皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
弾十六さん |
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平均点: 6.14点 | 書評数: 471件 |
No.31 | 8点 | 大当りをあてろ- A・A・フェア | 2018/11/01 21:58 |
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クール&ラム第4話 1941年6月出版 ハヤカワ文庫で読了。
病み上がりのバーサはダイエットに励み、ラム君はボクシング熱に浮かされ探偵を辞め野外生活、星空を眺めて眠ります。作者が大好きなボクシングと砂漠生活が生き生きと描かれて幸福感が溢れます。スロットマシン講座もあり。妙に心に残る作品で、シリーズ中で一番好きです。 |
No.30 | 4点 | 検事円を描く- E・S・ガードナー | 2018/11/01 21:54 |
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ダグラス セルビイ第3話。1939年11月出版
やっと敵役の悪徳弁護士A.B.カー登場。55歳くらいのとても悪賢い男。保安官レックスは相棒だが警察署長ラーキンは敵側という関係。保安官の捜査権限が良くわかりません… 敵方新聞のボスも初登場、なかなかの策士です。前任検事ローパーも初めて顔見せ。五里霧中なのに誠実に正しくあろうとするセルビイ、その高潔さに周りは呆れ顔。 お待ちかねの法廷シーンが登場しますが、カー弁護士の狡猾さは紹介程度。今回のプロットは複雑さが少なく、解決も出来があまり良いとは言えない感じです。 銃は38口径リヴォルヴァ「コルト・ポリース・ポジティヴ」が登場。中桐先生は訳者あとがきでも「クラリオン新聞は朝刊紙で、ブレード新聞は夕刊紙」という鋭い分析を披露しています。他にも38口径のスミス・アンド・ウェッスンのリヴォルヴァ、保安官の45口径が登場。弾丸はピーターズ会社とウインチェスター会社のものが出てきます。 |
No.29 | 5点 | だれがコマドリを殺したのか?- イーデン・フィルポッツ | 2018/11/01 01:08 |
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1924年出版 創元文庫の新訳(2015年)で読みました。
JDC/CDのアンチ小説を立て続けに読んだので、冒頭からいかにも小説らしい展開の本作に、これこれ、こんなのが読みたかった… と思ったら、50ページを超えるあたりからあっとゆう間の急展開で、シノプシスめいた文章がずらずら並び、地の文で主人公たちの心理を説明しちゃう素人っぽい表現… 後半も拙い書き方で大ネタがすっかり割れてしまいました。プロットは非常に素晴らしいのにとても残念。もっと構成と文章を工夫すれば大傑作になったと思います。 だ〜れが殺したコックロビン。あ、それ!とコックロビン音頭を歌いたい気分です。 <ネタバレになるかもしれない蛇足>2018-11-3追記 これ、「ミソサザイ」が回想する形式の一人称小説にしたらかなりイケるんじゃないか、と思いつきました。もちろん「変死」事件後に書いている、というテイで… |
No.28 | 5点 | 赤後家の殺人- カーター・ディクスン | 2018/10/31 23:07 |
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JDC/CDファン評価★★★☆☆
H.M.第3作 1935年出版 創元文庫(1960)で読みました。 弓弦城を再読してないのですが、冒頭から判断すると続編的な感じ。まー誰が誰でも全然関係ないので気にする必要はありません。 発端にはゾクゾクさせられますが新アラビア夜話(スティーブンソン)を先に読んでたほうが良いかも。(本編とは関係なし。雰囲気作りですね) いつもの通り人物描写が下手なのでごたつく序盤、なかなかスリリングな中盤を経て、全員集合、謎解きが始まるよ!という流れ。(最後は大勢で押しあいへし合いという変な場面) 小ネタはまあまあ、でも大ネタが残念。警察の見落としを期待してはいけません。それにあのトリック(p387)はないでしょう。 フランス革命ネタは作者の趣味全開ですがいささか退屈。興味深かったのはロイヤル スカーレット事件(p312)これ書かれざる事件なのかなぁ。 全体的にバラバラなネタのごった煮な感じです。インスピレーションと飽きっぽさが同居するJDC/CDらしい作品ですね。 以下トリヴィア、原文は参照出来てません。 p124 タラッタラッ、大きな悪狼が…(H.M.の鼻歌): 「三匹の子豚」(ディズニー1933)のWho's Afraid of the Big Bad Wolfかな?{★R3/10/16追記}原文“Ta-ta, big bad wolf; who's afraid of—” 「バイバイ、悪狼」だったのね。 p172 ラ マルセイエーズ: 歌詞は結構血なまぐさいです。 p306 海の妖女たちはどんな歌を歌ったか…: Sir Thomas Browne, "Urn-Burial"(壷葬論)ですね。モルグ街のエピグラフで有名。 p344 ルール ブリタニア(支配せよ、大英帝国)Rule, Britannia: イギリス国歌、スチュアート党が愛好、と宇野先生が注釈しています。詞James Thomson、曲Thomas Arne(1740) 名言が一つ: イリュージョンは真理よりよっぽど貴重ではるかに美しい(p366) JDC/CDのモットーですね…{★R3/10/16追記}原文the illusion is much more valuable and fine a kind of thing than the ass who wants to upset it |
