皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ALFAさん |
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| 平均点: 6.63点 | 書評数: 241件 |
| No.1 | 10点 | 戻り川心中- 連城三紀彦 | 2017/03/05 09:53 |
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| 連城三紀彦はそのケレン味たっぷりなペンネームに恐れをなして敬遠していた。
もっと早く読めばよかった。 大正から昭和初期の時代設定、花をモチーフにした抒情的な五つの短編は、いずれも大仕掛けな構図の反転によって見事なミステリーになっている。 お気に入りは「戻り川心中」「藤の香」「桔梗の宿」。 表題作は、真の動機が明かされた瞬間、犯人の才能と肥大化した自我のありようが腑に落ちて、謎解きだけではなく文学創作の本質をも問う作品である。 「桐の棺」はチェスタトン張りの逆説的なトリック、「白蓮の寺」は構図の反転がともに見事だが、心理的にしっくりこない。 つまりこのような犯人がこの動機でこの犯罪をするか?と思わされる。 ディテールが美しいだけに残念。 |
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