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猫サーカスさん
平均点: 6.18点 書評数: 433件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.173 6点 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ他十七篇- 芥川龍之介 2019/08/22 18:50
蜘蛛を助けたことがある男を地獄から救い出そうと、お釈迦さまが蜘蛛の糸を垂らす「蜘蛛の糸」。仙人になるには何があっても口をきいてはならないのに、苦しむ母を見捨てられなくなる「杜子春」。トロッコを夢中でおして遠くまで来てしまい、不安でたまらなくなる少年を描いた「トロッコ」。芥川龍之介の珠玉の短編20作が収められている。「桃太郎」は有名な昔話を下敷きに、人間社会の心理を鋭く突く。昔話の方は桃から生まれた桃太郎が犬と猿、キジを連れて「鬼が島」へ鬼退治に行く話で、桃太郎はヒーローだ。だが、鬼からはどう見えるか。桃太郎が鬼退治を思い立ったのは「山だの川だの畑だのへ仕事に出るのが嫌だった」から。鬼が島は「美しい天然の楽土」。鬼たちは平和を愛し安穏に暮らしていた。桃太郎は「鬼という鬼は見つけ次第、一匹残らず殺してしまえ!」と犬、猿、キジに号令し、最後に、鬼の首長の子供を「人質」に取って帰って行った。その子は一人前になると、見張りのキジを殺して鬼が島へ逃げた。島に生き残った鬼は時々、海を渡って来ては桃太郎の家に火をつけたり、寝首をかこうとしたり。桃太郎はため息をつく。「鬼というものの執念の深いのには困ったものだ」視点が変われば、風景は一変する。土地を追われた先住民や植民地支配された国の人々にとって、ここに描かれた桃太郎は自分たちを支配する者の姿そのものだろう。侵略された側の憎しみや恨みは簡単には消えない。1924年に書かれた芥川の「桃太郎」は、今の国際社会の闇と病理をも言い当てている。

No.172 6点 座席ナンバー7Aの恐怖- セバスチャン・フィツェック 2019/08/04 18:48
精神科医のマッツは、出産を控えた娘ネレのいるベルリンへと向かう旅客機に乗り込んだ。機中でマッツの携帯電話が鳴る。相手は、娘を誘拐したと告げ、その解放と引き換えにこの旅客機を墜落させろと命じる。指示された手段は、かつてマッツの患者だった同機のチーフパーサーの心の弱点を突いて、事故を引き起こす事だった。一方、ネレは若い男に誘拐され、廃墟に監禁されていた。出産直前の彼女は、必死に脱出を図る・・・。謎に満ちた極限状況を突き付けて、読者の心をつかんで離さない。物語は空と地上で並行して進み、その中で登場人物たちの過去と、そのつながりが徐々に明かされる。目まぐるしい場面転換の中に伏線を仕掛け、クライマックスで鮮やかに回収してみせる。極めて精緻な構造で、作り込みすぎるところはあるものの、とがったアイデアで楽しませる作品に仕上がっている。

No.171 5点 凸凹サバンナ- 玖村まゆみ 2019/08/04 18:48
主人公の田中貞夫は、法律事務所を開業したものの、まともな客は1人として訪れて来ない。まずは、30年間連れ添った妻から離婚を申し渡された会社社長の依頼を受けることになった。代理人として夫婦の間を行き来するうちに、最初に聞いた話からでは到底分からなかった事実が浮かび上がってくる。そして社長の最愛の愛娘ボニータの扱いに、てんやわんやさせられる。その後もアイドル志望の小学生やキャバクラで働くロシア人の女性たちなど、ほとんど商売にならない相談ばかり受け続けた。果たして田中はまともに仕事をこなしていけるのか。ユーモアの形をまとった法律ミステリーながら、最後は予想外の展開へと流れ込む。周到な伏線がラストで効いており、軽妙なドタバタ劇だけに終わっていない痛快リーガルミステリー。

