皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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了然和尚さん |
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平均点: 5.53点 | 書評数: 116件 |
No.10 | 6点 | 書斎の死体- アガサ・クリスティー | 2015/05/17 11:18 |
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動機、トリックなどよくある感じですが、まとまっていて楽しめました。マープル物の特徴として、マープル自身の周りの体験談から推理しますが、外国人の名前が予告なくたくさん出てくるので馴染みにくいです。短編の場合はリズムがあっていいのですが、長編の場合、度々出てくるとつらいです。退役大佐(書斎の持ち主)に悪評が立ち、冤罪話のようになった部分は、本線以外の膨らましで、結構面白かったのですが、大団円でこの件のフォローがなかったようなので残念でした。 |
No.9 | 6点 | 死者のあやまち- アガサ・クリスティー | 2015/05/14 20:19 |
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本作でファリアット夫人(母親)は、息子の3件の犯罪に対して共犯と言えないまでも、事後従犯ということでしょうか? 自分の保護しているものを殺されて1年余も平然と茶番に付き合えるものなんでしょうか? これがイングランドの話なので、母国の読み手がどう感じるか(しかも70年ぐらい前)わからないので、共感とかしにくいですね。 最終的には、ポアロはこの夫人を追い詰めるだけなので、この心情は重要です。まったく同じ話でも、岡山の山村の大地主を舞台に変えてみれば、プラス2点ものの感動作品(もちろん探偵は金田一)なんですが。 |
No.8 | 6点 | ヒッコリー・ロードの殺人- アガサ・クリスティー | 2015/05/09 15:21 |
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最初に提起される謎が短編的内容で、トリックも少なく全体に小粒ですが、楽しめました。複数犯人で組織犯罪っぽいところは少し残念です。黄金期の本格を読むと度々思うことですが、70年ぐらい前でも、世相的な物は変化してないなと感心します。(古臭く感じない)本作の犯人の青年のどうしょうもない感は、宮部みゆきの作品の犯人を思い出させたりしますね。
ところで、本作の興味深い小ネタとして、ミス・レモンの事件簿クロスリファレンスはその後完成したのでしょうか? 私も乱歩に習いトリック分類などやってみたいのですが、システム名は「レモンシステム」と命名したいです。 |
No.7 | 7点 | 葬儀を終えて- アガサ・クリスティー | 2015/04/29 12:43 |
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10年ぐらい前に、ドラマ「名探偵ポワロ」で本作が放送されたので、見る前に読んだ時以来の再読でしたが、犯人や絵に絡むその動機は覚えていたのですが、なぜかメインの入れ替わりトリックはすっかり忘れていて、それなりに楽しめました。富豪殺人疑惑にかかわるすべての人物や事象がカモフラージュの捨て駒とは、相変わらず大胆な構成で、手抜き感がまったくありません。 |
No.6 | 5点 | マギンティ夫人は死んだ- アガサ・クリスティー | 2015/04/23 13:15 |
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全体的にはまとまった本格ものだと思うのですが、焦点がぼやけている感じで、印象が薄いです。犯人の必然性や手がかりは、もうひとつスッキリしませんでした。容疑者のほとんどが、なんらかの暗部を持っているというオチですが、その場合、結論が不確かになってます。 |
No.5 | 8点 | 満潮に乗って- アガサ・クリスティー | 2015/04/17 14:24 |
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クリスティーらしく前半はゆっくり各人視点で進み、真ん中ぐらいで殺人が発生し、ポアロ再登場です。その後、終わりに近づくにほど、話の展開が加速し、意外な結末が一気に明かされます。この素晴らしいリスムの推理小説は交響曲を思わせて感動します。
トリックや真相については手がかりはよく示されていて本格ですが、犯人の決め手は不十分と思うのですが、それを感じさせない傑作ですね。 本作でのクリスティーの談義は、戦争(あるいは戦後)談義でした。(あの爆弾が落ちなければこの事件は。。。)第二次世界大戦後の高揚感の中で冷静に戦争の影響を語っています。そういえば、横溝先生の作品も戦後感がベースにあったなあとか思います。 |
No.4 | 3点 | ホロー荘の殺人- アガサ・クリスティー | 2015/04/15 13:58 |
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ミステリーとしては3点。ミステリー要素を抜いた評価ではさらにマイナス1点。私には合わなかったのかな。 |
No.3 | 5点 | ゼロ時間へ- アガサ・クリスティー | 2015/03/18 15:44 |
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犯罪の手がかりについては十分示されており、よく構成された本格ではあると思います。殺人未遂事件で凶器が殺人事件というかんじでしょうか。クリスティーは中期の作品以降、屍体が出てくるのは比較的遅いと思いますし、あとがきに書かれているほど特殊な構成ではないと思います。本作がポアロでないのは、女学校に行くような娘がいないからではないですか? しかし、そこまでして作った冤罪娘や、自殺未遂者の前振りは、思ったほど結末では効果が出ていないですね。 |
No.2 | 8点 | 五匹の子豚- アガサ・クリスティー | 2015/03/10 17:14 |
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最高の本格推理小説。16年前の事件について読者とポアロは同じ立場で同じものを見聞きする。5人の証言と手記の中から推理可能なパズルになっている。ただ、燻製ニシンの匂いが強すぎて、これは違うとわかっていながらも他の思考が止まってしまうのは我ながら情けない。このような見事な本格小説にもかかわらず、手がかりを探そうと読んでいると苦痛なまでに退屈である。(実際の警察官さんはこんな感じなのかなとか思ってしまう。)でも、ミステリーの1代表作として必読。 |
No.1 | 6点 | 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー | 2015/02/16 09:58 |
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クリスティーを再読していると、推理小説論的なことを断片的に論じているのが興味深いですね。本編では推理小説(犯罪)をジグソーパズルにたとえて、わざわざ各ピースを示してくれています。出来のいい推理小説は、組み立てた後の絵も素晴らしいですね。本作は、出来上がった絵は、まあまあといったとこでした。
登場人物の本棚にカーの火刑法廷が置いてあったので、プラス1点。カー、クロフツ、クリスティーあたりは相互に良く探偵や、書籍がこそっと登場して嬉しくなります。 |