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[ 日常の謎 ] ボランティアバスで行こう! |
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友井羊 | 出版月: 2013年04月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 3件 |
宝島社 2013年04月 |
宝島社 2014年02月 |
No.3 | 6点 | 猫サーカス | 2019/05/15 19:00 |
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題名にあるとおり、ボランティアを行う者たちが登場するミステリー。大地震の被災地へ赴き、がれき撤去などの活動するメンバーそれぞれの物語が章ごとに語られていく。東北の被災地に向けたボランティアバスツアーを企画したのは、就職活動中の大学生だった。参加したのは、会社員、定年退職した夫婦、女子高生など、様々な人たち。だが、やがて隠された秘密が明らかになったり、思わぬ事件に遭遇したりする。全6章とエピローグで構成された本作は、家族や教え子との関係にまつわるハートウォーミングな話のつまった連作集というだけにとどまらず、巧妙な仕掛けがほどこされている。なにしろ、ある事件の逃亡犯までがバスに乗り込んでくる。そればかりか読者はエピローグで、あっと驚くでしょう。 |
No.2 | 6点 | kanamori | 2015/04/09 20:45 |
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就活のアピールポイント作りのため、東北の震災復興の支援活動としてボランティア・バスを主催した大学生の大石。被災地に向かうチャーターバスには、ボランティアに応募した老若男女が乗り合わせたが、それぞれが色々な思惑を秘めていて--------。
主催者の大学生をはじめ、贖罪のために参加した会社員、教え子の弔いに向かう元教師とその夫、犯罪を犯した逃亡者など、災害ボランティアに関わった人々の内面の秘密を明らかにしていく、6つのエピソードからなる連作ミステリ。 いずれもハートウォーミングな話で、ミステリ成分はたいしたことはない。むしろ東日本大震災に取材した被災者の伝わりにくい感情や、災害ボランティアの在り方など、震災関連の諸々の情報部分のほうに読者を引き付けるものがあります。一瞬ミステリとして書かれたものであることを忘れてしまいそうになるほどです。 しかし、それもこれも作者の巧妙な企みで、ラストに連作ならではの仕掛けが待っていました。まあ定番ではあるし、読んだ人によっては「それがどうした」という感想もあるかと思いますが、それまでの内容からちょっと不意を突かれました。 |
No.1 | 7点 | メルカトル | 2014/05/29 22:35 |
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東日本大震災をモチーフに、被災地へ向かうボランティアバスツアーに参加した幾人かが各章ごとに語る、日常の謎を扱った佳作。
被災した人たちの現実と支援活動をおこなう側の現実が赤裸々に描かれており、思わず深く頷いてしまうシーンが目白押し。無論ミステリとして、第一章から最終章、エピローグに至るまで、ささやかではあるがちょっとした日常の謎を解き明かしながら、微妙な人情の機微までをも繊細な文章で描写することに成功している。それだけではない、何気ない構成の中にとんでもない大仕掛けが仕込まれており、そのトリックが明かされた瞬間は「なるほど」程度にしか思えないものが、しばらく経ってから二度目の衝撃が襲ってくるようになっている。優れた読者は、一度の衝撃ですべてを悟るがゆえに、その大きさは計り知れないものに違いない。いずれにしても、ほぼ騙されるのは確実だろう。しかもあからさまな伏線も張られているし、実にフェアな作りになっているのが良心的とも言える。 私の場合、そういった騙しのテクニックを抜きにしても、第一章でハートを鷲掴みにされたわけで、その後も同レベルを保っていたなら間違いなく8点以上付けていただろう。地味と言えば地味だが、これ程真正面から未曾有の大災害のその後を描いた作品は他にないと思う。 |