No.170 8点 去年の冬、きみと別れ- 中村文則 2019/07/18 19:09
物語は、女性2人を殺害したとして死刑判決を受けた写真家の男に、「僕」が面会する場面から始まる。目的は男を題材にした本を書くこと。取材者であるはずの「僕」はやがて、男やその周辺の人々の暗部に引きずり込まれていく。事件の真相が明かされる時、登場人物たちの隠された内面も浮かび上がってくる。謎解きを軸とした、複雑でスリリングな展開をみせる一方で、純文学作家としてこれまで追求してきた「欲望」というテーマも深めている。「しばらくは純文学の中にミステリー性をまぜる試みをしてきましたが、今回は明確にミステリーを書くと決めていた。その代わり、自分にしか書けない大人の知的な作品にしたかった」と作者は後日談で語っている。まさにその通りの作品と言っていいと思う。

No.169 5点 失踪者たちの画家- ポール・ラファージ 2019/07/18 19:08
物語の世界そのものが謎、というユニークな作品。主人公の青年は、辿り着いた街で、殺人事件の現場撮影を仕事にしている女性カメラマンに恋をする。そこでは失踪事件が多発。やがて彼の恋人も姿を消す。青年は恋人の肖像画入りのポスターを作り「失踪者たちの画家」として有名になる。しかしある日、妙な理由で逮捕され監獄に入れられてしまう。これにいくつもの奇妙な寓話が差し挟まれる。青年は恋人の失踪の謎を追っていくのだが、謎は深まるばかり。謎を解こうと苦戦する主人公と、主人公の目論見や意図をはぐらかし、突き放すような短い物語とのずれ具合が実に巧妙。

No.168 6点 復讐- タナダユキ 2019/07/02 19:54
マスコミを大きく賑わせた事件は、当事者ばかりでなく、その家族をも巻き込んでしまう。この作品は、事件によってそれぞれの人生を狂わされた者たちの「復讐」をテーマにした犯罪小説。数学教師の中井舞子は、北九州市の戸畑第一中学校へ赴任した。舞子は始業式の朝、校長から「ちょっと複雑な子」と耳打ちされた生徒、橋本晃希と偶然出会い、その暗く沈んだ瞳を目にする。ところが教室での晃希は、明るい優等生の態度を崩さなかった。やがて、ふたりの隠された過去と、それぞれが巻き込まれた殺人事件の秘密が徐々に明らかになっていく。忌まわしい過去がどこまでも追いかけてきて、逃げ場はどこにもないという点で、ふたりは似た者同士だった。だが、決定的に異なるのは「復讐」に対する思いだった。映画監督でもある作者は、地方都市の風景を丹念に描写するとともに、追い詰められた者たちの歪んだ感情を生々しく書き込んでいる。読んでいると息苦しくなるほど。また、その地方の伝統的な祭り、戸畑祇園の盛りあがりと歩調をあわせるかのようにクライマックスへと向かう展開も見事。胸に迫るサスペンスともいえる。

No.167 5点 ゴーン・ガール- ギリアン・フリン 2019/07/02 19:54
嫌な気分になるミステリー(イヤミス)の全米ヒット作で印象は強烈。失業したニックは美貌の妻エイミーと故郷ミズリー州の田舎町に移り住んで2年。結婚5周年の日にエイミーが失踪し、妻殺害の容疑をかけられる。ニックの独白とエイミーの日記が交互に登場する物語から、結婚生活ではよくある行き違い、倦怠、失望がくっきり浮かび上がる。「本物の愛とは、ありのままの自分でいることを許してくれるものであるはずだ」と自分のいたらなさを正当化するダメ夫ニックに、舌打ちしたくなる人もいるかもしれない。しかし、途中からストーリーは意外な展開に。作者の用意したラストは痛烈な皮肉なのか、愛と人生の苦い真実なのか。読者一人一人が結婚の意味について、しばし思いを巡らすに違いない。