No.27 | 6点 | ヴァイオリン職人の探求と推理- ポール・アダム | 2018/10/31 21:54 |
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<掟破りですが読む前に書いています!>
私は古楽が好きで、ということは古楽器も好きなのでストラディヴァリは整形美女だと思っています。(当時の楽器を後世の好みに合わせて「鳴る」様に手を加えているということ)それに法外な値段!この本ではどんな世界が展開してるのか、今からとても楽しみです… アマーティやガルネリも出てるのかな?読了後、ちゃんと評を書きます!(なので、どうかご勘弁を) |
No.26 | 8点 | 吠える犬- E・S・ガードナー | 2018/10/31 21:26 |
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ペリーファン評価★★★★★
ペリー メイスン第4話 1934年6月出版 Liberty(1934-01-13〜1934-03-17)連載。創元文庫で読みました。 実はシリーズ第3話で、雑誌連載の都合上「幸運の脚」の後の出版となりましたが、冒頭を読めば「怒りっぽい娘」の次の話であるのは明白) 異常と疑われる依頼とメイスンの過剰な対応で冒頭からすぐに引き込まれます。ドレイク探偵局が活躍しすぎないのが良く、メイスンの大胆な行動(完全にやり過ぎです…)が痛快。意外と本格的な推理もあります。タフガイ刑事ホルコムは今作が初登場。フランク エバリー君がメイスンの陪審論を拝聴します。 作者もお気に入りの作品らしく、第10話や第18話など後年のシリーズ中で「吠え犬」は度々言及されています。 なお次の話に繋ぐラストの予告編は10作目まで(本国初版では)ちゃんと続いているのですが、ペーパーバック化に際して別のと入れ替えたり、再版時に削除されたりで、翻訳では結構バラバラになっちゃっています。 |
No.25 | 5点 | 黄金の煉瓦- A・A・フェア | 2018/10/31 20:59 |
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クール&ラム 第3話 1940年9月出版
柔道の先生はトカムラ ハシタ(ESGの日本人はいつもちょっと変な名前です) 銃を持った相手にも勝てるって… 東洋の神秘というやつ? ラム君はミスキャストとしか思えないボディガード役。頭の回転と口八丁で難局を逃れるラム君の活躍が楽しめる作品です。今まで愛想が無かったエルシー ブランドも今作では結構喋ります。 |
No.24 | 8点 | ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎- アントニイ・バークリー | 2018/10/31 20:47 |
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1927年出版 翻訳2003年
迷走探偵シェリンガムらしさの出た探偵小説の傑作。楽しげな雰囲気で、小ネタの出し方も良く、大ネタに至る流れが最高です。軽い気持ちで読み始め、軽い気持ちで読み終われる、そんな娯楽小説の見本だと思いました。先行作品(レイトンコート、ウィッチフォード)を読んでいなくても充分楽しめます。 |
No.23 | 6点 | 検事燭をかかぐ- E・S・ガードナー | 2018/10/31 20:41 |
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ダグラス セルビイ第2話。1938年11月出版 Country Gentleman誌連載(1938-9〜1939-1)
検事になる前の弁護士時代のセルビイは富豪の娘アイネズとテニスや乗馬を楽しむ仲、新聞記者シルヴィアはアイネズをライヴァルと見なしているようです。証拠もないのに突っ走るセルビイ。二転三転する筋書きは作者お得意のもの。無謀な若き地方検事の突撃は吉と出るのか?ラストの対話が結構意外でした。なお、法廷シーンは今回も出てきません。 小さな町の物語なのでレギュラーキャラがこれからも増えていくのかな?と今作を読んだ時には期待してたんですけどね… |
No.22 | 7点 | 帽子収集狂事件- ジョン・ディクスン・カー | 2018/10/31 20:28 |
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JDC/CDファン評価★★★★★
