皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
弾十六さん |
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平均点: 6.13点 | 書評数: 459件 |
No.9 | 5点 | 斧でもくらえ- A・A・フェア | 2018/11/11 05:26 |
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クール&ラム第9話。1944年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。
1944年ラム君は南太平洋からマラリアのため帰還(不在期間は18カ月)、一人称で物語は進みます。バーサはラムの帰還が嬉しいのに毒舌を吐くツンデレぶり。でも前作のヨーロッパ休暇の謎やバーサとセラーズ刑事の関係も一切言及がなく、1943年には大した事件が無かったことになっています。 クール&ラム探偵事務所の料金は1日20ドルプラス必要経費。ラム君は新しいアパートを借ります。 物語はお得意の込み入った筋立てです。複雑すぎてちょっと胃もたれするのが欠点ですね。 |
No.8 | 5点 | 猫は夜中に散歩する- A・A・フェア | 2018/11/09 05:02 |
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クール&ラム第8話。1943年8月出版。ハヤカワ文庫で読了。
実は第7話や第9話と繋がりが悪い本作。ラム君は「休暇でヨーロッパ(He's in Europe, on vacation)」で不在、バーサはラムが帰って来るまで頑張ろう、と殊勝なんですが、第7話と第9話では明確に「軍務で不在だった」となっています… そしてセラーズ刑事が再び登場しますが、バーサとの関係性も変なんです。(第9話以降、本作が無かったような感じになっています) バーサひとりの探偵家業が前作に引き続き始まります。コウモリ事件への言及があり、すぐあとの事件であることがわかります。日付は「19--年4月8日」とボカされてますが… (この日は木曜日と書かれてるので該当は1943年なんですけどね) 「8:45って表示してるけど実際は7:45のくせに」とぼやくバーサのセリフを翻訳ではUSA標準時が4つあるためのジョーク?として注釈していますが、これは戦時時間(1942年2月から実施、時計を1時間早める省エネ策)のことだと思います。筋立てはいつものように起伏が多く、解決は結構複雑です。(大ネタを割っているのでコミさんの訳者解説は先に読まない方が良いですね) |
No.7 | 7点 | 蝙蝠は夕方に飛ぶ- A・A・フェア | 2018/11/04 08:51 |
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クール&ラム第7話。1942年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。
ラム君は海軍に行ってしまい、バーサひとりで探偵家業、結構身軽に動き回ります。文体は三人称です。今回の依頼人は盲人のおじいさん。事件に関係ある日付として1942年1月25日が明記されています。(灯火管制用の懐中電灯が戦時を思わせます) 刑事フランク セラーズは今回が初登場。効果的に手紙を使い、起伏の多い展開は相変わらず。人物描写も愉快です。 |
No.6 | 7点 | 梟はまばたきしない- A・A・フェア | 2018/11/04 00:21 |
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クール&ラム第6話。1942年6月出版 ハヤカワ文庫で読みました。
ニューオリンズの騒がしい朝から物語は始まります。ジンとコーラが美味しそう。作中時間は三年前が1939年と明記。ヒトラーが殺人事件を警察に通報したり、絹のストッキング不足が言及されたりで時代を感じさせます。起伏の多い展開は作者お手の物、最後は慌ただしくラム君が旅立ちます。 銃は38口径のリボルバー「ポリス スペシャル」詳細不明。小実昌さんの脱線だらけの訳者あとがきも良いですね。 |
No.5 | 5点 | 倍額保険- A・A・フェア | 2018/11/03 03:43 |
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クール&ラム第5話 1941年12月出版
魚釣りに興じるバーサ。エルシーは昇給し日常生活を披露、エルシーファン必見。今まで必ずかわいこチャンに惚れられるラム君でしたが、今回はちょっと違います。田中コミさんの翻訳はこのシリーズの雰囲気にぴったり、一人称は「おれ」です。(訳者あとがきも小実昌さんらしい文章です) ストーリーは見事な構成ですが登場人物が弱い。 |
No.4 | 8点 | 大当りをあてろ- A・A・フェア | 2018/11/01 21:58 |
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クール&ラム第4話 1941年6月出版 ハヤカワ文庫で読了。
病み上がりのバーサはダイエットに励み、ラム君はボクシング熱に浮かされ探偵を辞め野外生活、星空を眺めて眠ります。作者が大好きなボクシングと砂漠生活が生き生きと描かれて幸福感が溢れます。スロットマシン講座もあり。妙に心に残る作品で、シリーズ中で一番好きです。 |
No.3 | 5点 | 黄金の煉瓦- A・A・フェア | 2018/10/31 20:59 |
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クール&ラム 第3話 1940年9月出版
柔道の先生はトカムラ ハシタ(ESGの日本人はいつもちょっと変な名前です) 銃を持った相手にも勝てるって… 東洋の神秘というやつ? ラム君はミスキャストとしか思えないボディガード役。頭の回転と口八丁で難局を逃れるラム君の活躍が楽しめる作品です。今まで愛想が無かったエルシー ブランドも今作では結構喋ります。 |
No.2 | 6点 | ラム君、奮闘す- A・A・フェア | 2018/10/30 21:50 |
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クール&ラム 第2話。1940年1月出版
小さな町で過去のスキャンダルを嗅ぎまわる探偵稼業。どんどん引き込まれる作劇術が素晴らしい。テンポが良く展開が早くて楽しめる作品です。 30分白黒TVドラマCool and Lam(1958年)はこの作品が原作。元気に喋る作者ガードナーが冒頭に登場します。お馴染みの作者写真と全然イメージが違うので一見の価値あり。(某Tubeで鑑賞可能、ただし英語です)このドラマはラム君の魅力が全く無く失敗作ですね。 |
No.1 | 7点 | 屠所の羊- A・A・フェア | 2018/10/27 21:46 |
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1939年1月出版 クール&ラム第1話。
ボスの妻とかフレッドの造形が愉快です。どちらもペリー メイスン世界には絶対出てこないキャラ。でも大ネタの法律的トリックはちょっと微妙な感じ。バーサは肝心なところで結構活躍。役割分担がしっかりしてるところが良い。 銃は32口径でレバー式セイフティとグリップセイフティがあり、マガジンに7発入る自動拳銃が登場(FN M1910ですね) |