No.166 7点 無垢なる者たちの煉獄- カリーヌ・ジエベル 2019/06/17 19:43
極めて凄惨であると同時に、ぐいぐい読ませるサスペンス。強盗と殺人鬼という二つの「悪」が対決する物語。ラファエルと弟は、2人の仲間と共に宝飾店を襲撃。宝石を奪って警察の追跡を逃れたものの、弟は警官に撃たれて重傷を負ってしまった。4人が逃げ込んだのは、村のはずれにある屋敷。ラファエルは、1人で夫の帰りを待つ女性を脅して弟の看護をさせる。一行はこの屋敷をしばらく隠れ家にしようと考えるが、やがて夫が帰ってくる。その正体は少女を狙う連続殺人鬼だった。物語の大部分は屋敷の敷地内で展開する。閉ざされた空間での、限られた人物たちの緊張がじっくりと描かれる。陰惨な暴力描写に目を背けたくなるかもしれないが、単なる過激さが売りの作品ではない。過酷な極限状態に置かれた人々の心理と、その変化を丁寧に描き出している。特に連続殺人鬼の妻の人物造形は印象に残る。上下巻を一気に読ませる、戦慄に満ちた物語。

No.165 6点 沼の王の娘- カレン・ディオンヌ 2019/06/17 19:43
主要な登場人物はわずか2人。追う者と追われる者。誘拐や殺人などの罪で終身刑に服していた男が脱走したというニュースが、ヘレナの平穏な日常を変えてしまう。脱走した男は彼女の父で、彼が誘拐した女性との間に生まれた娘がヘレナだった。原野の暮らしに通じた父を捕まえられるのは、父から狩猟を学んだヘレナだけ。彼女と父との心理戦が始まる・・・。追う者と追われる者との死闘を描きつつ、合間にヘレナの回想が語られる。異様ではあるが、懐かしさとともに語られる、父との過ごした日々。愛と憎しみの入り交じったヘレナの複雑な思いと、大自然の中でのシンプルな追跡劇の組み合わせが心に残る。

No.164 7点 闇夜の底で踊れ- 増島拓哉 2019/06/03 19:40
第31回小説すばる新人賞受賞作。「小説すばる」にしては珍しいノワールで、しかも作者はなんと19歳。パチンコ依存症の無職の男が、風俗嬢に入れ込んで借金を作り、暴力団の抗争に、巻き込まれていく物語。というと、通俗的なタイトルと合わさって既視感に満ちた物語と思うかもしれないが、そうではない。確かに前半は新鮮味に乏しいけれど、抗争の構図が露わになってから会話もキャラクターもはじけて、素晴らしい語りになる。読者を脅かす仕掛けもいくつかあり、それが次々と明らかになっていく終盤は緊迫感に包まれ、それでいて実に小気味よく、殺人が繰り返されるのに不思議と心地よい(殺人の動機だけはやや古臭いが)。それはひとえに作者がもつユーモア感覚のおかげでしょう。黒川博行氏に迫る笑いに満ちた会話、作者が多大な影響を受けたという大沢在昌氏の優れた語りと人物像の創出が、陰惨な暴力劇を調子のよいピカレスクに仕立て上げた。才能あふれる出色の新人デビュー作。

No.163 6点 青雷の光る秋- アン・クリーヴス 2019/06/03 19:40
英国のシェットランド諸島を舞台にした4部作の完結編。ペレス警部は婚約者のフランを両親に紹介しようと、故郷のフェア島を訪れた。しかし、婚約パーティーの翌日、著名な野鳥監視員のアンジェラが殺害されているのが見つかる。嵐のせいで外部と遮断された島で、ペレスは一人で捜査を始める。このシリーズの魅力はなんといっても、登場人物の心理とその人間関係を緻密に描くことで、事件の動機を徐々に浮かび上がらせていくところ。今回はペレスのプライベートも物語の読みどころになっている。もうひとつの大きな魅力、島の荒々しい自然も堪能でき、衝撃のラストとともに強い印象を残す。

