皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ねここねこ男爵さん |
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平均点: 5.65点 | 書評数: 172件 |
No.11 | 6点 | 法月綸太郎の消息- 法月綸太郎 | 2019/09/27 10:37 |
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「あべこべの遺書」は初出のアンソロジーではツッコミどころ満載だったが、この短編集Verでは一応形になっている(構造を変えたのではなくツッコまれそうな部分に予め言い訳している、という感じだが)。
ただ構造がそのまま故、服毒死の下りなどはだいぶ苦しく、結局真相は分からずじまいにしていることなど全盛期ほどのキレはないと思った。 長期シリーズの小説だと、作者が歳を重ねたため考え方感性が変化しキャラクターが別人になることがままある。本作ではキャラクターはそのままだが作風が…。作者は評論を多く手掛けているためか、「白面のたてがみ」「カーテンコール」はモロにそうなってしまっているというか。クオリティはともかく(面白いけど)、評論で書くべきネタを無理やり小説化したという印象が拭えない。 |
No.10 | 8点 | 一の悲劇- 法月綸太郎 | 2017/12/15 14:00 |
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素晴らしい。
法月氏は短編の人だとは思うけれど、その良さを長編でも発揮した傑作。登場人物が整理されていて、コリン・デクスター風の仮説→検証→否定のサイクルが効果的に回る。勘で真相を見抜くミステリ慣れした人も多いと思うけれど、最後まで緊張感と構造転換の衝撃を味わえる。 ダイイングメッセージなんて飾りです。 |
No.9 | 8点 | 法月綸太郎の冒険- 法月綸太郎 | 2017/12/05 00:03 |
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意図してかどうかは分からないが、ホワイダニット短編集とも呼べるもの。
出版順ではないが、『功績』『新冒険』からの本作の方が面白さを堪能できるかと。 やはり法月氏は短編の人。 |
No.8 | 7点 | 犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題- 法月綸太郎 | 2017/11/09 17:20 |
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『冒険』や『功績』などと比べるとやや落ちますが、それでも相変わらずの巧さと構造転換の妙味を味わえます。
一話目:そんなこと考える人間はいないと思うが、親からそう聞かされて育ったならまぁ…分からんこともない行動か 二話目:ミステリと暗号って相性よさそうで実はかなり悪い が正直微妙でどうなることかと思いましたか後半から本気出します。 らしさを感じられたのでちょっと甘めの採点で。 |
No.7 | 5点 | ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 | 2017/11/08 22:02 |
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面白いことは面白いが、他の長編群と比べてだいぶ落ちる。特別な属性を持つ人物が狭い範囲に集中しているなど人間関係が好都合すぎることと、これまでの法月作品と違ってトリックが推理小説的リアリティ(勝手な造語です)に欠けるというか…普通気付かんか?と思ってしまった。あとゴシップ記者超有能。
さらに、三箇所ほどやたら冗長な部分があり、正直かなり苦痛だった。この退屈な中に伏線でも張ってんのかなと思い歯を食いしばって読んだが、そんなこともなかった。アイドル論の下りって要るのか…? 『頼子のために』の後日談プラスアルファですね。 |
No.6 | 4点 | 誰彼- 法月綸太郎 | 2017/11/04 12:12 |
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コリン・デクスターの手法を取り入れたということでなるほど納得。
作者の他長編でも推理の試行錯誤はありますがここまでではありません。正直他長編と比べるとかなり落ちる印象。それはミステリの仕掛け部分ではなく上記の手法に原因があるように思います。 一つ一つはさすがの素晴らしさだけに、幾つかに切り分けて数篇の短編にしてくれたらよかったなぁ…と思ってはいけないことを思ってしまいました。 初の法月作品がコレになる人がいないように祈るばかりです。惜しい。 |
No.5 | 9点 | 法月綸太郎の新冒険- 法月綸太郎 | 2017/11/04 10:04 |
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どんでん返しというか、構造の転換もの中心。
本筋以外でひっかかった所として、 「身投げ女のブルース」女性のコレを手掛かりにするのはすごいw刑事コロンボで近いものを見たことがあるくらい。 「リターン・ザ・ギフト」犯人はなぜ不要な事件を起こしたか?の理由が切ない。 法月綸太郎氏の短編集はやはり素晴らしいキレ味。 |
No.4 | 9点 | 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 | 2017/10/20 23:02 |
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この人の短編集は恐ろしい切れ味を誇りますね。
「都市伝説パズル」をはじめとして必読短編多し。 |
No.3 | 6点 | 二の悲劇- 法月綸太郎 | 2017/10/20 22:29 |
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色々な意味で読みにくい。
日記や地の文がミステリの構成要素としての伏線や布石でなく、作者の苦悩や想いをこめることに使われていてとにかく量がある。 それに共感するか冗長な成分として切り捨てるかが評価に影響しそうな。 個人的にすべて妄想の方がよかったかも。タイトルに絡む部分は都合が良すぎると感じてしまいます。せめて事前に匂わせてくれれば… |
No.2 | 7点 | キングを探せ- 法月綸太郎 | 2017/10/17 21:05 |
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非常にテクニカルで上手い!ただ読んだあと衝撃のあまり呆然とはしない、という。
すべてが緻密なパズルとして組み上がっていて、その緻密さには万人が感動するが、ものすごく良く出来ている以上の感想を持てない、というところか。 ただ、それだけというにはあまりによく出来ているのでぜひご一読を。 |
No.1 | 9点 | 頼子のために- 法月綸太郎 | 2017/10/17 20:53 |
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手記=隠蔽工作、なので読者は心の準備をして読むのでそれをどう上回るか?という形式ですが、全部提示した上で見事にそれを達成する本作はこのパターンのベストではないでしょうか。最後の一対一はちょっとあっさり(というか、もっと深めて欲しかった)のでこの点数ですが、きちんと匂わせてあったし、全体として文句なし。
後味の悪さを指摘される方が多いですが、個人的にはあの後味だからこそ、と思います。救いがあったら救われない話では? |