皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
弾十六さん |
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平均点: 6.10点 | 書評数: 446件 |
No.6 | 7点 | 屠所の羊- A・A・フェア | 2018/10/27 21:46 |
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1939年1月出版 クール&ラム第1話。
ボスの妻とかフレッドの造形が愉快です。どちらもペリー メイスン世界には絶対出てこないキャラ。でも大ネタの法律的トリックはちょっと微妙な感じ。バーサは肝心なところで結構活躍。役割分担がしっかりしてるところが良い。 銃は32口径でレバー式セイフティとグリップセイフティがあり、マガジンに7発入る自動拳銃が登場(FN M1910ですね) |
No.5 | 6点 | シシリーは消えた- アントニイ・バークリー | 2018/10/27 21:35 |
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1927年出版 翻訳2005年
一捻りした執事もの。有閑主人公が金に詰まり従僕として勤める羽目に陥り、勤めた屋敷の夕食会には大学時代の友人や知り合いが来て、召使の立場で接しなければならない、という面白い設定で始まります。 その後の小ネタも上手く効いていて、まあ大ネタは地味目なのですが、明るさに溢れたバークリー世界が展開します。初出は新聞の連載(デイリーミラー1926年3月〜4月) 軽くて楽しい物語を読みたい人に最適です。 |
No.4 | 8点 | 樽- F・W・クロフツ | 2018/10/27 21:14 |
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1920年出版 今回読んだのは2013年の新訳
実はクロフツを読むのは初めて。職業人出身らしい、丁寧な文体が地道な捜査を印象づけます。フランス側の描写もなんとなくそれっぽい雰囲気。(作者はフォリー ベルジェールが好きらしい) 全体の構成も面白く効果的。落ち着いた時間が流れる読書でした。ところで自動拳銃に関して「ジョン コッカリルあたりをもってゆく」(I should bring your John Cockerill)という表現が出てきます。当時の拳銃の代名詞?でも拳銃では全然Web検索で引っかからない(コッカリル鋼鉄製バレルのショットガンがヒットしたくらい)ので、大袈裟な表現かも。(クルップ砲をもってゆく、みたいな感じ?) 私が参照した原文には作者の前書き(1946年Pocket Classics収録に際して)がついていて、なかなか興味深い内容なので以下抄訳。 『病気療養中だったので暇過ぎて死にそうなので、一番アホくさい思いつきを書いてたら小説になった。妻は結構喜んでくれたが、病気が治って仕事に戻り、それっきりに。後日ふと読み返してみたら結構イケるのでは、と思い、書き直しつつ隣人に読んでもらい、ここ馬鹿げてるから変えた方が良い、といわれたところを直して完成。(なので献呈はその隣人に) 有名代理人A.P.Wattに原稿を送付。Collins社は1-2章は気に入ってくれたが3章は直しが必要とのこと。たしかに第3章(元は法廷シーン)は有り得ないものだった。書き直したものが採用され、出版されると聞いた時は天にも登る心地だった。自分でつけていた題はA Mystery of Two Cities(ディケンズ風) 後悔してるのは約120000語を費やしたが、80000語でも同じ稿料だと後で知ったこと。40000語は無駄だった…』 素人の日曜大工的な作品だったのですね。 <以下、ほんのちょっとだけネタバレ> ***** ところで鮎川説(樽のキズ)に異議あり。新訳p159を読めば明快に「送り先や日時(先週というのは確実)は覚えとらん」という証言です。そして刑事から樽を発送した日時を聞いてから、運転手が帳簿で送り先を確認した(p161)のです。クロフツさんも日本の推理作家を手玉にとったのだから素晴らしいですね。 ***** |
No.3 | 8点 | プレーグ・コートの殺人- カーター・ディクスン | 2018/10/27 20:06 |
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JDC/CDファン評価★★★★★
H.M.卿第1作目 1934年出版 今回読んだのは2012年の新訳 40年前ハヤカワ文庫(仁賀訳)で読んでいるのですが、H.M.が被害者の部屋を調べるシーンを朧げに記憶していた以外、ほぼ全部忘却の彼方。印象的な殺人方法も犯人もすっかり忘れていました。 注釈が読みずらい(是非同じページ内で処理して欲しい)のを除くと新訳は非常に良質。そして肝心の内容も抜群です。不可能犯罪はこのくらい設定に凝らないとリアルにならないよ、とJDC/CDがニヤついています。ただしいつもの通り2回目の犯行が雑。そして生きている時の被害者が描かれていないのが残念。マリオンや偏屈婆さんの描き方も物足りないです。小説的に良いネタをぶん投げてしまうJDC/CDの悪い癖ですね。 本作のマスターズの設定を読んでJDC/CDの怪奇趣味の正体がわかりました。オカルト・バスターズなんですね。ユリ ゲラーに対するランディの立場です。もし本物の不可能犯罪が存在したら超自然現象を肯定せざるを得ないのです。そこら辺も本作では明快に描かれていてJDC/CD入門に最適かつ最高傑作ではないか、と思いました。 |
No.2 | 7点 | ビロードの爪- E・S・ガードナー | 2018/10/27 11:22 |
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ペリーファン評価★★★★☆
1933年3月出版。ペリー メイスン第1話。 弁護士が行動派探偵という設定は先行例があったのでしょうか?開始早々にパンチを繰り出す荒ぶる弁護士、それが初期ペリーです。デラはapproximately twenty sevenで、シリーズ唯一ちょっとだけ生い立ちが語られます。デラのセリフでI've known you [Mason] for five years (...) Some of your clients got hung. ということはメイスンは無敗ではなかった?今作ではメイスンの無茶な行動は控えめですが、依頼人に翻弄されながらも上手く切り抜ける姿が見もの。法廷場面はありません。ところで私が見た原文では、デラの人物紹介がDella Street – who was a faithful Girl Friday (also Sunday and Monday, if not quite always).となっていました。(正しい意味がよく判りません…) 銃は32口径コルト・オートマチック、シリアル127337が登場。シリアルから判断すると1912年製のM1903 Pocket Hammerless, Type IIIだと思われます。 ところで原文にはロサンジェルスもカリフォルニアも出てきません。(いつ明示されたかは、その作品の評に書くことにします) |
No.1 | 4点 | 黒い塔の恐怖- ジョン・ディクスン・カー | 2018/10/27 09:37 |
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JDC/CDファン評価★★★☆☆
ダグラス グリーン編の埋もれたカー作品集(1980)の翻訳後半(前半はカー短編全集4) 本書の目玉は「史上最高のゲーム」(1946) 探偵小説の理想を述べたエッセイ(幻のアンソロジーの序文)で、これを読むとJDC/CDは「小説なんてどーでも良い」と考えていたことが判ります。あくまでも作者と読者の対決が主眼なんですね。でも「お前が言うな」と言いたくなることも平気で書いてます。まぁ理想論ですから… この中で触れられているキャロライン ウェルズのThe Technique of the Mystery Stories(1913)はGutenbergに無料版あり。JDCのラジオドラマも無料公開のものがあるので、英語が得意ならさぞ面白いんだろうなぁと思います。収録作品には傑作はありません。でも1935年の筆力旺盛な時期に何故パルプマガジン?ある程度売れてきたので昔好きだった雑誌に売り込むか!ということだったのでしょうか。買った当時(1983)は巻末のカー書誌が便利でしたが、今は随分新しい翻訳が出ているので改訂が必要ですね。 なおp43の詩はBartholomew Dowling作The Revel(East India)、使われた銃は1917年の事件なのでM1911でしょうか。 |