No.162 6点 ボランティアバスで行こう!- 友井羊 2019/05/15 19:00
題名にあるとおり、ボランティアを行う者たちが登場するミステリー。大地震の被災地へ赴き、がれき撤去などの活動するメンバーそれぞれの物語が章ごとに語られていく。東北の被災地に向けたボランティアバスツアーを企画したのは、就職活動中の大学生だった。参加したのは、会社員、定年退職した夫婦、女子高生など、様々な人たち。だが、やがて隠された秘密が明らかになったり、思わぬ事件に遭遇したりする。全6章とエピローグで構成された本作は、家族や教え子との関係にまつわるハートウォーミングな話のつまった連作集というだけにとどまらず、巧妙な仕掛けがほどこされている。なにしろ、ある事件の逃亡犯までがバスに乗り込んでくる。そればかりか読者はエピローグで、あっと驚くでしょう。

No.161 6点 暗殺者の正義- マーク・グリーニー 2019/05/15 19:00
暗殺者ジェントリーは、ロシア・マフィアからスーダン大統領の暗殺を依頼された。しかしCIA時代の上官から、それを裏切る提案をされる。しかも成功したら、二度と命を狙うことはないとの約束で。もはや絶体絶命と思われる窮地から、意表を突く知略で脱出するジェントリーの姿は痛快そのもの。ただの殺人マシンではなく、「正当とされる殺し」にこだわる一人の人間として描いているのも魅力的。一気読み保証付きのアクション満載の冒険小説。

No.160 7点 カナリアはさえずる- ドゥエイン・スウィアジンスキー 2019/05/03 18:44
覚えにくい名前の作家だが、過去の作品のインパクトは強烈だった。邦訳された「メアリー―ケイト」「解雇手当」の2作は、いずれも予測不能の奇異な展開が印象深い怪作。そんな作者の10年ぶりの邦訳となるのがこの作品。奇抜なアイデアと意外な展開はそのままに、より地に足の着いた、読ませる小説に仕上がっている。サリーは大学に入ったばかりの優等生。だが、先輩のせいで麻薬取引に巻き込まれてしまった。彼女を捕まえた刑事によって、学内の情報提供者として麻薬捜査に協力することに。先輩を密告するわけにいかないサリーは、代わりに別の売人を探し始めた・・・。密売人や殺し屋がうごめく麻薬取引の世界に放り込まれた少女が、生命の危機を切り抜ける。自らの意外な可能性を見出したサリーは、悪党たちを相手に大活躍を繰り広げる。麻薬社会を描いた生々しい犯罪小説であると同時に、その核にあるのは、一人の少女が大きく成長する冒険の物語。飽きさせない語り口も巧妙で、最後まで一気に読ませる。

No.159 6点 父のひと粒、太陽のギフト- 大門剛明 2019/05/03 18:44
日本の食の根幹、農業をテーマに据えた長編作。小山大地、無職の30歳。親から仕送りを止められ、仕方なく新潟市内の会社でインターンとして働くことに決めた。ところが、ようやく厳しい労働に慣れ始めたときに、そこの会社の社長の死体が発見される。物語は、若き天才農業家の死をめぐる事件を軸に、農村が抱える深刻な問題に迫っている。それでも飄々とした語り口は読みやすく、さらに作者ならではの意表を突く逆転劇が仕組まれている。ミステリーとしての面白さにぬかりない秀作。