フェル博士第2作 1933年出版 今回は創元文庫の新訳(2011年)で読みました。 四十年ほど前、創元文庫の旧版(1960年)で読んだのですが、冒頭から全然覚えていなくて、ほぼ初読状態。語り手の存在意義が良くわからないのですが(まーいつもそうです)展開が素晴らしく、ハドリーとフェル博士の漫才も珍しく笑える良い探偵小説でした。納得できる合理性はJDC作品の中でもピカ1だと思います。 でも登場人物に良いネタがたくさん転がってるのに全然生かしてない…(シーラちゃんだけ何故か生き生きと描かれてる…) 物語の全貌が明らかになり、読者が色々想像して補うと立派な「悲劇」です。 「帽子が有るのは何故?」という謎は、絶対EQのローマ帽(1929年)を意識してるはずです。ロンドン塔が舞台ですが、名所を紹介する観光ミステリにはなっていません。新訳は、セリフを上手に処理していて正解ですね。 (今回は歌のコーナー無し。「フェル博士には酒と歌が付き物」という真理に気づく前の読書だったので…) |
No.21 | 7点 | ウィッチフォード毒殺事件- アントニイ・バークリー | 2018/10/30 22:04 |
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1926年出版
実際の有名事件(1889年フローレンス メイブリック事件)をかなり忠実になぞっていて当時の読者はピンときた、ということを読了後、解説で知り、そういうことなら訳者前書きというような形で知らしめた方が効果的かなぁ、と思いました。(ベンスン殺人事件が同年の出版) 探偵トリオの掛け合いはちょっとうるさいくらいで、若気(作者33歳)の至りですね。小ネタの出し方が上手、大ネタは意見が分かれるところかな。(私はアリです) ところで若い娘への折檻が衝撃的だったんですが… この小説でも「最上階の殺人」でも、どうやら原文に日付の誤りがあり、翻訳では訂正されてるとのこと。英国紳士は細かいことを気にしない、ということなのか… |
No.20 | 6点 | ラム君、奮闘す- A・A・フェア | 2018/10/30 21:50 |
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クール&ラム 第2話。1940年1月出版
小さな町で過去のスキャンダルを嗅ぎまわる探偵稼業。どんどん引き込まれる作劇術が素晴らしい。テンポが良く展開が早くて楽しめる作品です。 30分白黒TVドラマCool and Lam(1958年)はこの作品が原作。元気に喋る作者ガードナーが冒頭に登場します。お馴染みの作者写真と全然イメージが違うので一見の価値あり。(某Tubeで鑑賞可能、ただし英語です)このドラマはラム君の魅力が全く無く失敗作ですね。 |
No.19 | 8点 | 幸運の脚- E・S・ガードナー | 2018/10/30 20:55 |
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ペリーファン評価★★★★★
ペリー メイスン第3話 1934年2月出版 創元文庫で読みました。 目まぐるしい展開でタクシーや飛行機を使い飛び回るメイスン。何度も追い詰められますが、あの手この手で切り抜けるところが非常に楽しいです。残念ながら法廷シーンはありません。 メイスンのタバコはマールボロ。15章でメイスンが田舎者風に喋るのですが(Thash=That's, Shalesman=Salesmanなど)これはどこ訛りなのでしょうか。 ところで数回「ロスアンゼルス」と訳文にありますが、原文ではthe city(p11)とかhere(p86)とかで明言を避けています。意味のない補い訳はやめて欲しいですね。(ハリウッドという単語も出てきません。内容的にはバレバレですけど…) |
No.18 | 5点 | 剣の八- ジョン・ディクスン・カー | 2018/10/30 20:37 |
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JDC/CDファン評価★★★☆☆
フェル博士第2作 1934年出版 ハヤカワ文庫の新訳(2006年)で読了 (HPB1958年も参照) 三十数年前に読んだポケミスを引っ張り出して読んだところ、妹尾訳はセリフがめちゃくちゃ。どーにかならないか、と探したらハヤカワ文庫の新訳がありました。ハドリー退職?フェル博士ももーやらん!と弱音。JDCはシリーズ二作目でキャラをお払い箱にするつもりだったのでしょうか。 探偵作家のモーガンが良い味を出していてもーちょっとキャラ立ちさせれば… (JDCには無理な相談ですが) いつもの通り最初の犯罪は納得出来るのですが、2回目が苦しい感じです。全体的に小粒な印象ですが謎の解明部分はとても素晴らしい。ボタンフック(button hook)というものの存在を初めて知りました。(ググると素敵なのが見られます) さてフェルシリーズ恒例、歌のコーナーです。今回は原文が手に入らず翻訳をもとに調べました。(ページ数は妹尾訳のもの) {★R3/10/16}原文を入手したので若干追記。 