つあるみたいで、最新のペーパーバックよりグーテンベルクで無料で読める物の方が内容が多いようだ。アマゾンの英語レビューで、このペーパーバックは私の持ってる版より1割くらい短い、部分的に1文省略されていたり、場所によってはパラグラフごと抜けている、というようなことを何人かの方が指摘していた。 立ち読みできる1章だけ比べてみたが、実際所々抜けている。和訳版もスマホで2種類立ち読みしてみたが、両方ともやはり省略があった。例えば1章、シンデレラが「私にはイタリアの血が入っている」という記述はどちらにもなかった。また、2章では手紙の前で「どうせまた子犬のことでしょ」とポワロが発言しているが、その少し前で「最近はとことんつまらない依頼ばっかりだ、おしゃれな女性の依頼で子犬探しするはめになった」の所が省略されていたから、なぜ「また」なのか不思議に思うだろう。(何か所か和訳しましたが正確さには自信がないです) |
No.4 | 6点 | ポアロ登場- アガサ・クリスティー | 2019/11/14 05:51 |
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初期のポワロもの、短編11作
Part1 The Adventure of ‘The Western Star' 序盤のポワロの小さな推理はシャロークホームズで読んだ描写そっくりだ。この宝石盗難事件は謎も解決もよく出来ていると思う。 それにしてもポワロはいやなやつだ。最後10行くらい、大尉の内なる怒りが爆発しているがよく理解できる。 Part2 The Tragedy at Marsdon Manor 多額の保険金がかかっている旦那が死んだが、果たして他殺か自殺か?これはいまいち。冗談半分でも最後、旦那があんな危ない真似をするかな?子供じゃあるまいし。 Part3 The Adventure of the Cheap Flat 訳ありの安すぎる物件の謎を解く話。パターン的にはありがちな話だけど、アクロバティックで面白い。 Part4 The Mystery of Hunter's Lodge 論理的に考えればそれしかないという結論に落ち着く。ホームズの犯人も同じことをよくやっていたが、バレるだろ、というのは禁句なのかな。 Part5 The Million Dollar Bond Robbery これは犯人も見え見えだし、トリックもつまらなかった。 Part6 The Adventure of the Egyptian Tomb 自分からエジプト行きを提案したのに、砂や気候に腹を立てて、スフィンクスにまで突っ込みを入れるポワロさんの反応が楽しい。謎解きはそれほどでもないか。 Part7 The Jewel Robbery at the Grand Metropolitan わかってみればものすごくシンプル。シンプルすぎてわからなかった。 Part8 The Kidnapped Prime Minsiter 首相の監禁場所は意外というほどではなかったが、話自体は楽しい。 Part9 The Disappearance of Mr Davenheim なんだか読んだことがあるような話に感じた。たぶんホームズの何かの話に似てるのだと思う。 Part10 The Adventure of the Italian Nobleman 短いが内容が詰まっていて面白かった。季節と時間の感覚が日本人には分かりにくい。 Part11 The Case of the MIssing Will これはしょぼい。しょぼいだけに、見抜けなかったポワロさんが珍しく自虐的。3倍じゃなくて36倍馬鹿だったという36という数字には何か意味があるのだろうか? 全体としては、謎解きはそれほどでもない物も多かったが、ポワロとヘイスティングの掛け合いは長編以上にバリエーションにあふれていて楽しかった。 |
No.3 | 7点 | スタイルズ荘の怪事件- アガサ・クリスティー | 2019/08/20 05:07 |
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クリスティのデビュー作でポワロさんのデビュー作でもある。著作権切れなのかネット上に落ちている。
タイトルから、館モノかと思ったが建物自体の構造はそれほど重要でない。殺人事件は1件のみ。10章までは容疑者がどんどん変わっていく。主要人物はほぼ全員一度は疑われると言ってもよい。12章で意外な犯人が明らかに。 以下読んでいて感じたこと ・薬のトリック?は好きではないです。 ・第11章の裁判の所は読みにくかった。 ・犯人はさっぱり分からず。解決編には満足。 ・ポワロさんを読むのは2作目だけど、やはりあまり有能とは思えない。 デビュー作でこの完成度の高さは、やはりすごい作家だと感じました。 |
No.2 | 8点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2019/05/29 18:44 |
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1日1章ペースで読んで半分ほど読んで放置していたが、再開すると後半は面白くて2日で読み終わった。フランス語部分は最初のうちはググっていたが、途中からは面倒くさくなって調べていない。
<以下ネタバレあり> 正直に言うと犯人当ては間違えた。Dと間違って殺された(と思われた)人物が、犯人が本当に殺したい人物だと思ってた。だから犯人はその周辺の人間で、そのためにABCを殺したのかと推測したのだが・・・まあ半分あってた?から満足。 細かい所では、警察署ではなくてポワロ宛てに手紙を送った理由が意外で良かったです。 気になった点は、てんかん患者に、あそこまで「存在しない事実」を「実際に起こったこと」と思い込ませる事が本当にできるのかということでしょうか。 ところで、ポワロものは初めて読んだんですが、あまり名探偵という感じがしなかったんだけど気のせいかな。 |
No.1 | 9点 | そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー | 2019/04/14 05:51 |
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先に読み始めたABC殺人事件は2割くらい読んで止まってるのに、こっちはよほど面白かったみたいで1週間くらいで読んでしまった。トリック自体はそれほどでもないけど構成が素晴らしい。後半の誰が語ってるのかが分かりにくい短いモノローグがいいですね。
ところで、2章で a nigger in the woodpileて表現が出てきて、何で突然黒人が出てくるんだろう、熟語かなと思ってweblioさんに入れたら、定義が「(計画を台なしにしたり、困難を引き起こすような)思わぬ要因」となっていて、こいつが犯人なのか?と思ってたら実際その通りでとまどってしまった。ここの翻訳どうなってるのだろう? もうちょっと調べた感じ「インディアン島か。うーん。裏に何かありそうだな」と「インディアン島か。うーん。見えない障害があるな」と、ちょっと違った意味があるみたいだ。上の訳だとミスリーディングだと文句言われそうだし、下だと犯人ばらすなよと文句を言われそうだ。 |