No.158 7点 スイート・マイホーム- 神津凛子 2019/04/17 20:18
小説現代長編新人賞受賞作で、選考委員「全員戦慄」(カバーの惹句)。しかも珍しくミステリー、それも嫌な気分や後味で勝負するイヤミス全開。スポーツインストラクターの賢二と妻のひとみは赤ん坊のために「まほうの家」を建てる。1台のエアコンで家中を暖められるシステムで寒がりのひとみは喜ぶのだが、奇妙な現象が次々に起きて、いつしか殺人事件へと発展していく。前半はややホラータッチで進み、よくある怪異譚と思わせて、第2章で反転させて(さりげなく時間をさかのぼる手法がうまい)禍々しい存在を明らかにする。そして第3章では恐怖とおぞましさを一段とエスカレートさせ、伏せられた過去の秘密を前面に打ち出して凄まじい対決場面へと導いていく。「ここまでおぞましい作品に接したのは初めてだ」(選考委員・伊集院静)とあるほど、狂気と悪意は鋭くとがれて読者の価値観を根底から覆す。新人の出色のデビュー作といえるでしょう。

No.157 6点 ベスト・アメリカン・短編ミステリ2012- アンソロジー(海外編集者) 2019/04/17 20:18
20の短編はどれも粒よりの作品。ブロック「清算」は男性を巧みに誘う女の独白が、徐々に狂気の世界に踏み込む。マクファデン「ダイヤモンド小路」は青春の回想録だが胸をしめつける甘く切ない叙述が素晴らしい。フィニー「人生の教訓」は主人公のキャラが立っていて印象的。デュボイズ「パトロール同乗」は意外性が読ませる犯罪小説。どれも短いので、細切れの時間でも読書の楽しみが味わえる。

No.156 7点 喪失- モー・ヘイダー 2019/04/01 18:35
東野圭吾「容疑者Xの献身」などを抑えて米エドガー賞最優秀小説賞を受賞した警察小説。スーパーの駐車場で車が強奪され、後部先に少女が乗っていた。目当ては車だから少女はすぐに降ろされるだろうというキャフェリー警部の予想は外れ、少女は帰らなかった。しかも、過去にも似た事件が発生していることが判明。そこへ第2の事件が起きる。幼い時に兄が小児性愛者の犠牲になるというトラウマを抱えるキャフェリーは、内向的で孤独な人間。珍しく心を動かされた女性警官フリーにも、ある出来事から不信の念を抱いている。そんなキャフェリーとフリーの執念にも似た捜査が綿密に描かれ、ぐいぐい物語に引き込まれる。被害者家族、とりわけ母親たちの絶望と悲嘆、娘を取り戻したいという強い思いにも心が揺さぶられた。手に汗握るラストまでサスペンスが途切れず、読み応えがある。

No.155 5点 テキサスレディオギャング(漫画)- 榎屋克優 2019/04/01 18:35
生きている中で、人の死と向き合う瞬間は必ず訪れる。私たちはその度に、生きることについて深く考えさせられる。その思いに光を当てた作品。学校内の序列、いわゆるスクールカーストのトップに君臨する鮫島は、いじめの延長でシバケンを死に追いやった。死の真相を知ったピーターはその無念を晴らそうと、シバケンが生前に録音して残していた物語の続きを作ろうとする。自分たちを西部劇のヒーローに見立て、悪党たちに決死の覚悟で抵抗する姿を描いたラジオドラマ。本作は報復劇のように読めるが、進むうちに話の軸が変わってくる。人間の無力さや、誰しも覚えのあるような自己保身、それでもどこかに眠る底力が生々しく描かれた作品である。無力さと底力を兼ね備えた人間の「本気」に胸が痛いほど熱くなる。

No.154 6点 刑事ファビアン・リスク 零下18度の棺- ステファン・アーンヘム 2019/03/20 19:05
スウェーデンとデンマークの両国にまたがる事件捜査を描くシリーズの3作目。スウェーデン警察が追う事件とデンマーク警察が追う事件とが、意外な形で交差する。刑事の家庭での問題、警察内部の問題も描かれ、物語の雰囲気は重い。しかし、緻密な伏線と意表を突いた展開で、一気に読ませる小説。作品同士のつながりも重要なシリーズなので、第1作の「顔のない男」から読んでほしい。

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