p24 讃美歌の≪進め、キリストの兵士たちよ≫(妹尾訳では省略): "Onward, Christian Soldiers" (words: Sabine Baring-Gould 1865 / music: Arthur Sullivan 1871) p170 ≪陽気なしゃれ男≫を口ずさみながら(妹尾訳: 口を閉じて鼻で歌をうたい…): A Gay Caballeroでしょうか。1920年代後半に流行。エノケンも「洒落男」として歌っています。{★R3/10/16追記} 原文and humming, The Gay Caballero p173 私はバーリントン バーティ/朝起きるのは十時半/それから散歩に出かけるのさ、紳士気取りで… : Burlington Bertie from Bow (1915) p175 ≪オールド ジョン ウェズリー≫を歌ってくれよ!(妹尾訳: なつかしのジョン ウェスリーをうたえ!): John Wesleyはメソジストの創始者。メソジストは、当時の流行歌に歌詞をつけ、口語による平易な讃美歌を普及させた。{★R3/10/16追記}原文“Sing 'Old" John Wesley!” p181 「おれのはき古したコーデュロイ」と歌う声(妹尾訳: おれの着古しのコール天の服): 不明。{★R3/10/16追記}原文Somebody, in an unmusical baritone, was singing, "Me Old Corduroys” この歌詞で検索したが調べつかず。19世紀中盤に流行し、ミュージック・ホールでも流行ってたらしい伝承曲Corduroy(Roud 1219)と関係あり? 銃はS&W38口径、オートマティック拳銃(状況から考えるとコルトM1911?)、モーゼル拳銃(状況を考えると大型のC96ではなく、小型で隠し持つのに便利なHSc拳銃…と思ったら年代が合いません。ポケットピストルでしょうか?)が登場。 ところで最後のフェル博士の講釈がですます調なのには違和感ありでした。 |
No.17 | 6点 | カナリヤ殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2018/10/30 02:33 |
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ヴァンス第2の事件 1927年出版 新訳(2018年)で読みました。
またも実在の未解決事件がモデルです。元ネタのDorothy King殺人事件(1923年3月)の記事をWebで探してみましたが、残念ながら日本語で書かれたものはありませんでした。どのくらい設定が似てるのか気になります。 さて小説の方は一種の密室殺人で探偵小説の王道ですね。軽薄な口調で捜査をからかうファイロの探偵術が冴え渡ります。大ネタはああそうですか、という感じ(あの図解は読者にとても親切、JDC/CDは特に見習って欲しい!)ですが結構楽しい読書でした。でも重要容疑者を見張ってた警官はドジすぎですね。 次のグリーン家は新訳がいつ出るかわからないので井上勇さんで読もうかな… 銃は38口径コルト オートマチック(38 Colt automatic)が登場。M1903 Pocket Hammerだと思われます。 |
No.16 | 7点 | 白い僧院の殺人- カーター・ディクスン | 2018/10/30 01:58 |
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JDC/CDファン評価★★★★★
H.M.卿第2作 1934年出版 創元文庫(1977年)で読みました。 状況設定はプレーグコート黒死荘とネガポジの関係?姉妹編といった印象です。いかにもJDC/CD的な工夫たっぷりで小ネタを上手く散りばめて大ネタでドカンといった感じの良くできた探偵小説なのですが、いつものように被害者を上手く描けていません。美人女優で誰もが夢中になるような女ですよ… こんな美味しい小説的ネタをスルーするのがJDC/CDです。警察の捜査能力が低すぎなのと、階段事件の顛末がアレなのがちょっと不満。それに良い設定が多いのにイメージが絵としてはっきりと浮かばないのは描写がゴタゴタしてるからだと思います。(例えばJDC/CDの人物描写で外見がパッと想像出来たことがあります?) |
No.15 | 5点 | プリーストリー氏の問題- A・B・コックス | 2018/10/29 21:06 |
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1927年出版 (A.B. コックス名義)
どんなペテンにかけるのかな、というところまでは面白かったのですが、ネタがあんなに嘘っぽくては… 登場人物の行動もちょっと信じられない感じ。所々面白い場面があるものの、お気楽、無邪気で切実感の無い空騒ぎという印象でした。高等遊民な人々や有能な執事も出てくるしウッドハウス好きなら気にいるかも。 (昭和元年鬼熊事件の記事を読むと、この小説に出てくるジャーナリストのとんでもない行動はありうる…と思ってしまいました。) |
No.14 | 6点 | 検事他殺を主張する- E・S・ガードナー | 2018/10/29 20:49 |
