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皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

ALFAさん
平均点: 6.62点 書評数: 199件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.5 6点 インシテミル- 米澤穂信 2025/03/02 10:03
この作家、芸風の広さに驚かされる。
ときには中世ファンタジー、ときには戦国の歴史小説、かと思うと地味な警察風俗小説にミステリーが組み込まれていたりする。
ここではデスゲームの世界にクローズドサークルの謎。精緻でロジカルな謎解きは楽しい。インディアン人形が減らないのは笑える。
最終盤のお嬢様の大ネタは今一つピンと来なかった。

No.4 6点 満願- 米澤穂信 2025/02/18 08:54
6編からなる短編集。辛口でシンネリした話はどれも面白い。
ただこの作家、某有名長編でも感じたが、「推理小説」の「小説」と「推理」の繋がりがすっきりしないことがある。
「夜警」は重厚な警察小説部分とチェスタートンばりのトリック開示との繋がりが今一つで残念。連城なら畳み掛けるようなネタ割りで盛り上げただろう。
「満願」でも、苦学生から新進弁護士へと立身した語り手と犯人とのドラマ部分は味わい深いが、肝心の謎はショボイ。
そんななか、ストレートに楽しめたのは「関守」。ベタな展開ながらホラー版日本昔話みたいで楽しい。なんと言っても婆さんの人物造形がいい。

No.3 7点 黒牢城- 米澤穂信 2024/07/05 17:47
「折れた竜骨」と並ぶエンタメ大作。「イングランド辺境の島」となると私にはファンタジーの世界だが、こちらの有岡城址は実に徒歩の距離。今や快速電車の止まる駅前となり、かつて天守を支えた石垣は明るいショッピングモールの足元でひっそり。

連作ミステリー短編を組み込んだ歴史小説。城主荒木村重が持ち込む謎を、囚われの黒田官兵衛が解くという趣向はユニーク。
ただ残念なことにミステリーより歴史小説としての出来の方が圧倒的にいい。それぞれの話はミステリーとしては小ぶりで、「謎を解かねば城が落ちる」ほどのものとは思えない。
終盤に明かされる企みや黒田官兵衛の深意はドラマチックではあるが。

歴史小説としては楽しく読みごたえ十分だが、このサイト的にはやや控えめにこの評点。

No.2 8点 折れた竜骨- 米澤穂信 2024/05/15 09:18
ときは中世、ところはイングランド辺境の島。領主ローレント・エイルウィンが何者かに殺される。
多彩なサイドストーリーが楽しい冒険ファンタジー風だが、その本質はピュアなミステリー。マニア心をくすぐる特殊設定が仕掛けられている。
(ネタバレします)


殺しの仕組みは、暗殺を望む者A、暗殺の請負人B(暗殺騎士)、そしてBに魔術をかけられ無自覚なまま殺人者となるC(走狗)から成り立つ。
したがって読み手としては動機(A, who&why)と機会や手法(C, who&how)を切り分けて考える必要がある。その上、無自覚な者がいることで情景描写や叙述も疑ってかからねばならないから読み解きは複雑。
結果的にBとCの正体や謎解きは多いに満足だが、Aの解明はほとんどないのが残念。

話し手をはじめたくさんの登場人物が皆魅力的。
表題のネタ割りを伴った余韻豊かなエンディングもいい。


No.1 7点 Iの悲劇- 米澤穂信 2023/08/02 08:06
「限界」を超えて無人になってしまった集落の再生を図る南はかま市。
そこに移住してきたIターン組に起こる事件をテーマにした6+1編の連作短編集(風)。各章とも多少シリアスな日常の謎。
なるほどそれで表題が「Iの悲劇」か、シャレてるけどちょっと大げさな、と思っていたら最終章でひっくり返された。
ここをイヤミス風反転ととるか、重量級の社会派への変身ととるか。
私は後者。その方が面白い。人形浄瑠璃のガブ(姫がいきなり鬼になる)みたい。
ボンクラ課長が時折り見せる強面が気にはなっていたんだ・・・

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ALFAさん
ひとこと
物理的な合理性、心理的な整合性、生き生きとした情景描写などがバランスした作品が好きです。
好きな作家
アガサ クリスティー、クリスティアナ ブランド、連城三紀彦、G.K.チェスタトン
採点傾向
平均点: 6.62点   採点数: 199件
採点の多い作家(TOP10)
宮部みゆき(23)
アガサ・クリスティー(21)
松本清張(17)
三津田信三(14)
連城三紀彦(14)
青山文平(8)
横溝正史(7)
夕木春央(5)
G・K・チェスタトン(5)
北森鴻(5)