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ダグラス セルビイ第1話。1937年1月出版 Country Gentleman誌連載(1936-9〜1937-1) 連載時のタイトルはThe Thread of Truth。
メイスンものでは間抜けな敵役のD.A.を主人公にして、どんな話になるのか、そこが興味深かったのですが、本作には法廷シーンが無く、ちょっと拍子抜け。ガードナー得意の複雑に入り組んだ筋立てで、サスペンスの盛り上げ方は上手です。地味で真面目な主人公ですが、公務と自分に忠実な姿は、わがまま放題、金使い放題の自由人メイスンより好感が持てます。でもやはり主人公に華が無いのは残念ですね。 |
No.13 | 7点 | 怒りっぽい女- E・S・ガードナー | 2018/10/29 20:22 |
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ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第2話 1933年9月出版 ハヤカワ文庫で読みました。 デラはabout twentyseven。この頃のメイスン事務所の従業員はデラ(タイピスト、速記者兼秘書: a typist, Della Street, combination stenographer and secretary この順番がちょっと意外でした…)と見習い弁護士のフランク エヴァリー(今回、ちょっとだけ活躍)の二人だけ。本作には事務所の間取りの紹介もあります。(応接間2つ、図書室、速記室、私室2つ) ドレイク登場は12章から、この位の塩梅が良いですね。(ドレイク探偵の尾行講座や意外な過去も語られますのでドレイクファンは注目) 前作と異なり、本作ではメイスンが無敗(絞首刑なし)を自慢しています。法廷場面はシリーズ初。異例の弁護が炸裂します。ハヤカワ文庫のカヴァー絵の車は時代が違いますね… (どう見ても1950年代の車です) |
No.12 | 6点 | 魔女の隠れ家- ジョン・ディクスン・カー | 2018/10/29 20:02 |
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JDC/CDファン評価★★★★☆
フェル博士第1作 1933年出版 創元文庫(1979年)で読みました。 全体的にフレッシュな若々しさが感じられる楽しい探偵小説。米国と英国の間で戸惑う(もちろんイギリス贔屓)記述が多めでJDCの心情を正直に吐露している感じです。でも、肝心のネタはあまり謎めいていないので小盛り上がり。事件が進行中なのに古文書を読んでしまうブッキッシュな態度や、普通の作家ならきっと意気込んで書くであろう井戸調査の場面をコミック仕立てにしてしまうので、怪奇は全然盛り上がりません。 初登場のフェル博士はHe likes band music, melodrama, beer, and slapstick comediesと評されています。 登場人物がやたら歌ったり飲んだりするのがフェルシリーズの特徴。出てくる歌などを原文から調べてみました。 p21「ラウス ヴィ二 エクセルシタス クルシス」(Laus Vini Exercitus Crucis): 1187年の第一回十字軍のさいブイヨンのゴドフリーの部下たちが歌った『酒の歌』で『朝まで家に帰るまい』(We Won't Be Home until Morning)と同じ旋律だと主張しています。Laus Vini... の方は真偽不明。We Won’t Be Home… の方はWebで何件かヒットしました。 p46 古い文句「地には大いなる叫びが満ち…」(There was a great crying in the land): 聖書の引用? And there shall be a great cry throughout all the land of Egypt (Exodus 11:6 KJV)がありますが… p67 ずっと昔に流行った戯れ歌(long-forgotten comic-songs)2曲 『マリーよ、すぎし憩いの日、そなたはどこにおわせしか』(Where Was You, ‘Arry, on the Last Bank 'Oliday?)と 『ブルームズベリー広場のバラ』(The Rose of Bloomsbury Square): いずれも調べがつきませんでした。‘ArryはHarryの略だと思います。 p192『蛍の光』Auld Lang Syne: 英語圏では大晦日のカウントダウンの定番曲。でも、ここのイメージがちょっとわかりません。うら寂しさを表現しているようなのですが… 銃は「旧式のデリンジャー」an old-style derringer revolver が登場。Remington Doubleだと思います。(revolveしませんが…) 他に「銃身の長いピストル」a long-barrelled pistol (後に出てくる「ブラウニング型拳銃」a Browning pistol と多分同じ)も登場。 |